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名もなき物語〜主人公のいない物語〜  作者: 真黒
第一章 「世界の“矛盾”」
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第一章 4話 「旧き記憶の闘い 1」

覇者たちの権能についてはまたそのうちまとめたものを出します。

ルビの読み仮名(?)は一応あとがきに全部載せときます。


なんでルビって10文字までしか設定できないんだ・・・・・・

追記:文章が途中300字くらい抜けてました!ごめんなさい!なおしましたので,もう一度確認してみてください

世界が僕を中心に廻っている。視線を感じ,空を見上げると、無数の星は全て目だった。一つ一つがこちらを凝視しているが、そこには一切の感情が認められない。唐突に理解する。僕は()()()()()()()()いて、全ては誰かに見られているのだということを。僕は,決して自由ではない。

怒りともあきらめともつかない感情が一瞬だけ浮かび、消えていく。

視界が次第に白く染まり、僕の意識は遠のいていった。



どこか冷たい空気を感じる。

再び目を開けると、そこは豪華絢爛な装飾の施された巨大な広間の中央だった。僕は床にひざまずいており、ちらりと様子をうかがうと僕の他に8人がそうして(こうべ)を垂れていた。皆人のような見た目をしているが、耳はとがっていて頭からは様々な形の角が生えている。僕も頭に手をやろうとして、気づいた。僕の右手が,もう一つの右手をすり抜けている。

この場にいる僕は、僕ではない。僕は、床にひざまずいている僕に重なるようにして幽霊のような状態でここにいた。

初めての体験だが,不思議なことに何が起きているのかはわかった。これは,記憶の追体験だ。昔の僕が体験したことを()()()()()()()傍観している。

それなら、と立ち上がり、辺りを堂々と見回した。先ほどの視界からでも十分に豪華さはわかったが、立ち上がってみてみるとそればかりではなかった。天井の高さは30mもあるだろうか。到底、人の住むために作られたとは思えない広さだった。

