表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

何も怖くないさ 飛ぼう!

作者: マダナイ

 実のところ、創作物中の宇宙船ってどうやって推進力を得ているかは意外なほど不明だったりします。

 え?

 波動とか核融合とかブラックホールとか対消滅とか相転移とかいろんな名前のエンジン設定されてるじゃない?

 動力源、としては確かに。でも、それが作るのは熱エネルギーと電力であると思われて、運動エネルギー=推力を作ってる、とは言ってないことがほとんどと言って差し支えないようなのです。だからあなたの作品の宇宙船もそこはなあなあでも大方誰も突っ込みません。いやホント。うっかり突っ込むとブーメランですから。

 そんな結論が出たところで今回はこれにて……

 だめですか。

 そうですか。

 では現代で使わエている物を参考までに。


 人工重力の時はざっくり二つに分けましたが、ちょっと特徴がオーバーラップするので大枠は切らずに行きましょう。



 1 反動推進系

 いわゆるところのロケットです。何かを打ち出してその反作用で推進力を得ます。打ち出す速度が速く、撃ちだすものの質量が高いほど大出力が得られる理屈ですが、この両者は両立が難しいですね。もうパッと見ただけで。自前で動力源を用意するので能動制御できるのだけど、いろいろと荷物が増えてペイロードは圧迫する。燃料の切れ目が縁の切れ目。


 1-1 化学ロケット

 燃焼等の化学反応で熱エネルギーを得て推進剤の体積を膨張させ、後方に噴出します。古くは紀元前中国に端を発する由緒ある方法。反応は主に酸化燃焼反応が用いられます。

 推進剤のタイプで「固体ロケット」と「液体ロケット」に分けられます。それぞれ長所と短所有り。

 どちらにしてもイメージは湧きやすいのですが、燃料を大量に用意しとかなきゃならないのが困りもの。

 どのくらいってそうですね。まずH2でもサターンでも何でもいいからロケットを想像してください。そう、鉛筆をスケールアップしたみたいな形の。あの8割くらいは燃料タンクと酸化剤タンクです。

 1-1-1 固体ロケット

 燃焼材と酸化剤は一緒くたに固められており、火を付けると激しく燃焼、、大量の高熱ガスを出します。ぶっちゃけ火薬。ロケット花火の親玉、という理解で大体おk。

 長所。バルブだのタービンだの故障の元がほぼほぼないので信頼性は絶大。仕掛けが簡単なので比較的安くて製作も簡単な部類。

 短所。一旦点火したら出力制御はあんまりできない。火薬が燃え尽きるまでやめられない止まらない。なので現代ではもっぱら初期加速を得るためのブースターとして使うことが多い。

 1-1-2 液体ロケット

 液体の燃料と酸化剤をそれぞれ用意して燃焼室に送り反応させる。燃料は軽くて反応後の体積増加率のいい水素が人気。稀に他のものを使うことも。酸化剤は素直に液体酸素の事が多いけど、過酸化水素水なんてのを持ってくる天邪鬼がいないこともない。

 長所と短所は固体ロケットの逆と思ってもらってよろしいかと。制御が効くので必要に応じて出力の加減が効きますし、一旦停止して慣性飛行して燃料節約もできます。製作は高度な工業力が必要。耐熱合金等の高度な素材も必要。なので高価。

 あと、液体水素や液体酸素を用いる場合、低温なのでロケット表面に霜が付いて、発射時に剥がれ落ちて悪さをしたり霜を嫌って断熱材をまいたら発射時の衝撃で剥がれ落ちて悪さをしたりする事例も。

 なお、液体水素、と言うか水素分子は既知で最も小さい分子で、他の素材で完璧に通り抜けを防ぐことは不可能です。このため打ち上げ直前まで燃料タンクにつぎ足し続けないと満タン発射できません。


 1-2 イオンエンジン

 ハヤブサで有名になったあれ。故障して有名度が増したのテヘペロ。

 イオンを電磁加速で打ち出してその反作用で推力を得ます。現段階ではあまり大推力にできないのが難点。まだ歴史の浅いペーペーなので信頼性はこれから。


 1-3 核熱ジェット・ロケット

 マクロスのバルキリーとかガンダム系がおおよそこれ。反応炉の熱で冷却材兼推進剤を加熱、噴射します。安定して使えてクリーンな動力炉が作れるなら酸化剤が要らない分だけでもメリットはありますね。


 1-4 核パルスロケット

 機体後部のリフレクターのさらに後ろで核爆発を起こし、その衝撃波をリフレクターで受けて加速するそれはもう恐ろしく力技な方法。筆者小学生のころには真面目に考えられていたらしい。


 1-5 光子ロケット

 やたら強力で大型なライトを後方に向けて点灯、放出する光子の反作用を推力に。理論上はほぼ光速近くまで速度が出せるけど、初期推力が心もとない。



 2 天体重力利用 

 スイングバイってやつ。天体の周りを周回する公転軌道(大抵は衛星軌道)にチョイ乗りして速度を稼ぐ。狙った方向に跳び出したり十分な加速を得るためには正しいタイミングで狙った軌道に乗らないといけないので航行スケジュールを天体の方に合わせて設定しなければならない。ハヤブサがなかなか帰れなかったのはこのため。ただ乗りなので相手の都合に合わせるくらいはしなきゃなんないのだ。しかしまあ制約のきつさがドラマの基になり得たりするので侮れない。



 3 ソーラーセイル

 バカでっかい帆を張って恒星の光を受け、その光圧で推力を得る。現在実証試験段階。省エネだけど船体のサイズが大きくなればただでさえバカでっかい帆がもっとでかくなる。ロマンにはあふれているが、およそ戦闘向きとは思えない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 面白いエッセイですね。 核パルスは力業すぎてちょっと引きます。 効率のための筒は必須ですよね。 どんな素材の筒なら耐えきれるのか。 効率の良い推進力の作り方……自分でも考えてみます。
2016/12/06 15:49 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