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死にたがりと君  作者: アズキ


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第8話「星空」

我に返ったとき、辺りは真っ暗になっていた。

空には満天の星が散らばっている。何を思ったのだろうか。その星に手を届かせてみたくなった。校舎に戻り、屋上へと向かった。

いくら高い所へ登ったところで景色が違うだけで星に近づけるわけが無い。そんなことは分かっていた。でも、今は星空を眺めていたかった。

大の字になって寝っ転がり、星空を眺めた。何回も見た景色のはずなのに、なぜなのだろう。全く違う景色に見えてしまう。そしてこうも思ってしまう。雪とこの景色を見て、楽しい会話をしてみたいって。

友達ができるとこんな感情が生まれるものなのか。初めての感情。いや、ずっと心の中に隠していただけの感情なのかもしれない。


「寂しかったのかな。」


独りで呟いたその言葉の重みはものすごく、自分で言った言葉のはずなのに、のしかかってくる。

星空の景色がまるで水の中のようになる。中村の目には今、水たまりができていた。どこからともなく現れたその水は許容量を超えて溢れ出す。頬をつたり地面へと流れていく。


「なぁ、星さん。俺さ、変なやつだなって思ったやつのこと、少し一緒にいただけで好きになっちまったよ。一緒にいてあんなに楽しいやつ、初めて会ったからさ。アイツとなら死にたいなって思えるんだ。」


起き上がろうとして、地面に手を着いた時、左手の親指に痛みが走った。驚いて指を見ると、カッターで切った傷がまだ残っている。こんなことは初めてのことだ。いつも、1時間もしないで治ってしまうのに。なんでこの傷はすぐに治らないんだと不思議だった。

もう一度、大の字になって地面に寝そべった。


「この傷、なんでだろうな。なんで治らないんだ。星さん。あんたはどう思う?俺は、ユキと一緒にいた時にできた傷だからだと思うんだ。もしかしたら、ユキとなら本当に俺、死ねるんじゃないか?」


希望が見えた気がした。死ねることなんてないんじゃないかってずっと考えていたからだ。早くこの世界とおさらばしたい。その方法があと少しで見つかるかもしれない。明日、雪に会うのが楽しみで仕方なくなってしまった。

立ち上がり、屋上の端まで走ってみたりして、今自分が興奮していることを確かめる。なぜだろう、今の自分なら空も自由に飛べてしまうような気がしている。本当に飛び降りようかなと思ったけど、死ぬのは雪と一緒の時がいいなって思ってとどまった。


「星さん。俺に救いをくれてありがとう。やっと楽になれるかもしれないんだね、俺。無駄にはしないから安心してよ。」

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