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病み上がり
おいしいものを食べて
一息つく
何気ない幸せが
ありがたくて
こみ上げる涙
無病息災が
身にしみて
真剣に祈る
夏祭り
耐えられない夜は
多かった
行く末の見えない
不安に苛まれて
気晴らしの遊びも
寸断する痛みに悩み
気がつけば
必要以上に怯えていた
まるで見えない敵と
戦っているように
わたしの体が
わからない
けれど
生きることは
ただ生存すること
ではないのだ
行きたいところへ行き
食べたいものを食べ
そうして実感する生
痛みや熱と
引き換えにしてでも
満たされゆくもの
万全ではなくとも
抱えて生きていく
それでいいのだと
蝉時雨の中で思えた