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前世編1 わけありアイドルの逃避行

スクールアイドル部のセンターとなった大張ゆかりの前世は、三十年前に若くして命を散らしたアイドル・姫乃友梨香であった。ゆかりから語られる前世の出来事とは!?

 ここからは大張ゆかりの前世・姫乃友梨香の知られざる物語である


 今からおよそ三十年前、当時の日本は空前のアイドルブームで盛り上がっていた。毎日テレビやラジオ、そして雑誌のグラビアで、数多くのアイドルと呼ばれる歌手や俳優達が占めていた。

 季節は春も始めの三月、あるテレビの歌番組で一人の少女が歌っている。

 少女の名は(ひめ)()友梨香(ゆりか)。本名・浦木(うらき)麻里(まり)。十七歳。昨年の四月に芸能界の最大手・ミタニプロモーションから、同じ事務所の先輩でトップアイドル・(まつ)()留美子(るみこ)に続けとばかりにデビューしたアイドル歌手だ。

 友梨香はその愛らしい笑顔と歌唱力、明るいキャラクターに抜群のプロポーションで人気を得ている。今や若い世代を中心に全国の男子や女子の憧れの的になっていた。

「友梨香ちゃ~ん、おつかれ~」

 マネージャーからの声がかかる。デビューから一年を迎えようとするが、総てが友梨香の夢が叶い、順風満帆なアイドル・スターへの道を歩んできたはずだった。が、しかし…

 友梨香は何か満たされない気持ちでいた。


「友梨香ちゃん、明日のスケジュールなんだけど…」

 仕事を終えた夜、ここ新宿にある所属タレントの寮にて、マネージャーの河田(かわだ)が友梨香のスケジュールを読み上げる。

「歌番の収録は夜十二時に終わる予定で…」


 河田がスケジュール表を読み終えようとする時…

「やめて!」

友梨香が突然、叫びだす。

「もういやよ、何で決められたことしかやっちゃいけないのよ!もっと自由にいろいろ出来ないの?」

「友梨香ちゃん、そんなわがまま言っちゃ…」

 河田がなだめようとするが、友梨香は言い続ける。

「河田さん、私は仕事が嫌だからこんなこと言ってんじゃないの。ただ自分のやりたいことやりたいだけなのよ。でもどうして、事務所で決められたことしかやっちゃいけないの?私がやりたいのは…」

「おい、何の騒ぎだ?」

「あ、チーフ。実は…」

 友梨香の部屋に入ってきたのは、チーフ・マネージャーの千葉(ちば)である。

「そうか、とんだヒステリーだな。よし、睡眠薬を持って来い」

 事情を聞いた千葉チーフは河田に命ずる。

「はあ?」

「はあ?じゃない!こういう場合は、睡眠薬を飲ませて落ち着かせるのが一番だ」

 せかされるまま河田は睡眠薬を持って来て、友梨香に飲ませようとする。

「い、いやよ。そんな、うっ…」

 睡眠薬を飲まされた友梨香は、そのまま眠りについた。そしてまたいつもの朝を迎えることになるのであった。


 翌日、仕事を終えた友梨香は今日も河田マネージャーと明日の打ち合わせをしている。

「と、言う事で友梨香ちゃん、明日のスケジュールはこんなもんでよろしく」

「はい。河田さん」

 この日の友梨香はやけに素直だった。

「ふうっ助かった…友梨香ちゃんの機嫌が良くなって」

 安心した河田は部屋を出た。しかし友梨香には、ある企みがあった。

「しめしめ、今がチャンスだわ。ふふっ」

 ミタニプロのタレント寮は、当プロダクション社長・三谷(みたに)秀雄(ひでお)の自宅である豪邸を利用したもの。友梨香の部屋は一階にある。それは友梨香とって好都合なことだった。友梨香はすかさず、窓から脱出した。大胆にもパジャマ姿で…


