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黄昏
茨木のり子に叱られて
なけなしの水をやる
日々にも飽いて
戦人の話に聞き入る
幸せだって言い聞かせていないと
幸せではなくなりそうで
オカシイでしょ?
原民喜が求めて
求めてやまなかった水を
カンタンに手に入れられるのに
どこまでも渇いているの
パキリと音がしそうなほど
「●●ーー●●●?」
ゆるい笑みを浮かべて
ゆっくりと首を振る
素朴な琴は
いつ鳴り出すのかしら
誰彼の詩を口ずさみながら
鐵の匂いに
ひっそりと怯えている
焦がれつつーー
茨木のり子『自分の感受性くらい』
原民喜『水ヲ下サイ』
八木重吉『素朴な琴』