54/100
佳き日へ
銀杏舞う氷雨の古都
鉛の天井は日を遮り
赤い手を擦り合わせ
寄り添う影に戸惑う
詰るのは詮無いこと
想い出に凍えても
交わした言葉こそ
昨日を忘れながら
道々に目を凝らす
涙は高瀬川に流し
八坂の華を見よう
遥か師の師たる森
郷を憂うまなざし
ころりと笑う娘達
それでいい
各々に担うのだ
その灯火を
……………………………………………………
名も無き人々の
祈りの声が聞こえる
地の果てから
世の果てから
和を成して
層を成して
響き、応え、
空へ天へ
口付けた嘘を越えて
呼び覚ませよと