「じゃあな緒方。特ダネ楽しみにしてるぜ」

「はい、先輩。おつかれさまです」

 夜の路地に会社の先輩らしき人と別れ、一人帰宅しようとする青年がいる。

 彼の名は緒方(おがた)智紀(とものり)、二十五歳。この春に大手出版社・大星(だいせい)(しや)の芸能雑誌『週刊トップ』に配属された記者だ。緒方は元々は小説雑誌の記者だったが、会社内の人事異動で芸能誌の編集部に回されてきた。だが緒方は芸能界音痴で、アイドルスターの顔も区別がつかないくらいだ。なので緒方は自らの行く先に不安を覚えていた。

「何の手違いか芸能雑誌に…果たして俺に勤まるのか?」

 そう呟いているうちに、緒方は公園のベンチを目にした。

「ん…?」

 ベンチにはパジャマ姿の少女が横たわっていた。

「公園でパジャマで寝てるなんて、ずいぶん変わった女の子だな」

 緒方は少女を起こそうとする。

「君、起きなさい。そこはパジャマ着て寝るとこじゃないよ」

「ん…あなたは…だれ?もしかすると…王子様?」

 少女は寝ぼけて答えた。

「えーと…うん、そう 。眠れる森のお姫様を起こしに来た、白馬の王子です」

 呆れ気味で適当に答える緒方。

「だったら私に…キスして」

 いたずらっぽく話す少女。

「いえいえ、お姫様には先ず、ふさわしいベッドが必要です。あなたにいばらのベッドは似合いません」

「そうですか…ではそこまで連れて行ってくれませんか?」

「はい、ベッドはすぐ近くにございます」

 緒方が住んでいるアパートは公園の近所にあった。緒方は少女を抱えて部屋まで連れ帰り、一先ず自分のベッドに寝かせることにした。


 翌朝、ここは新宿近辺にある緒方の住むアパート。身支度も整え、朝食の用意も出来た緒方だが、何やら考え込んでいる。

「これからの仕事もそうだが、問題は今居るこの娘なんだよな…」

 緒方は自分のベッドで眠っている少女の寝顔を眺めながら、分野が異なる雑誌に転属された不安と、少女の今後のことで考えていた。

「警察に届けようかとも思ったが、この娘にも何らか事情がありそうだし、一応話を聞いてからにするか。でもこの娘、どっかで見たような…」

 そう考えてるうちに、少女が目を覚ました。

「あ…うん…」

「お目覚めですか?お姫様」

 にっこり微笑んで、緒方が話しかける。

「あ…おはようございます、河田さん」

「ほう、君の王子様は河田って人かい?」

「えっ!?」

驚く少女の目の前には、すらっとした長身のイケメン青年が立っていた。

「あ…私いったい…ここはどこ?」

 緒方はこれまでのいきさつを少女に話す。

「会社の帰り道、君が公園のベンチにパジャマ姿のままで寝ていた。もしかして夢遊病かなとも思ったけど?」

「いえ、ええぇ、まあ…」

 しどろもどろに答える少女。

「それで君の身元を確認してから、親元に帰したほうが最善かなと思って、僕んちに寝泊りさせたって訳さ」

「でもお兄さんは、一体どうやって寝たんですか?」

「あそこで寝たのさ」

 緒方はキッチンを指す。

「そんな…ごめんなさい。私のせいでご迷惑を…」

「なあに、これくらいで迷惑がってるようじゃ、人生やって行けないよ」

 謝る少女に緒方は、さらりと答える。

「それより食事はどう?」

「は、はい」

 二人は朝食を食べ始める。


「ところで君はどこから来たんだい?」

 食事しながら少女に尋ねる緒方。

「…実は渡し、友達の家に行こうとしてたんです」

「パジャマ姿で?」

「親と喧嘩して、家飛び出して、途中でお金落としちゃって…」

「なるほどねえ…その友達って、パジャマ姿のままで飛び出すほど大切な友達なのかい?」

「はい、でもいっぺんパジャマで街中を歩いてみたかったの」

「これからどうするんだい?」

「取り合えず友達の家に行きます」

「どの辺にあるの?」

「池袋の方ですけど」

「でも明るい時分にその格好じゃあね…男物しかないけど取り合えず着替えてから、その友達の家まで送っていってやるよ」

