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《夜間飛行》
生ハムを剥ぐようにして
仮面を脱いだ夜、
交わしたグラスは
既に酩酊の予感を湛えていて、
一息、
飲み干した後の憂鬱。
癒えない渇きに
蜂蜜を一匙、
ぬらりと光る唇。
君と僕。
互い違いの夢。
◇金魚が踊る夜景◇
◆水に堕ちる天女◆
◇透きとおる薔薇◇
ーーつぼみだった君を
花開かせたのは誰なの?
昏い衝動を伏せて、
上げた口角。
詮ないこと、だ。
ミッドナイトブルーを纏う背中に
口付けを落として、
紡いだ
外殻の言葉。
君はもう
《ドルチェ》ではないんだね
僕を捕らえる瞳から
甘い春の気配は去っていて、
一人、
残された肌寒さ。
君は君で。
嵐を駆けて
来たのだろう。
ーーどこに行こうか?
重ならない翼を、
あの日のように。
ゲランより着想。ドルチェ&ガッバーナを加えて。