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灰色の魔女は、静かな日常を夢見ている  作者: 漆原


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21. 真っ直ぐな闘志

レオンの勢いに押されるように家へ招き入れると、

ヒヨリはきらきらした目でリビングの椅子に座り、セイは腕を組んだまま壁にもたれている。


レオンはというと、遠慮という概念を置いてきたみたいに、勝手に腰を下ろした。


「でっ、決闘はどこでやる!?

街ん中は狭いし、周りに人が多すぎるよな!」


もう戦うことが決まったみたいに話を進めるから、

思わずため息が出そうになる。


「……あのね、まず一つ言っとくけど」


あたしはフードの端を指でつまみながら、ゆっくり言う。


「戦うのは別にいいけど……あたし、噂みたいに強くないよ?」


その言葉に、レオンは目を丸くした後、なぜか真剣に頷いた。


「強くなくてもいい!灰色の魔女と戦えるなら十分だ!!……いや、むしろ強すぎると俺が死ぬから程よくでいい!!」


「いや程よくとかでは……」


変な意味で覚悟ができすぎてる。


セイがそこで、ずっと抑えていた気配をふっと漏らしながら口を開く。


「……ヒカル。ほんっとにやる気か?」


「やる気ってほどじゃないよ。ただ……」


あたしはレオンを見る。


その目には嘘も計算もなかった。

ただ、誰かに挑みたいという、真正面からの気持ちだけがある。


「ここまで来たのに、ちゃんと聞かずに追い返すのも……ね」


セイはこめかみを押さえながら、低く唸った。


「……はぁ。まあ、お前がそう言うなら止めれねーわ。ただし、街の中じゃ絶対にやらせねぇぞ。迷惑すぎる」


レオンはすぐさま前のめりになった。


「じゃあ街の外だな!東の丘の先に、木が少なくて開けた場所があっただろ?あそこなら誰もこねぇし、槍も思いっきり振れる!」


(いや、槍を思いっきり振る方が危ないんだけど……)


でも確かに、人目のない場所の方が安心だ。


「……そこなら、まあ」


あたしが頷くと、ヒヨリがほっと息をついた。


「よかったぁ……なんか怖いけど……でも、レオンくん悪い人じゃなさそうだし……でもでも、ヒカルちゃん、怪我しないでね?」


その言葉に胸が少しだけ柔らかくなる。


「あたしの方が弱いから、気にしなくていいよ」


そう言うと、レオンがびしっと指をさした。


「その謙遜を聞く限り、絶対強いだろ!?……くそっ、やっぱ燃えてきた!!」


セイが呆れた声を出す。


「勝手に盛り上がってんじゃねぇよ。本当にやるなら、俺もついていくからな。ヒカルもヒヨリも勝手に突っ走るしよ……」


ヒヨリが「えへへ」と笑い、

レオンは満足げに肩に槍を担ぐ。


そして、あたしはというと………まあ。

ほんのちょっとだけ、興味はあった。


「じゃあ……準備できたら、東の丘の先に行こっか」


そう言うと、レオンが嬉しすぎて爆発しそうな声で叫んだ。


「よっしゃああああ!!!」 

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