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永久の岸辺
今になって気付いたわ
貴方に歌を捧げている時が
一番幸せだったの
他に誰もいなくても
他の誰と戦っても
ふわりと受け止めてくれた
その時が
自分の在処を叫ぶ
争いは苦しくて
尽きてしまったけれど
やわらかな手を
まだ
覚えてる
間遠に聞こえる
さざめきが
いたずらな棘を
洗い流して
いつしか星へと
変えてゆく
この静けさに
貴方が遺した
光
道を照らす心
ただそれだけで
傷んだ足が
海から上がれる
砂を吐いて笑うわ
たとえ二度と
触れ合えなくても
ね……