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voiceless
生きたくて
死にたくて
わたしは
0に帰る
夜明け前の
張りつめた窓際
配達のバイクが
静寂を切り裂いて
朝が始まる
犬の挨拶
雨戸を開ける音
親子喧嘩
他愛ない日々の
幸福に焦がれる
気配さえない
わたしに朝を教えてくれたひと
忘却の作業は
心を引き連れて
葬ってしまった
思い出の温もりは
冷たくて
焼き付いた光が
わたしを覚ます
一歩も動けない
本当は
それでも
「いってきます」
無音に響く、声。
1を刻む儀式
鏡を見て
顔を作る
瞬き一つ
ドアの外
ーー
そして
今日の夢も
忘れることにした