 親切に話す緒方に対し、少女は困った顔をする。

「えっでも…一人で行かせてくれませんか?ちゃんと駅も道も分かりますし」

「お金持ってるの?」

「一万くらいは…」

「じゃあもしものために、お小遣いやるよ」

 緒方が少女にお金を渡す。

「え、そんな…こんなにも…」

「気にすんなって。でも服は返してくれよ。名刺渡しておこう」

 少女に名刺を渡す緒方。

「えーと大星社『週刊トップ』緒方智紀さん…芸能記者の方?」

 少女は不安そうな顔をする。

「まあ芸能記者といっても、前は小説の雑誌だったけど、何の手違いか芸能雑誌の編集部に移動しちゃってね。実はまるっきり芸能界には疎い“芸能界音痴”なんだよ」

「何かおかしな会社ですね、大星社って」

「まったくだよ!ああところで君の名は?」

 緒方が尋ねる、その少女の名は…

「私…“ユカリ”っていいます」

「ユカリちゃんか…可愛い名前だね」

 緒方がそう答えたとき…

 ドンドンッ

「おーい、緒方ーっ!」

 ドアの向こうから声がした。

「…どなた?」

「同僚が迎えに来たか。じゃあ僕は会社に行ってくるけど」

「あの、お風呂使ってもいいですか?」

「いいよ。でもちゃんと自分の足で帰れるよね?」

「はい、服もお金もちゃんと返しますので」

「おーい、はよこい!」

「わかったーいまいくー!」

用意を整え、緒方は玄関のドアを開けた。出迎えたのはカメラを持った青年だ。

「辰さん、今日も一日よろしくお願いします!」

「おうよ、業界のことなら俺にまかせとけ」

緒方を出迎えた青年はカメラマン・辰馬(たつま)三郎(さぶろう)。通称・辰さん。二十七歳。編集部では緒方の先輩にあたる。緒方よりも断然、芸能界というかアイドルについて詳しく、それはまるでアイドルの追っかけがそのまま業界に入ってきた様子だ。緒方をサポートする良き相棒である。

「ん?中に誰かいるか?」

 緒方のよそよそしい態度に気づいた辰馬が尋ねる。

「い、いや…別に何でも」

「そうか?朝食が二人分あるぞ」

 辰馬は緒方の部屋を覗き込んで、テーブルの上を見た。カメラマンの目からは、来客ありと感じたらしい。

「それに女の子の声がしたような…」

 辰馬はドアの向こうの緒方とユカリの会話を微かながら聞こえたらしい。

「あ…あれですか?いえ実は妹が来てるんですよ、妹が」

「へーお前に妹がいたのか…可愛いのか?」

「そんなことより早く行かないと編集長にドヤされますぞ!」

「おおそうだった。よし!いくぞー!」

 一方、バスルームではユカリが生まれたままの姿で、心地よくくつろいでいる。

「緒方智紀さん…素敵な人だなあ。まるでお兄さんみたいね。服とお金返すときはトップ編集部まで先ず連絡するか。でも彼が芸能音痴だったおかげで、私の正体がバレなくて良かったわ…」

 物思いにふける少女・ユカリの秘密の一人言…この謎の少女の正体は?


 出勤後、緒方は辰馬と共に『週刊トップ』の編集長室に呼ばれた。

「緒方、早速だが仕事だ」

 編集長・金森(かなもり)は緒方に一枚の写真を手渡す。可愛らしい美少女の写真だ。

「今回、このアイドルの取材をしてくれ。インタビューだ」

「?…この娘は…」

 緒方はその写真を見て驚いた。なぜならその写真の少女は、昨夜泊めた少女・ユカリと瓜二つなのだ。

「この姫乃友梨香のインタビューが君の仕事だ」

 そう、その写真の少女こそ、姫乃友梨香その人だ。友梨香にとってこの『週刊トップ』には、いつもお世話になってる。

「…」

「どうした?緒方」

「い、いえ。どっかで見たような女の子だなと…」

「当たり前だ、今やあの松樹留美子に継ぐほどの、人気アイドルなんだぞ」

「編集長、こいつは芸能界音痴ってこと忘れちゃいけませんよ」

 横から辰馬が緒方をフォローする。

「おっとそうだったな。まあ緒方、勉強する気で取り込んでこいや」

 するとその時…“ジリリーン”

