旅行の女神?
「おおー!!」
俺こと佐藤大輔は、飛行機の窓から外を覗き込む。俺は今、大学の夏休みの合間にグアムへ出掛けていた。ずっと、外国に行くの憧れだったんだよな。おっ、飲み物配ってるな。
「すみません、俺にもお茶一つください。」
「はい、どうぞ。」
お茶を受け取る。すると、急にアラームが鳴り出した。な、なんだ!
『異常事態発生、従業員の方の指示に従ってください。』
操縦席の方向からエンジントラブルだとか聞こえてくる。ヤバイ!従業員の指示に従うが、飛行機が墜落し俺は死んだ。
「ああ、俺は死んだんだ。」
俺は辺りが真っ白の世界にいた。あっという間だったな。
「ようこそ、私の家へ。」
声がする方に向くと金髪のロングで白い衣を着た人がいた。誰だ、お前?
「私は、旅行の女神ベル。初めまして。」
女神?ふざけてるのか?まあ、本名か知らんが名乗ったからには、此方も名乗ろう。
「大学生の佐藤大輔だ。飛行機の事故で死んだ。」
「知ってるわ。私が落としたもの。」
…こいつ何て言った?
「すまない、もう一度言ってくれ。」
「飛行機は、私が落としたの。」
「俺の人生返せーーー!!!」
「ご、ごめんなさい!でもどうしてもあの事故は必要だったの。」
そうなのか?どんな理由だよ。
「何故だ?」
「貴方と話したかったから。」
「何故俺なんだ?」
「頼みたいことがあるの、それは貴方じゃないとできない。」
「…その前にテレパシーとかで会話できなかったのかよ。」
「あっ。」
あっ、じゃねえーーー!たくさんの人が亡くなったぞ!
「で、でも、亡くなったのは貴方だけよ?」
それは、まあ良かった?
「…で頼みたいことってなんだ?」
「貴方に世界を救ってほしい。」
はあ?
「何言ってんだ?」
「実はね、世界というのは数え切れないほどあるの。それこそ、星の数ほど。その内のいくつかが滅びそうになっている。」
「さっき、答えが中途半端だったが、何故俺なんだ?」
「貴方は私と相性が良いの。だから貴方に力を貸してあげられる。少しだけど。」
「お前が、行けばいいだろ?」
「私は、異世界に降りる力がないの。神の中でも下の方だし。それとお前って呼ばないで。」
「俺以外にいないのか?お前、なんか抜けてるし。」
「私が探した範囲には貴方しかいなかったわ。あと、お前って呼ばないで。」
「…わかったよ。女神。」
「ベルで良いわ。貴方を殺したわけだし。」
めんどくせー。
「はあ、ベルね。…でわかった。世界を救えばいいんだな。」
「ええ。」
「終わったら、どうなるんだ?」
「異世界を行き来する力を授けたまま生き返らせてあげる。」
外国どころか異世界か。
「わかった。でだ、俺はどうすればいい?」
「じっとしててね。」
そう言ってベルが杖を構える。そして、俺は異世界に飛ばされた。