60/100
恋と言うほどの恋でもなく
何気ないやりとり
君がくれた言葉を
丁寧に折り畳んでいる自分がいて
選んでくれた香水を
今日も纏っている
何と言う訳ではないけれど
心の端のひび割れた部分から
じんわりと滲む水を
掬いとる指先
一瞬の光
お互いに苦しんできたから
綺麗な仮面を並べてしまう
舌先の鋭さを知っているから
笑顔、に、堕ちる
けぶるように
消えていく真実
何事もなかったかのように
離れてお辞儀
きっと、
の先はなくて
それが正しいと思った
□◇□◇□◇□◇□◇□◇□
袖が触れただけ
ね?