 編集長のデスクから電話が鳴り響いた。

「ああ、これは三谷社長。いつもお世話になっております。えっ何ですって?友梨香ちゃんが…」

「どうしたんですか!編集長」

 電話におののく金森に聞く辰馬。

「大変だ!姫乃友梨香が失踪した!」

「ええっ友梨香ちゃんが…」

 編集長と辰馬が驚いてるのをよそに、緒方は呆然としていた。

(何てこった…ゆうべ泊めた女の子が、日本を代表する人気アイドルなんて…ユカリってのは偽名だったのか。こりゃあえらいことになったぞ…)

 すると電話を終えた金森編集長が言い放つ。

「よし、緒方。予定変更だ。姫乃友梨香を探し出せ!」

「ええっ!?」

「三谷社長の話によると、もし姫乃友梨香を見つけ出したら、今後うちに独占スクープを提供してくれるって!」

「でも編集長…どうやって?」

 動揺した様子で話す緒方。

「先ずは穏便にやることだ。トップアイドルの失踪となると、公にすれば大パニックだからな」

 金森編集長は注意深く話した後、更に言い放つ。

「その他、詳しいことは後!取り合えず姫乃友梨香を見つけ出してからだ。超特急で行って来い!辰馬、お前もだ!」

「は…はいっ!」

 檄を飛ばして急かす金森編集長を後に、緒方と辰馬は編集室を出る。こうして緒方智紀の一世一代の大仕事がスタートした。果たしてユカリと名乗って脱走した姫乃友梨香を見つけ出すことが出来るのか!?


 家出少女・ユカリと名乗った友梨香は風呂から上がった後、緒方が用意してくれたカッターシャツとズボンを着て、マンションを抜け出していた。髪は濡れてボサボサになっている。そして友梨香はとある理髪店に立ち寄る。

「いらっしゃ~い。あら~今日はまたかわいこちゃんねっ♡まるで姫乃友梨香ちゃんみた~い!」

 オネエ言葉で理髪師が出迎える。髪形が変わっていて、その上すっぴんだから、まさか本物の姫乃友梨香とは気付かない。

「オードリー・ヘプバーンみたいなカットにして」

「いいの~これくらいの長さなら、乾けばいい髪になるのに」

「いいの、ちょっとイメチェンしてみたいの」

「そうね~今時の女の子ってそんなものよね~」

理髪師は友梨香のオーダーを受け、作業に取りかかった。


「ザクッザクっと~どんどんショートになってきますね~」

 理髪師は乗り良くショート・ヘアに整えてゆく。

「だんだんとショートに~ホント、イチゴのせちゃいたいくらいにって、そりゃショートケーキだっちゅーの!」

「ふふっ♡おじさんて面白い人ね」

「いやっ♡お兄さんってよんで!」

 理髪師とのユニークな会話が続く中、友梨香の髪は見事なショート・ヘアに仕上がった。

「あ~ら、ほんとーにオードリー・ヘプバーンみたいね~」

 今の友梨香の姿は『ローマの休日』のオードリー・ヘプバーンさながらの艶やかさだ。

「ありがとう、お兄さん。はい、お勘定ね」

 店を出た友梨香は電車に乗って、池袋へと向かった。


 池袋のファミリー・レストランにて、高校生らしき男子三人の祝いの席がある。

「愛と青春と俺達の旅立ちにカンパーイ!」

 祝いの席の主役の名は(おお)(ばり)(はじめ)。この春に美大の名門・高野台(たかのだい)美術大学に合格した。そんな一を高校の友人である本山(もとやま)納屋(なや)(ばし)らと祝いの宴を開いていた。

「大張、いよいよお前も美大生だな」

「おめでとーさん!」

「いやあどうもありがとう、本山に納屋橋」

 一は将来、絵を描く仕事に就くため、美術系の大学を受験し、見事に合格。一の同級生である本山と納屋橋は高校卒業後、それぞれ家業を継ぐこととなっている。

「大張は大学に行くことになって、一方俺たち遊んでばっかだったから、結局家業継ぐだけになっちまったぜ」

「それも最初から修行し直しだもんな」

 羨ましそうに言う本山と納屋橋。

「うちは親父がサラリーマン、お袋がアパートの管理人。お前らみたいに菓子屋やうどん屋って店をやってるわけじゃないからな。それにお前ら、遊んでばっかといっても、姫乃友梨香の応援で一生懸命じゃないか」

