誤魔化し
やっと、やっと終わった。…この世界は。すげぇ疲れたな。こんな世界がいくつもあるのか?面倒くさ!
翌日になって、ランに親にお別れを言うか残るか決めるように促したが、『生け贄の時に済ませてあります!どこまでも付いていきます!』と言って決意は固かった。せめて、生きてると教えたら喜びそうだがな…。
そして、異世界転移の時が来た。
(準備はいいですか?)
「おう、いいぞ。」
「わ、私も大丈夫です!」
「あっ、その前に…、」
忘れてたぜ。
「ランの経験値1/10を外してくれ。」
(…既に外してありますよ?)
なんだと…。本当だ…。いつ外したんだ?聞いてみよう。
「いつ外したんだ?そんな素振りなかっただろ?」
この女神、隙あらば寝ているからな…。
(ふぇっ!?そ、そんなのパパッと…。)
…何で答えられないんだ?普通の質問だろ?
「何か隠してないか?」
(そ、そんなこと…。)
外してある。それは、間違いない。確認したが、ちゃんと消えている。あの不愉快なスキルを外してくれたのならば、この女神なら胸を張って答えるはずだ。
答えられないのはよほど嫌な方法だったか、…外したのはベルじゃない?じゃあ誰だ?
おかしなことは他にもある。外せるのなら早い方がいい。なのに、次の世界に行く段取りができてからと言っていた。これは非常に非効率だ。何故経験値豊富そうな竜を退治してから…まさか。
「なあ、ベル。」
(は、はい?)
「あのスキルは竜が人々につけた呪いとかだったんじゃないよな?」
(そ、そんにゃ、しょんな…、げふんげふん…。そんなことないですよ…。)
…図星か。
「なあ、ベル?」
(な、何ですか?)
「お前ってレベルいくつだ?」
(ふふん!聞いて驚きなさい!私のレベルは51827です!腐っても神ですからね!)
話題を変えてくれたと勘違いしてるな…。
俺の世界には女に手をあげる奴は最低だという言葉がある。つい数分前まで俺もそう思っていた。だが、今は違う。時と場合によっては、手をあげてもいいと思う。
要するにどれだけレベルを上げればぶっ飛ばせるか考えていただけだ。五万…か。六万になったら殴り行こう。どれくらい異世界が存在するのか知らないが、上がるよな?
(…あれ?悪寒が…。)
「よし、ベル!次の異世界に飛ばしてくれ!」
危機感知能力は高いな!
(は、はい!そこを動かないでくださいね。)
そして、俺達は次の異世界に飛ばされた。




