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送り火
誰が帰っていったのだろ
あの幻みたいな
舟に乗って
想いが燃える灯火
風雨に耐えて
鳥居をくぐる
啼かぬ狐が
見つめる
水平線
二酸化炭素になるんじゃないの
わかってても
そう言いたい
業だね
逃れられないから
ため息みたいに
シを唱える
掻き合わせた物語は
お雛様のようで
流れていく
流していく
時のように
書き込んだ文字は
来夏
忘れているのだろう
色とりどりの残影だけが
裾をひいて
闇に戻る
山陰の月が
雲霞を照らしていた
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あの橋の向こうに
君がいる
と
残酷で
優しい
嘘
信じたいんだよ
いつだって