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きっとわたしは
長く病んでいたのだし
治すことさえ思い浮かべないまま
日々を繰っていたのだと思う
あるいはそれは
男で
ある時は
詩の姿をしていた
希求する言葉を得られないまま
人の内をさ迷う
悪女と言われても
それほど、と。
光をくれる人達はたくさんいたのに
何故か手を離してしまっていた
花を想う。
後に残るものを嫌うと
どうして彼は知っていたのだろう
不意に受け取って
コーラルピンクに目を細めた
じわじわと沁みるように
愛を感じて
戸惑う夜べ
凍えていたことを知る
はらりと落ちた……