無機質な空気を漂わせるこの空間が、なぜか僕を拒んでいるように感じられて、頭を振ってその嫌な予感を振り払った。


「全く、何で全員集まる必要があるってんだよ。オレたちは覇者だろ?オレたちの力なら、大抵のことは一人で十分だ。」


緑色の髪をして首に刺青をした男がぼやいた。


「それだけの事態だということだ。お前の力は知っているが、油断は禁物だと常々言っているだろう、『(ミドリ)』。」


橙色の髪の男も口を開いた。


「わかってるって。(ショウ)サン。」


何やら僕の理解の追いつかないところで話が進んでいるようだ。覇者?そういえば紅煉も言っていたな。辺りを見渡すうちに、僕はよく知っている顔を見つけた。


「紅煉!君もここに来たのか!」


思わずそう言ってしまったが、さすがに記憶の中の彼は返事を返してくれることはなかった。

すると、かつての僕の隣にいた藤色の髪をした女性が僕の方を向き、声をかけた。角こそ生えているものの、かなりの美人だ。


「レイちゃん、黒海の残影(ファントム)を一人で殲滅したって聞いたけど、本当?」


記憶の中の僕は無言でうなずいた。


「すごいね!新人なのに一番活躍してるんじゃない?」


笑顔で話しかける彼女に対して、かつての僕の対応は冷ややかなものだった。


「そうですね。ですが、僕は覇者として当然のことをしたまでです。」


紫花(シーカ)、やめろ。そいつに反応を求めても無駄だ。」


視線を動かすことすらしない僕に苛ついたのか、紅煉が呟いた。


「あーらグレちゃん、嫉妬?」


紫花(シーカ)はペロリと舌を出した。


「よっ、紫花(シーカ)ちゃん、いつにも増してかわいいよっ!」


銀髪に黒い眼鏡をかけた男が野次を飛ばす。なんだこいつは。覇者なんてたいそうな名前して置いいて,銀髪サングラスの怪しいおっさんじゃないか。

ところが、このおっさんにも紫花(シーカ)は明るく話しかけた。


「ありがと、レンちゃん。だってわたし、覇者の紅一点だもんね!当然でしょ!まあ、担当は紫だけど。」


どうやらこの紫花(シーカ)という覇者は覇者の中でかなりの人気者らしい。


「うるさい。紫花(シーカ)もひかえろ。間もなく天龍様がいらっしゃるぞ。」


水色の髪を長く伸ばした男が低い声で言った。

突如として覇者たちが再び姿勢を正し、ひざまずいた。次の瞬間、あたりの空気が一気に重くなる。パキ、パキ、という音ともに空間がひび割れ、そこから竜の頭が出てきた。その数は次第に増え、最終的に八つの頭が16の目で覇者たちを眺めた。本能的に察する。目の前にいる存在は,この世界の最上位の存在なのだと。重い沈黙の後,その八つの口が開き、空間を震わせる声が何十にも重なってあたりに響いた。


「集いし覇者たちよ。其方たちは今、何故招集がかけられたのか理解できるか?」


「いいえ。」


と、さきほど晶と呼ばれた男が答えた。


「我らも、その点に疑問を抱いておりました。」


「其方らは余の力について知っていよう。未来を見通す、その力を。」


全員が無言でうなずく。どうやら,天龍(てんりゅう)様と呼ばれているこの存在は未来を見通すことができるらしい。


「ところが、今その力は使えぬ状況にある。理由は知らぬが、未来にまるで霧がかかったように見えぬのだ。」


全員の表情が強張った。


「なぜ、そのようなことが・・・・・・!」


「本当なんですか?って、天竜様が嘘つくわけないか・・・。」


ここに集ったのは全員が相当な強者に違いないが、場を絶望が支配する。


「余は、この地位を息子に、断雷に託すことにしよう。」


「しかし・・・・・・今日までに残影の襲撃を最低限の犠牲で返り討ちにできたのは、貴方の力が大きい。これからどうすればよいのでしょうか。」


誰も答えられるものはいなかった。その静寂を破ったのは、一人の兵士の叫び声だった。その兵士の頭からも角が生えている。


「しっ、失礼します!お話のところ、大変申し訳ありません!」


緊張した叫び声に、天竜の頭の一つが首をもたげた。


「何事だ?」


悪い知らせに気分を悪くしている覇者たちは正直なところこの乱入を快く思っていなかった。紅煉に至っては今にも殴りかかりそうだ。しかし、それも兵士の報告の内容を聞くまでの間だけだった。


「断雷様が・・・・・・断雷様が御乱心!」


先ほどまでの重い空気が冗談だったと思えるほどに急速に全員の顔が青ざめていった。



断雷(だんらい)


称号:竜の皇子、天竜の息子

権能:黒白(Schwartz)の支(und)配者(weiß) 光子の操作

種族:半龍



場面が切り替わり、僕は空にいた。上を見上げると雲に巨大な穴が開いて空が見えていた。そこからまばゆく輝く太陽のようなものが見えた。さんさんと輝く陽光が世界を照らしており、眼下の景色は鮮やかだ。美しい景色に見とれていると、先ほど晶に「翠」と呼ばれていた男の放心したような呟きが聞こえた。


「何てことだ・・・・・・結界ごと、雲を吹き飛ばすとは!一歩遅れればオレだってやべーぞ。」


その目線を追うと、そこには純黒の竜がいた。瞬間で理解した。それこそが、断雷様であると言うことを。それは歯を剥き出し、嗤った。そして・・・・・・


「【黒白(Reverse)反転(ment)】」


その瞬間、世界の光と闇が反転した。先程まではまばゆく輝いていた世界のほとんどが闇に呑まれる。


「えっ、嘘!何?何も見えない!」


「落ち着け!断雷様の権能だ!」


そうだ。思い出した。断雷様の最も単純で、最も凶悪な能力。『黒白反転』。光子の存在する空間から光子を奪い、光子の存在しない空間に光子を与える・・・・・・

要約すれば、その権能の及ぶ範囲の中の光と影を反転させる。つまり、通常であれば明るい空間が闇に、影に沈む空間が明るく変わる。

これは視覚を奪う、または操るものではなく、その空間に働きかけるため、影響を受けた対象が何らかの方法で視界を確保しようとしても無駄だ。断雷様がそれを解除するまでずっと世界の光と闇は反転したままとなる。