 うどん屋の本山は『姫乃友梨香親衛隊』の隊員。菓子屋の納屋橋は『姫乃友梨香ファンクラブ』の会員である。

「そういや大張も友梨香ちゃんが好きって言ってたな」

「まあ好きって言っても、ちと好みのタイプってだけだし。俺、あんましアイドルとか芸能はどうも詳しくなくてさ。それに去年は受験で忙しかったし。妹は友梨香ちゃんのことは嫌いとか言ってたな…ん?何だありゃ」

 談話の途中で一がふと窓辺を振り向いた。ショート・カットの女の子が、ヤンキー三人に言い寄られている。あまりのしつこさに女の子は嫌がってる様子だ。

「何だあいつら…よし、女の子を助けに行こう」

「お、おい大張」

「しょうがないなあ…あ、もう出ます。はい、お勘定」

 店を出る一の後に本山と納屋橋もついていく。


「おい、やめろお前ら!恥ずかしいとは思わんのか?」

一、本山、納屋橋はヤンキー三人組からショート・カットの女の子をかばう。

「何だとてめえらっ!」

 突っかかってくヤンキーども。

「いっせーのっ!」ドン!

 一達に突き飛ばされ、ヤンキー三人組は総崩れになる。

「それっ逃げろ~」

「待ちやがれ!てめーらーっ!」

 四人を追いかけるヤンキー三人組だが、最寄の駅の中まで逃げ込むのを追いつめようとした時…

 キキーッ!

 突如、自動車に間を横切られ、ヤンキーどもはまたもや総崩れの尻餅。

「バッキャロー!気をつけやがれ…ってあれ?」

 去ってゆく車に怒鳴りつけ、はっと見ればもはや目の前に一達の姿は無かった。


「ふーっ助かった…」

 少女を助け出し、近くのベンチに座り込む一達。

「あの…どうもありがとう。おかげで助かりました」

 息を切らしながら少女は三人にお礼を言う。

「なあに、当然のことをしたまでさ」

 多少照れた様子で一が答える。

「君、どこから来たんだい?」

「名前は?」

 本山と納屋橋が少女に尋ねる。

「私は…ユカリ。池袋にいる友達に会いに来たの」

「池袋なら俺の住んでるところだ。よし、送っていくよ」

「えっ本当ですか?でも…何だか悪いわ」

「いいんだよ、乗りかかった船だ。俺たちがガードしてやるよ」

「よっしゃ、そーと決まれば早速行こうぜ!」

 一達はユカリと一緒に池袋へと向かった。


 夕方、池袋に着いた。一の家はとある小さな下町にある。

「ここが俺の家、『さくら荘』ていうんだ。おふくろが管理人なんだ」

 一は実家であるアパート『さくら荘』をユカリに紹介した。家に入ってくると…

「アチョーッ!」

「キャッ」

 空手着を着た小学生くらいの少女が現れ、驚くユカリ。

「こらっ脅かすなよ」

 注意する一。どうやら一の妹である。

「へっへー、ん?この人、兄貴の彼女?」

「いや、そうじゃないんだ。今日会ったばかりだよ」

「珍しいね~何か兄貴に二度春が来たみたいだぜ、ヒューヒュー」

「こら、からかうなって」

 男口調で話す妹を一がこづく。

「あ、あの~」

「あ、申し遅れてごめん。こいつ俺の妹で宮乃(みやの)っていうんだ。今度中学生になるんだ」

 一は妹・宮乃を紹介する。

「おい、ちゃんとあいさつしとけ」

「へっへー、うちの兄貴がお世話になりやす」

「まじめにやらんかこのっ」

 兄妹のやりとりにくすっとするユカリ。

「あら一、お客さん?」

「あ、母さん」

 一を出迎えたのは、母・桜子(さくらこ)である。

「母さん、この人、兄貴のこれっこれ」

 宮乃が小指を立てる。

「だっからさ~違うってーの!」

「それより今日は一の合格祝いでしょ。お父さんが腕を振るってごちそうするそうよ」

 今夜は大張家でも、一の大学合格パーティーが開かれるのだ。

「おっとそうだった。どうだい?ユカリちゃんも食べてゆきなよ」

「えっでも…」

 ユカリが何か言いかけた、その時…

 ブロロロローン!

