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浮遊
ふくらんだり
ちぢんだり
虹色の光で
ふちどられた円錐を
うめていくのは
薄い灰色の雫である
やわらかい毛布を
コツリと叩き
その床を知る
倦怠以外の何かを書きうるとすれば
それは一枝の自由だろう
鐘の音をさらって
飛翔していく彼らの
優美な曲線を見る束の間
球体がひとつふたつと
空から降りて
窓際にとまる
厭うのは境界
けれど
澄みきった空気に
怯えてもいて
ガラスをなぞるだけ
冷たい指先を
なめることにも飽きて
目覚める時には
弾けているだろうそれを思いながら
眠りについた