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森林開拓日誌  作者: tanuki
猫目石
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七日目・完成、ユナハウス⑭

 家具作りの前に、野ざらしにされている食器棚をリビングへ運んだ。掃出し窓は、こういう大きなものを運び入れる時に便利だ。外で魔法陣を作らないといけないので、食器棚に限らず作った家具はログハウスに運び入れる必要がある。

 作れる家具の中からどれを作るか決めるのは、ユナさんとリリティアさんだ。神の門のカタログページとログハウスを見比べて、ああでもないこうでもないと盛り上がっている。そんなにバリエーションは多くないはずだが、1つ決めるのにも結構な時間がかかっている。

 その話し合いをしばらく眺めていると、リリティアさんに魔法陣の書いてあるページを見せられた。とりあえず5つの家具を作れとのことだ。魔法陣のページを確認しながら、1つずつ作っていく。

 まず1つ目は、テーブルだった。テーブルは、デザインの種類はそれほど多くはない。だが、色のバリエーションが豊富だ。例えば、茶色だけでもこのテーブルの色の他に6種類くらいある。ユナさんとリリティアさんが選んだのは長方形のテーブルで、角を丸く面取りがしてある。色は床材の色とは微妙に違うようだが、リビングに運んでみるときちんと調和している。

 次は椅子を4脚まとめて作る。高さもデザインもテーブルに合わせてある。色はテーブルと同じ色のようだ。3脚あれば十分だと思うが、長方形のテーブルに対してのバランスを重視したようだ。

 続けて衣装箪笥を作った。今のところ、ユナさんは今着ているワンピースしか持っていない。だが、やはり衣服をしまえる場所くらいは、あった方がいいだろう。服は結構な値段がするが、何着かは別の衣服を用意してあげたい。というか、様々な格好をしたユナさんを俺が見たい。衣服を購入するならば、この前行った店のあの子に相談してみようか。あの店以外に服屋を知らないし。

 カジュアルコーデや大人コーデ、果てはナース服やメイド服を着たユナさんを妄想している間に、次の家具が完成した。

 「でっかい本棚ですね。こんなの必要ですか?いや、それ以前でどうやって運び入れるか考えるのが先か?」

 作ったのは、日本でもよく見るような普通の本棚だ。ただ、サイズがかなりデカイ。魔法陣を作る際に写真は確認したけど、まさかこんなに大きいとは思わなかった。写真だと大きさは把握しづらいからなぁ。妄想の世界に浸ってて確認不足だったのは否定できないが。

 「それは問題ない。4つに分解できるようになっている。厳密には、4つの本棚を固定して1つにしていると言うべきだが」

 そう言うと、リリティアさんはテキパキと4つに分解していった。1つ1つが独立した本棚になっているので、リリティアさんの言う通り、4つの本棚を1つに合体させていたんだろう。

 1つ1つ、本棚をログハウスに運び入れる。設置するのは、衣装箪笥を入れた部屋とは別の部屋だ。組み立てて1つの本棚にすると、壁にピッタリと合うサイズだった。

 「こんなのが必要かどうか、だが、はっきり言って不要なものだ。現状、本を集めるどころか1冊も買う必要はないだろう。銀貨何枚も出してまで買う価値のある本は、この世界にはないだろうからな」

 「まあこの世界の人間が知っているレベルの知識なら、神様たちが把握してますもんね。だったら、何故こんな大きな本棚を?」

 「はっきり言って、これは私の趣味だ。これだけ広い家だから、ある程度の大きさの本棚があるべきだろうと思ってな。作れるものの中で、あったらいいもの、あってもいいものを選んだ」

 作った理由、趣味。そうか、趣味か。まあリリティアさんがあるべきだと思うのであれば、作ればいいと思う。どうせ間伐材は今後いくらでも、使い途に困るくらい手に入るだろう。

 それにいつも合理的に、必要なことだけを指示してきたリリティアさんが、趣味でものを作ると言ったことが新鮮だったこともある。

 最後に作ったのはベッドだ。キングサイズくらいの大きいものだ。神様たちはベッドを使ってるのかと思い、リリティアさんに聞いたら、就寝の方法は様々だという返事が返ってきた。ベッドで寝る、床に敷布団を敷く、寝袋で寝る、ハンモックで寝る。みな思い思いの方法で寝ているらしい。ちなみに、リリティアさんはベッド派とのことだ。

 ベッドは衣装箪笥と同じ部屋に入れる。役割が決まってない部屋だったが、これでこの部屋がユナさんの寝室という感じになった。だが、肝心のマットレスや掛け布団、枕はない。木材とつる草だけでは、これらは作ることができなかった。必要な材料を調達するか、町で買うしかなさそうだ。もっとも、ユナさんは自力でウォーターベッドが作れるので、そもそもベッドすら必要だったかどうか怪しいが。まあ人間の住む家には、ベッドはあるべき家具の1つではあるから気にしない。

 「ふむ、まだ足りないのか。もうそろそろのはずだが」

 ベッドを運び入れた後、リリティアさんがつぶやいた。

 「どうかしました?」

 「ああ、今度は柵を作ってくれるか?残っている木材全部使ってしまっていいから、作れるだけ作ってくれ」

 「はあ、わかりました」

 よくわからないが、ともかくカタログページから、木材だけで作れる柵を選んだ。

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