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第44話『何通目かの手紙』

日和(ひより)さん


貴女(あなた)の手紙を伏羲(フーシー)が受け取ってから、随分と日が経った。

()えて尋ねるけれど、元気で過ごしているだろうか?

きちんと食事は()っているだろうか? 

心配している。


日本では今の時期を星涼しき頃とも言うそうだね。

とても美しい表現なのに、なぜか空しく思う。

共に夜空を見上げられないせいかもしれない。


あれからどうなったか何度も書いたけれど、おそらく読んでいないだろう? 

もう一度伝えさせてほしい。


月読(つくよみ)はロキが貴女を傷つけたのだと言って、大変な争いをした。

シヴァが仲裁に入ったものの、結局彼まで熱くなってしまって神世(かみよ)の空が裂けたから、その再生に今も手間取っている。


エンキは配慮が足りなかったと自責の念に駆られ、自らを追い込むべく何時(いつ)にも増して人類を手伝っていて、迷い猫まで探す始末。


伏羲は貴女の傷に気づけなかった理由を考え始め、手紙を見つけた日から一歩も動いていない。とはいえ神だから心配は()らない。


アポロンはやはり失恋する運命なのだと嘆き、自分の神殿に引きこもって貴女に捧げる曲を作ったり自分を揶揄(やゆ)した戯曲をひたすら聴いている。


私は──。私は、寂しい。

まさか会えなくなるなんて。

まさか貴女から「大嫌い」と言われるなんて。

こんなにも苦しく思うのは何千年ぶりなのか思い出せない程に寂しい。

 

皆もう一度話をしたいと願っている。

訪ねることすら強く拒絶されたけれど、それでも変わらない。

何時(いつ)でも伏羲の空間で待っているから、どうかこれを読んでほしい。 


                 أوزيريس

※次回は同日2/7(土)13時10分に投稿します

※次回より第2章となり、ときどきR-15表現が多少入りますのでご留意下さい

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