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灰色の魔女は、静かな日常を夢見ている  作者: 漆原


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17/41

17.暖かな夕暮れ

夕方の光が柔らかく街道に落ちて、少しひんやりした風が肌を撫でた。

街の門が見えるころには、あたしたちはゆっくりとした足取りで並んで歩いていた。


ヒヨリは今日作った花冠を頭にちょこんと乗せて、足取りも軽くふんふんと鼻歌を歌っている。


あたしはというと、ヒヨリが ぜったい似合うよ!と押しつけてくれた花冠を、胸の前でそっと抱えるように持っていた。


「ねぇねぇヒカルちゃん!」

突然振り返ったヒヨリの花冠が、夕陽に透けて黄金色にきらきら光る。

「今日ね、すっごく楽しかった!! また行こうね! 次はもっとおっきなの作るんだー!」


その勢いに思わず笑ってしまう。


「そんな大きいの作ったら、ヒヨリの頭から落ちるよ」


「えー!? 落ちないもん!」

ヒヨリがとむきになって返す。



門の前まで来ると、賑やかな声や香ばしい屋台の匂いが風に混じってくる。

その気配に、ヒヨリがぱっと目を輝かせた。


「ねぇ!ねぇ!!お祭りって、いつなの!? もうすぐ!? 今すぐ!??」


「明後日だよ。そんな急に始まらねぇっての」

と少し呆れたように言う。


「えっ明後日!? やったぁ!!」

ヒヨリはその場でくるりと回る。


その無邪気さに胸がふっと温かくなる。

横目でセイが小さく笑っている。


夕暮れに染まる街へ三人で歩きながら、

胸の奥がほんの少しだけ、昨日より軽くなっていくのを感じた。



「ただいまー! ヒカルちゃん、お兄ちゃん!ほら見て!花冠まだ崩れてないよ!」


ヒヨリが自慢げに花冠を押さえる。


あたしは持って帰ってきたもうひとつの花冠を、そっと机の上に置く。

花びらは少ししおれていたけど、それでもまだ色を保っていた。


「水、入れとくと少しは持つかもな」

セイが言いながら、器を探して棚を開ける。


「ほんと!?じゃあじゃあヒカルちゃんの花冠も助けてあげよ!」

ヒヨリがぴょんと跳ねるように近づいてきて、あたしの腕をぐいっと引っ張る。


「別に、そんな大事にしなくても……」


そう言いかけて、ヒヨリが覗き込むように笑ってくるから、結局何も言えなくなる。


外では祭りの準備らしき音がかすかに響いていて、その音が、なんだか少しだけ特別なものに思わせた。

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