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散華
木漏れ日
草いきれ
葉擦れの音
はためく裾
麦わら帽子
目を覚ました君は
神木に身を寄せて
去りし日を見てる
刻まれた碑は
君の……
春の残滓
玉砂利に滴る
紅と黒
燃える言葉のために
摘み取られた花々
伸ばされた手を掴んで
お互いに貪る
信じるのは
ふたりの体温だけ
サイレンが鳴り響く
あっけなく
幕が降りて
血の滲む右手を
再び握りこんだ
何を罪と言うのか
せせらぎ
蝉時雨
流し雛
影送り
菊一輪
神木に籤を括り
未来を望んで
目を閉じた君
ぽつんと残った
君のサンダル