幸いにも、記憶の傍観者としての僕はこの世界でもなお物を知覚することができるようだ。

黒竜は悪意に満ちた歪んだ笑みをその口に浮かべ、宙に立ち尽くす覇者たちに次々と攻撃を仕掛ける。


「くっ・・・・・・」


「位置が・・・!」


僕には見えた。まるで瞬間移動のようにして一瞬で相手の後ろに回り込み,攻撃を仕掛ける黒竜の姿が。

全員、なすすべもなく削られていく。このまま、終わってしまうのか。そう思った矢先だった。


「大地よ。我に力を。【朽チルコトナキ晶壁】」


その言葉が終わると、覇者たちの体表を透明な結晶が覆った。それは、『橙の覇者』である晶の権能の一つ。鉄壁の障壁だ。その結晶は自分に向けられたあらゆるエネルギーを吸収、拡散し、無効化する。




称号:橙の覇者

権能:大地の(Violet)執行者(Executor)

種族:竜



「私の力でお前たちを護ってやる。体を竜に変化させろ。そうすれば一撃の影響は小さくなる。『翠』!お前は探知に回れ。位置を掴んだら全員に指示だ。」


「了解だぜ、晶サン。・・・・・・発動。【風圧掌握(グラスプ・ウィンド)】」


風圧掌握(Grasp Wind)】は翠の覇者、迅嵐(ジンラン)の権能の一つ。その名の通り、権能の範囲内の空気の動きを感知することが可能。



迅嵐(ジンラン)


称号:翠の覇者

権能:暴風の(Emerald)執行者(Executor)

種族:竜



迅嵐は目を閉じ、あたりの風に意識を集中した。彼の刺青が緑色に光り出す。もっとも、光っていることを認識できたのはおそらく僕だけだ。

迅嵐はしばらくの間そうしていたが、やがて翠に光る目を見開いた。


「晶サン!後ろだ!」


「助かった。【金剛石ノ晶片(ダイヤモンドダスト)

その声に合わせて晶は光り輝く結晶体の弾丸をいくつも打ち出した。それは断雷様にいくつか突き刺さり、後退させた。


それを感知したのか迅嵐は右手を返し、その手に刀を生み出した。


「【裂傷ノ旋風(カマイタチ)】」


その姿が風に包まれ、大きく変化していく。やがて、そこに翠色に美しく輝く鱗を纏った竜が出現した。そして、大声で記憶の中の僕の方を振り返り、大声で叫んだ。


「さあ、次はお前の番だぜ、新入り!」


「はい、『翠』。」


記憶の中の僕はあくまでも冷静に答えた。そして、断海の剣をすらりと抜き放った。


「断雷様。あなたの行動は天竜様の意思に反する。よって、僕が貴方を倒す。」


『蒼』が動き出す。

権能系の読み仮名です


黒白(schwarz )の支(und)配者(weiß)(シュヴァルツ・ウント・ヴァイス)

黒白(Reverse)反転(ment)(レヴァルスマン)

大地の(Violet)執行者(Executor)(ヴァイオレット・エグゼキューター)

暴風の(Emerald)執行者(Executor)(エメラルド・エグゼキューター)


権能についてはだいたい本文中で説明したつもりですが,おかしいと思う点などあれば指摘お願いします。

覇者たちの間では,実は結構アツい展開になっているのですが,傍観者として見ている黎には全くそれがわかりません。なので,僕たち読者にはわからなくて当然です。


※断雷がずっと人の姿にならないのは,天龍様からの遺伝です。天龍様は首が8本あり,人の姿になると恐ろしいことになるので絶対に人の姿にはなりません。そもそも力が強すぎて人としての姿を保っていられません。

断雷も同様,その力が強すぎて人の姿を保てないため,ずっと竜のままでいます。

ただし,瞬間の出力では人の姿の方が勝ります。


黎の出番だ!というところですが,次回はおそらく悪魔編(雷と愛美の登場する章)になると思います・・・・・・


追記:600PVありがとうございます!

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