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11-4 , 11-5
†††11-4
静は大学への支度を終え、玄関のドアを開け、鍵をかけた。
持ち物は鞄一つ。薄く化粧をし、自慢の黒の長髪もきちんと整えてある。
ふわふわと長髪をなびかせて静がアパートを出ようとしたとき、背後でがちゃり、と音がした。
ふと振り返ってみると、男が二人、部屋から出てきた。
その一人は渡だった。
†††11-5
「・・・・・・」
「・・・・・・」
渡と静は一言も話さなかった。
静は、渡の隣で気まずそうにしているクチナシに一瞥すると、そのまま踵を返してアパートの階段を下りていった。
古い錆びた鉄の階段が耳障りな音を立てている間、渡は微動だにしなかった。
「・・・・・・行こうか」
しばらくして渡は呆然と立ち尽くしていたクチナシに声をかけた。
「・・・・・・ああ。社長が待ってる」
クチナシは渡の肩をぽんぽんと二回たたいた。
†††




