表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

実録・主婦兼在宅ワーカーの愚痴の壺

作者: ぐり

 私は、主婦の傍ら、在宅で入力のお仕事をさせていただいております。


 と云っても、特殊な技術がある訳ではなく、手書き原稿やアンケート等の入力が主なお仕事です。


「なんとか社長」とか、副業で年収何百万円とか、アダルト系の仕事はしていないので、生計を立てられるほど、稼ぐなんて、もっての他です。


私の、在宅生活は、まず「詐欺」に合った事から始まりました。「当社独自の研修」名目で、何十万円もする教材を買いました。そして、試験が何度もあります。それが、受からない。

何回トライしても受からない。そうこうしている内に、会社倒産。


「本当は、まっとうな在宅ワーカーなんて、有り得ないのかも」と思いつつ、パソコン相手に、検索、検索の毎日。

やっと、入力実績ゼロのおばさんと契約してくれる有難い。有限会社と巡り合い、契約にこぎつけました。在宅ワーカーと会社とは契約なんです。社員とかパートじゃないんですね。

だから、収入=仕事した量。その単価は、0.3円とか、0.25円とか…銭の世界なんです。


 納期が短くて、単価が安い。内職のような仕事です。

初めの頃の年収は、3万円とか5万円。契約する会社を一つ増やしても、年収10万円。


 けれど、最近は、仕事も増えてきました。今年は、半期で10万越えです。といっても、昨今の値上げラッシュで、いつの間にか消えてしまうのか現実です。


 仕事をくれる、会社には、ただ感謝です。

私は、他の在宅さんとの付き合いがないので、皆さんがどの位の量の仕事をこなしているのかわかりません。他の在宅さんと較べて、自分がどの程度、仕事面で信頼を置かれているのかもわかりません。


 主婦だから、旦那の稼いだお金で生活出来るから、このよう心持でいられるのだと思っています。


 仕事は、ハードです。きついです。正直パートに出ていた方が、楽に多く稼ぐ事が出来ます。でも、それが出来ない事情があって、在宅という選択をしました。

「勤め始めちゃえば、こっちのもんよ」と既成事実を作ってしまう方法もあると思います。が、他に頼る人の居ない身では、家を空ける事も出来ません。


 じゃあ、なんで在宅をしているの?


 それは、家事が苦手だからです。人間って悲しいなって思います。家事・育児を全部1人でやっている生活が続くと、「やって、当たり前」になります。

 私は、その生活で、自分の存在価値が無くなってしまったような気持ちになってしまったのです。家事・育児・学校の事・保育園の事、全部1人でやっていても、「ありがとう」の言葉はありませんでした。旦那の給料から「これ、お前の分」と自分の自由になるお金を貰った事もありませんでした。

 私の父は、「稼いでなんぼ」という人間です。今は、年老いて「金の亡者」になってしまっていますが。その父が私に追い討ちをかけます。

「ほら、稼いで帰ってくるんだから」と…。なんでもかんでも、私の事は後回し。用事をさせるときだけ必要。別に、私じゃなくてもかまわないとさえ思いました。

 家事を頑張っても、認められない。初めは、自分の努力が足りないと思いました。けれど、違ったんです。

 皆平等なんて、嘘です。家庭内順序・優劣は確実に存在します。そして、外貨を稼がず、家の雑用をする主婦は、家族の意識の中で必要悪的に、最下位に存在していなくてはならないのです。

 そんな状態になんて、耐えていられません。自分なりに、多少でも外貨を稼ごうと思い、始めた在宅ワーク。


 そこで、何年間も聞く事のなかった言葉を聞く事が出来た時の嬉しさ。

「ありがとうございました。又よろしくおねがいします」例え社交辞令だとしても、初めてその文字を見た時には、涙が出る程嬉しかったです。

 シンドイ仕事であればある程、納期に間に合わせて無事終らせた時の達成感は、「自分で自分を褒めてあげたい」状態です。 


 電話で、「○○さんにお願いするしかないんです。急ぎなんです」と言われた時の嬉しさ。

 通張に振り込まれる金額は例え少なくても、紛れも無く私自身の労働に対して支払われた物。


 労働は、尊い物です。それは、金額の問題ではなくて、自分と言う物が立って歩いて生きて行く為に、必要な物だからです。


 労働とは、単に働いてお金を稼ぐという意味ではありません。人間の一番の仕事は生きて行く事。たんに、死んで居ない状態ではなく、どんなに辛くても生きて行く事だと思うからです。そして、私が、今現在、生きて行く為に、必要な事の一つが「在宅」の仕事だからです。


 どんなに辛くても、請けた仕事の途中で死ぬ訳には行かないから。

私は、そうやって、自分を縛らないと、「死にたい」気持ちから逃げられないからです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