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電詩遠景
読者と作者が対等で、何の権威も帯びない。
どれほど幸せなことだろう。
出版不況と言うけれど、そもそも売り物ではなかった。
生き逝くために必要な言葉という言葉が、光に乗って世界を駆ける。
誰が夢見たことだろう。
師も弟子もいないフラットな地平では、誰もが「君」と「私」。
永遠の夜明けの前で、何に学ぼうか。
「他愛なさ」と「本質」の狭間で揺れる振り子。
「君」の瞳を見て選んでみよう。
独りではないという奇跡のために。
遥か、
平安のさざめきが聞こえるーー