強者
とりあえずヒロインは先送りっと
「飛行って、
要は空を飛べるんだよな?」
エクストラスキルという項目にあった
飛行。彼の想像する飛行のありかたは
ゲームのキャラのようにヒラヒラと自由に
飛び回ることだ。
雪は足に力を入れグッと踏ん張り
空を飛ぶイメージをする。
「飛べる!飛べるような気がする!」
体に光の泡がちらほらと集まり、
足の力を解き放つと同時に弾け飛ぶ。
「うおぁ!うおーーー!?」
そのまままっすぐ上に飛び上がった。
垂直跳びが何㍍飛んでいるのかと思うほど
まっすぐ上に飛んだ。曲がろうとすると
からだの向きは変わらず
進む方向だけが変わり、もとの
場所に戻ろうとすると逆にいきすぎる。
「うおぉ!
あ、あぶ!ちょ!うわ、うわぁぁぁーー!!」
ゴン!
あまりにも進行の早さが早く、
思考がついていかなかったためにかなり
勢いよく住居に頭を打った。
そのままかれは崩れ落ちた。
「脳が揺れてる。バク宙に失敗して
頭打ったときみたいだ。あぁ、気持ち悪っ
お、パン屋ってあれだな。あれを左ね」
頭を押さえつけながら通行人にもらった
冒険者ギルドへの行き方のメモを辿る。
パン屋を曲がって三件目に
そのギルドはあるという。
「もう当然のようにね、なんかこう、
スゴいぃ、ゴツい人たちがこう、
一杯いるね。」
ギルドの前には普通の人なんていない。
ゴツメンたちがわらわらと群れをなして
集まっていた。
別に雪も筋肉がないわけではない。
中三から高三にかけてわりと本気の筋トレを
していたために逆三角形が綺麗にできた
ムキムキメンである。
ウエイトリフティング部にいったい何度
誘われたことか。さらには身長も187㎝で
筋トレの項目にジャンプ力もあったため
バレー部やバスケ部にも幾度となく誘われた。
さすがにボディービルダーや
某筋肉系You○uber程ではないが、
それなりに鍛えられた体をしている。
そして今、そのギルドの扉へ手をかけた。
「いざ、夢の第一歩へ」
開かない。
「ん?」
さらに力を入れるが開かない。
「ん?あれ?おかしいな。」
ドアノブを引いてみても開かない。
「ええ?まさか、
ドアノブがあるくせに引き戸とか?
ってあってたー!?」
まさかとおもってやると
かなりの勢いでドアを開ける。
中の人々がこちらを驚いた様子で
凝視する。
「た、たのも~」
「きみここにくるのはじめてだね?
押戸と間違えたんだろう。みんな
最初は引っかかる。無論、僕もね。」
目の前に来て話しかけてきたのは青い髪を
綺麗に整えた好青年だった。
容姿端麗で明らかにモテてますっていう
感じの人だった。
「そこは初ヒロインか新人潰しだろ...」
「ヒロ?なにやら僕が
期待はずれだったみたいだね。
僕は王国騎士団のテラウロス・オズワルドだ。
テラと呼んでくれ」
「オズワルドが苗字なんだな。
俺は雪。雪 上山だ。」
「わかった。ユキと呼ばせてもらおう」
容姿端麗なのはムカつくが
気は良さそうなので仲良くなれそうだ。
「今日は何をしにここへ?」
「ちょっと冒険者登録に」
「なるほど、それはいいことだ。
彼らは見かけこそ危なっかしいが実に
気がいい人たちだよ。
困っている人がいたら助け、一人で無理なら
みんなで、そんなチームワークがすごく
できているし、冒険者同士の信頼も厚い。
ここまでいい人たちはこの王都くらい
だろうね。」
「にゃるほどね」
冒険者はライトノベルだと荒れ
くれものだとか、そういうイメージを
受けやすいが、現実はほんとに
きがいいらしい。町民市民も安心して
依頼をするようだ。
「おやおやー?オズワルド様。
その子は?」
するとそこにいかにも受け付け娘やってます
といった服装の猫耳少女が耳をピクピク
させながらこちらにやってきた。かわいい。
「冒険者希望の僕の友人だ。ユキという。」
さらっと俺を友人にしたな。
「へぇ~、剣聖さまのお友達となると、
きっと化け物みたいに強いんだろーね。」
「剣聖?」
「ナフカ、その事はあまり
話さないでくれるかな。」
「いぃじゃない。
ここのみんなは知ってるんだしねー!」
剣聖というとゲームでも漫画でもとにかく
えげつなく剣が強いもののことを指す。
ものによっては一人で世界破壊できんじゃね?
っていうレベルに強い剣聖もいる。
「知らなくて友達ににゃったの~?
あ、違った!なったの~?
この人は、代々剣聖の名をつぐ一族、
オズワルド家の今代剣聖、
テラウロス様だよー?女の子から
モッテモテにゃんだから!あ、また!
モッテモテなんだから!」
「僕がその称号を貰うのには少し、
速すぎた気もするけどね...改めて
自己紹介しよう。」
姿勢をただすと胸にてを当てて
こういった。
「僕の名は王国騎士団第三部団長
七代目剣聖 テラウロス・オズワルド。
まだ、名ばかりなものだけどね」
マジか...
ポ○モンにいそうな名前になりましたね。
テラウロス