右拳
レンは、澪に出会ってから父の後を継ぐ事を決意し、
今となっては、レンは見違える程成長し、何十人いや、何百人の手下を従えるようになった
「おい、澪あの時の約束まさか、忘れてねーだーろーな」
学生服姿の澪を馬鹿にするような目でニヤニヤと不気味に笑うレン
「レンと違って俺は忙しい人なんだよ」
澪は、そう言うとレンの下腹部にパンチを喰らわせた
今度は、左手では無く澪の利き手の右手だった
「相変わらず、いいパンチ持ってんじゃねぇか」
そう言うとレンは、澪の横腹へ拳を突いた
目を細めて今まで見せないような笑顔で笑うレンを見て、後ろにいた大勢のチンピラ達は、唖然とし声も出なかった
「レンこそ、立派になったじゃん」
あの時澪の左手でパンチされただけでも、レンは蹲っていたのに
今となっては、逆に澪の横腹に一撃を喰らわすまでになっていた
2人は、目を合わせると人目も気にせず大笑いした
そんな時、一人の大男がレンたちの目の前で
「レンさんそろそろお時間では??」
と時計を見ながらレンを急かした
「あぁ、もぅそんな時間か?
澪は、これからどぅすんだよ」
澪は近くにあった駅の時計を見た、錆び付いて汚れた時計は10時30分をさしていた
「どっか行くんなら車で送って行くよ」
藍の学校が終わるのはあと30分後、今から電車とバスで行っても間に合わないので
澪はレンの車に乗っていくことにした
さすがヤクザともあってフェラーリのF430Bio Fuel良い車を持っていた
「女にでも会いに行くのか?」
またあのニヤニヤと不気味な笑顔で澪を見るレオ
「まぁな。」
ぶっきらぼうに答え窓の外に目をやる澪
だが、レオは気づいていた澪の真っ赤になった顔を
経験豊富な澪だが藍に関することとなると小学生のガキのような態度になってしまう澪
現に今藍の事を思い出しただけで真っ赤になるのだから、
そんな子供らしい澪の姿を見てレンは、やっぱりまだ澪は中坊なんだなと感じた
キキィッ・・・―!!
レオが、急ブレーキを踏むとシートベルトをしていなかった澪は危なくガラスにぶつかりそうになった
「澪、着いたぞ」
目の前には、藍が今日から通うことになった私立高校
携帯のディスプレイを見るとまだ、11時ちょっと前で誰一人外に出ている者は、居なかった
「じゃぁ、俺もう行くから」
レンはそう言うと車に乗り込み行ってしまった
「相変わらず素っ気無ぇ奴」
物凄いスピードで走り去ってく車を見て苦笑いする澪
澪は、校門の前で藍が出てくるのを待つことにした
何分かして、ちらほらと人が校舎から出てきた
学生服で整った顔をしている澪は、とにかく目立ち
中には、携帯を澪に向け何枚も写真を撮り騒いでいる女子生徒の姿もあった
なかなか藍がでてこないので澪は、しびれを切らして校舎の中に乗り込んだ
中学校とは、全然比べ物にならない程広い校舎
藍の姿は、何処にも見えなかった
本当は、突然行って藍にビックリさせてやろうと思ったが
澪は、計画を変更し、藍に電話を掛ける事にした
2回目のコールが鳴り終わった時
『澪・・・?なんで澪が此処に居るの・・・・?』
澪が顔を上げると携帯を耳にあて唖然としている藍の姿
「藍そんな所にいたのか、探したんだぞ?」
藍に近づきいつものように髪を撫でようと右手を差し伸べた瞬間
パチンッ!!
校舎に響き渡る鋭い音
澪は、呆然とした
授業を抜け出してまで藍の為に此処まで来のに澪は、藍の喜ぶ姿さえ想像していたのに・・・・
「今普通だったら、授業やってるはずでしょ?!!!
なんで澪が此処にいるのよ!!!」
人目も気にせず取り乱す藍に澪は、ショックを隠し切れなかった