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死にたがりと君  作者: アズキ


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第16話「後悔」

朝日の暖かさで中村は目覚めた。

闇の中でいつもの感覚があって光が見えた時、絶望した。なぜ生き返るんだと。

そして、いつもは感じていた寂しさが戻ってきたかのような感覚もあった。


起き上がり、隣を見た。血の海に横たわる雪の姿があった。


「なんでだよ。お前と一緒なら死ねると思ったのに。おい、起きろよ。俺まだ死んでないぞ。俺が死ぬのを手伝うんじゃないのかよ。先に死んだら何も意味ないじゃねぇか。」


悔しさだけで彼女を抱き上げて聞こえるはずも無い言葉を浴びせた。彼女は目をつぶり、安らかな眠りについている。中村がどれだけ声をかけたって、揺らしてみたところでもう2度と目覚めることはないのだ。


全てがどうでもよくなってしまった。絶望したところで現状は変わらない。

中村は血まみれの手で校庭にあるスコップを使って穴を掘った。朝日の光が目に入ってきてうっとおしいと感じて苛立ちが募り、作業が荒くなる。

人が1人収まる大きさまで掘ると、雪を運んだ。顔、服、腕、全てが彼女の血で赤く染まる。穴にそっと横たわらせて土をかぶせていく。段々と姿が見えなくなっていくのを見るとこの悲しさを少し和らげることが出来る気がした。実際はただの気のせいだが。


作業を終えて、中村は校舎の教室に向かった。

2人で作ったあの教室へ。何も変わっていない教室。机は昨日のまま、唯一違うのは雪が持ってきていた弁当が置かれているということだけ。

雪の椅子に座り、弁当を開けてみる。

空腹なんてことはなかった。食べる気力もないはずなのに、手が勝手に箸を持ち、口に食べ物を運んでいた。

1口食べるごとに思い出がフラッシュバックする。こんなに短い期間なのにこんなにも濃い思い出が頭の中に流れ出す。

気づいた時、中村は涙を流しながら弁当を食べてい。


「ユキ…ごめんな。お前と生きてたら、ちゃんと死ねたのかもな。」


後悔に飲まれながら、弁当を食べ続けた。

彼女の言葉を信じて生きていれば寿命を迎えることができたのかもしれない。そんなことをいくら考えたところでもう遅すぎた。


左手の親指の傷は綺麗になくなっていた。

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