終わり?
勇者を倒した俺達は現在、近藤の手加減の練習に付き合っている。何故かって?近藤がやらかしたからだよ!理由は三日前に遡る。
「お前の能力の上昇に驚いたが、これなら勇者を名乗る悪魔を倒せるじゃないのか?」
(…余裕ですね。)
ベルが呆れている。だよな?何か最初のステータスがオマケみたいになってるもんな。
「はひ!がんびゃってきましゅ!」
「殺すんじゃないぞ?倒すだけで良いんだ。緊張すんな。」
ゴブリンの虐殺である程度罪悪感に耐性のある俺が止めを刺す。耐えられるかすっげえ不安だが。
「え~と、私が後方で支援と回復。間違っても勇者に近づかない。それと…、」
俺が書いたマニュアルをランが復唱している。勤勉だな。
何故マニュアルを書いたかというと何かランって人質にされそうで怖いから本当自分の役割に徹してほしいんだよな。後ろから援護する分には何も起こらないだろう。
スライムは?俺が背負っている。不意打ちをかましてやるぜ!
アイテムよし!装備もよし!はあ、近藤は装備してなかったから、鉄装備一式揃える羽目になったぜ。さて行くか。
「へっ、へっ…」
近藤のやつが上を向く。くしゃみかよ。
「へっくしゅん!」
その瞬間、空気の大砲が放たれ、城が消し飛んだ。えっ?
(あっ、今ので勇者死にました。)
マジで!?レベル50の勇者がくしゃみで死んだ…だと?いや、あの威力なら納得ではあるが。
「勇者死んだみたいだぞ。」
一応伝える。これまでの準備は一体なんだったんだよ…。
「えっ?でも、レベル上がってないっすよ?」
憐れ勇者。お前は経験値の足しにもならなかったとよ。
後にわかることだが、勇者恐さに城にはメイドや執事はおろか、兵士もいなかったため勇者以外死者はゼロだったとのこと。不幸中の幸いだぜ。
(しかし、くしゃみであの威力か。)
(手加減のスキルを覚えさせますか?)
ベルが急に話しかけてくる。あるのか?そんなスキル。
(どうすれば、覚えられる?)
(そうですね…、何か柔らかいもの…豆腐やプリンみたいなものを握り潰さず掴む練習をすれば大丈夫です。)
ということで今に至る。チャレンジしているのはこの世界でいう豆腐みたいなもの。婆さんが協力して作ってくれている。名前は…忘れた。現在、99個目。さっさと成功させろ!難しくねぇだろ!いや、あのステータスなら難しいのか。
ちなみに成功させたら、この旅に連れていく約束をしている。もうこの世界で生きていけば、何の不自由もないと思うんだがな。英雄扱いだからな。
「できた!できたっすよ!あっ、アナウンスが聞こえたっす!」
記念すべき100個目で成功。やっと終わった…。
こうして新たに仲間が増えた。




