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灰色の魔女は、静かな日常を夢見ている  作者: 漆原


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41/41

41.安心と不安のあいだ

朝食を終えたあと、街は驚くほどいつも通りだった。


窓の外では、朝の光を受けて人が行き交い、店の準備をする音が聞こえる。

昨日の深夜に感じたあの不気味な揺らぎが、まるで夢だったみたいに、何もない。


意識をしても、引っかかる感触は何一つ感じない。


相手は慎重だ。

しかも、こちらが気づいたことを、向こうも理解している。


(次は、さらに慎重になる)


今日、明日……あるいは、もっと先まで。

何も起こらない日が続く可能性だって、十分ある。


無意識に、自分の手を見つめた。

朝食の支度を手伝っただけなのに、指先がほんの少しだけ重い。


魔力を使いすぎた、というほどじゃない。

でも、完全に回復した感覚もない。


「ヒカル、無理すんなよ」

気づけば、隣にセイが立っていた。


「今日は休んどけ」


「……うん」


即答してしまった自分に、少しだけ苦笑する。


本当は、街を見て回りたい。

違和感がないか、変な噂はないか、確かめたい。


でも……今の私が動くのは……たぶん、悪手だ。


窓から目を離し、そっと椅子にもたれた。


外は平和そのものだ。

人の声、生活の音、朝の匂い。

昨日までと、何ひとつ変わらない。


……だからこそ、落ち着かない。


安心でもあり、不安でもある。


本調子じゃない自覚はある。

セイの言う通り、今日は大人しくしておくべきだ。


それでも、何もしていない時間が、余計に考えさせてくる。


もし次に動くとしたら。

もし、また同じような気配を感じたら。


その時は…ちゃんと止められるだろうか。



あたしは深く息を吸って、ゆっくり吐いた。


焦るな。

動けない時は、動かない。


それも、判断だ。


そう自分に言い聞かせて、私はしばらくただ街の音を聞いていた。

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