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失せ物探し
言葉にそっぽを向かれてしまって
書いてもない詩がほら
他人の顔してる
泣き叫びたいのに
首を傾げていて
どうしろって言うのよ
あなたはわたしじゃなかったの
ほんとはどうでもよかった?
すり抜ける感覚さえなくて
目眩がする
恋人の機嫌をとるように
横顔を盗み見ては
好きだったはずのものを並べていく
でも
ねえ、
呆れているのね
……
飽きているの?
揺れる足先に
触れることさえ
できないなんて
いつの間にか
ぼろぼろになったぬいぐるみのように
どこかへやってしまったのね
千切れそうな感触だけが
手元に残って
離した覚えはないのに
夜には
あなたにつけた
名前という名前を
書き出してみている
呼ぶ幸せを
めくりながら