第一話「明日謝ろう」
俺は自分では普通の高校生だと思っている。
ただ、俺の親友の優斗が不登校になっていることを除いては。
不登校の理由は分かりきっていた。
同級生によるいじめだ。
優斗はお世辞にも容姿が整っているとも、コミニケーション能力が高いとも言えないが俺と趣味が合い、人一倍相手に気を使えるような優しい奴だ。
でも同級生のカースト上位の奴らはそれが気に入らないらしくいじめ、優斗を不登校に追いやった。
理由なんてどうせ「話し方が気に入らない」とか、「うざい」とかそんな薄っぺらいものだ。
正直、そんな薄っぺらい理由でしているいじめを止められない自分にも腹が立つ。
そして、俺は毎日1日分の授業プリントを優斗届けに行く。日課みたいなもんだ。
その度に毎回家に上がらせてもらい、ドア越しにだが、優斗と話している。それは今日も同じだ。
「よ!今日も来たよ。今日の授業プリント置いとくな」
優斗は何も返事をくれない。このままでは優斗は一生不登校のままだ。
「なぁ、もう一回学校に行ってみないか?いじめは俺がなんとかしてみせるからさ、いじめぐらい」
そう言うと、何か気に触ったのだろう。優斗が強い口調で怒鳴る
「お前はいじめられた事が無いからそんなこと言えるんだろ!行ってもどうせ、お前はいじめを止めれないだろ!お前が止められなかったら俺はただただ痛い思いをするがけなんだよ!どうせ前みたいに…俺がただいじめられて終わりだよ」
叫びにも近しいその言葉は喧嘩が起きるのにはには十分だった。なんせ、本当に責めるべき相手はここにいないのに怒鳴られたのだから。
「こっちだって親切心で言ってんだよ!そんな言い方は無いだろ!」
冷静さを欠き、カッとなって言い返す。
「お前に俺のいじめられた痛みが分かるかよ!いいよなお前は、ノーリスクで善者ぶれるんだから」
「んだとてめぇ、心配してやってんだぞ」
「いちいち上から目線なんだよてめぇは」
気づけば、売り言葉に買い言葉を繰り返すうちに優斗が扉を勢いよく開け、取っ組み合いにまで発展した。
お互い何箇所か怪我ができていた。
俺を家に上げてくれたあいつの母親は見て見ぬふりをしているらしい。
「誰が好き好んでこんな所に来るかよ!俺だって来たくてここに来たわけじゃない!」
咄嗟に嘘をついた。実際はわざわざ来なくてもいいのだが、優斗に会う口実を作ったのだ。
自分のくだらないプライドを守るために。
でも、その言葉を放った瞬間優斗の目が大きく開いた。
かなりの衝撃を受けだようでそこから何も言わなくなったてしまった。静寂が訪れた。
俺は何も言えずに帰った。
その後「いじめくらい」と言ったのがマズかったか…と家のベットで反省する。いじめを受けた事がないやつが知った気で話しかけてきたんだ怒るのは当然だろう。
俺らは喧嘩したことが無かったから変に熱くなっただけ。
そうだ、頭を冷やせばお互い分かり合えるはずだ。
とりあえず明日謝ろう。
そう決心するとともに俺は眠りについた。