噂をすれば
「ギルドカードを…ですか?身分証明のためですか?冒険のためですか?」
受け付けの人やる気…、いや覇気がないな。自称勇者が暴れているから当然か。…前の世界でも竜が暴れていたが、そんなことなかったけどな。あの時は、生け贄が当たり前になっていたのか?
と、脱線したか。身分証明と冒険、一応両方…か?
「両方で。」
「では、ここに名前を書いて下さい。その後ジョブにもついていただくことになります。」
「いえ、すでにジョブについています。」
「…ギルドカード持ってないんですよね?」
「紛失してしまいまして。」
「そうだったんですか。失礼しました。」
くそ女神!ギルドカード持ってないのにジョブについてるのはおかしいと最初から言え!咄嗟についた嘘が通用して良かった…。
その後、二、三質問されたが、無難な受け答えをしてギルドカードを手に入れた。
不審者卒業!ギルドカードバンザーイ!それにしても、ギルドカード手に入れるのに一悶着あるもんだが、俺の場合無かったな。良心的なのか、疲弊しているのか。どっちでも良いか。
「ああ、悪魔があそこに…。息子の命を奪ったあの男が…!」
歩いているとなんか憤っている婆さんがいるぞ?ん?もしかして、あれが勇者か?
「死ねー!!」
無茶だ、婆さん!婆さんがナイフを取りだし、勇者であろう男に襲いかかるが、
「邪魔だ!鬱陶しい!」
危ない!蹴り殺すきだ!
(防膜!)
バレないように念じる。婆さんに防御魔法を施す。
「ぐは!」
すっごい飛ばされたけど、魔法は間に合ってたぞ!痙攣している。生きてはいるな。
そこに見覚えのある顔があった。
「お婆ちゃん、大丈夫っすか!?」
頬に大きな傷があり、
「ああ、ああ、ありがとうね。」
「気にしなくて良いっすよ。家まで送りますよ?」
「すまないねぇ。」
目付きは鋭くヤンキー顔なのに、
「ここで良いっすか?」
老人に対して親切でおんぶをして家まで運んでいる。
俺の親友の一人が何故かこの世界にいた。




