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死にたがりと君  作者: アズキ


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第1話「思い出」

朝日が登り始めた頃。少し肌寒い。


そういえば、君と出会ったのもこんなふうに肌寒い日だったな。


中村蒼空(なかむらそら)は朝日を眺めながら思い出に老けっていた。産まれてから今までろくな人生を歩んでいない。人と違うと感じたのは小学生の頃だった。中村が人と違うのは「死」に対しての感覚。


小学生のとき、クラスで飼っていたウサギが死んだ。先生を含めたみんなは泣いていたっけ。そんな中、中村は泣けなかった。なんなら、そのウサギに興味を持った。死とはどんなものなのか。泣きも悲しみもせずに、先生に「なんでみんな泣いてるんですか?」と聞いたのは今考えると本当にバカだったと思う。クラスのみんなから白い目で見られ、その日から距離を置かれるようになった。


低学年の時は距離を置かれるぐらいで良かった、けれど高学年になると悪質ないじめや嫌がらせが増えた。「死」というものに無頓着だっただけなのに、周りは中村を人間ではないかのように見た。


いじめは日に日に加速していった。暴言や侮辱、いじめっ子に殴られたり蹴られたりもしたっけ。そんな毎日を中学の卒業まで耐えた自分を褒めたたえたかった。


中学を卒業したと同時に更なる悲劇が中村を襲った。


留守番をしていたある日、両親が2人とも事故で亡くなったとの報告を受けた。もちろん、泣いてなんかない。ただ、これからどうしたらいいかだけが分からずにいた。電話では施設に入るかもしれないと言われたが、すぐに家を出た。


皮肉なもんだ。


他人の死には無頓着だった自分が、今は自分の死について気になってしまっている。人の死を悲しむ前に死にたいと思えてしまった。死んだところで誰も悲しまない。自分には何も残っていないのだから。


初めは夜のマンションの屋上から飛び降りてみた。飛ぶ際は少し怖かった。体の中がフワッとした感覚になり、途中でスローモーションになったかのように感じる。死ねる。そう思っていた。


地面と激しく衝突をした時、とてつもない痛みが全身に走った。骨が砕け、内臓が破裂するのがハッキリ分かる。体の周りを血の海がかこう。意識が薄くなり、目をつぶる。


死ねたと思ったのに、目を開けると朝を迎えていた。ボロボロになった体は全て完治している。困惑したさ、死ねなかったんだから。死ぬ時の痛みだけを覚えている。


そこからは色々試したっけ。


何回も飛び降りてみたり、ナイフで自分の腹を刺してみたり、薬を大量に飲んでみたり。この世にある自殺方法を全て試したのではないかと思う。


けれど、どれも失敗に終わる。目が覚めると全て完治しているからだ。首吊りならどうかと試したが目が覚めると縄と共に自分が地面に横たわっていた。


そして、自殺をした時の痛みや苦しみだけが残るんだ。死にたいのに死ねないってのは辛い。生きるのは辛い。


そんな自分にも少しの希望があったのかもしれない。けれど、中村はそれを違う方向へと持っていってしまったんだ。


そのせいで今日も途方に暮れながら死ぬ方法を探し、自殺を繰り返している。心の底から楽しい、嬉しいと感じた日々を思い出しながらナイフで自分の首の大動脈を切った。

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