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手向け
ああ
死んだね
死んでしまったね
懐かしい青の果てで
狂おしい
ほどのものは
花束が
次々
投げ込まれて
夢の軌跡を
なぞっていく
吹き惑う風
薄れゆく輪郭
散り際の顔を
美しいと言って
愛でた人影
街に咲く花のように
誂えられたものなら
きっと
断ち切れたのにね
曖昧な姿のまま
ただ
時を待つ
残り香さえも
忘れてほしい
今となっては
*:*:*:*:*:*:*:*
一輪
一輪、
彼の人の笑顔を
思い浮かべて
花に問うた行く末も
果敢なくて
落花流水
もう逢えなくとも