「?」

 一台のバイクが『さくら荘』に入り込んだ。

「あら美紗ちゃん、お帰りなさい」

 バイクのライダーがヘルメットを外したら、ヤンキー風だがなかなかの美少女であった。

「ハア~イ、お元気~?」

「あ、ああ…」

 美少女ライダーに声かけられ、一は戸惑いながら答える。

「ふん?」

 彼女はふと、ユカリの存在に気付いた。

「あ…紹介するよ。彼女、うちのアパートに下宿している鳥谷(とりがや)美沙(みさ)さんだ。あ、それからこの娘、ユカリちゃんていうんだけど…」

「ふ~ん」

 美紗はそっけなく答えた。次いで美紗はライダースーツを脱いだ。スーツの中身は、リボンの付いたセーラー服が見えていた。

「そいじゃね」

 脱いだスーツとバイクを運び、美紗は自分の部屋へと帰っていった。美紗を呆然と眺めているユカリに、一は声をかける。

「どしたの?」

「…え?あ、何でもありません。それよりお食事は…」

「あ、そーだった。じゃ母さん、宮乃、行こうか」


「お父さん、一が帰ってきましたよ」

「おかえり~」

 桜子は子供達とお客さんであるユカリを連れて家へと入った。台所には一の父・大助(だいすけ)がいる。一の合格祝いにと、腕を振るってビーフシチューを作っている最中だ。

「ん?あらやだ、お鍋吹き出てるわ!」

 驚いた桜子は、すぐさま台所へ飛び込む。

「も~お父さんたら『全部任せろ』ってゆうから、そうしたら…」

「だからよせって言ったんだよな~親父にゃ無理だって」

「ハハハ、ごめんごめん。しっかし上手くいかんもんだな~」

「まあまあ二人とも、せっかく父さんが俺のために腕を振るってごちそうしてくれたんだから…」

 がやがやとした家族のやりとりに、ぽつんと見つめるユカリには、懐かしいような羨ましいような感覚を胸に秘めていた。


 すったもんだの末、時計の針が六時を回り、大張家はようやく食卓についた。

「一、おめでとう。これでお前も晴れて美大生だな」

 お祝いの言葉を述べた後、父・大助は乾杯の音頭をとった。

「大学合格おめでとう!」

「カンパーイ!」

 乾杯した後、一家四人とユカリは食事を始める。

「ゲゲッこのシチュー、胡椒の入れすぎじゃね-のか?」

「カ~レ~こんなのお客さんに出せないぜ」

 文句をたれる一と宮乃だが、ユカリは…

「ううん、いいの。私、こう見えても辛党だから」

 かなり無理したように語るユカリ。

「そういやさ~この前のカレーも苦かったよな」

「いやーあんときゃ父さん、火をかけ過ぎちゃってなー」

「アッハハハハハ」

 さて今夜のお客様であるユカリは…

「あの…」

「なんだいユカリちゃん?」

「さっき宮乃ちゃんの言ってた『二度春が来た』って、大学に合格したってことと…」

「そっそ、どうユカリちゃん?いっそうちの兄貴と…」

「宮乃!」

 一の突っ込みが入る。

「でも、すみません。いきなりおじゃまして、その上ごちそうまで…」

「なーに気にしない気にしない。まあたくさんあるからドンドン食べてきなさい」

 遠慮しがちなユカリに、気持ちよさげに勧める大助。

「よーするに作りすぎたんだろーが」

「宮乃、それを言っちゃおしまいでしょ!」

「ワハハハハハ」

 一家団らんの賑やかさに、いつしかユカリも馴染んでいった。


「あ~まだ舌がヒリヒリするぜ」

「じゃあ私、そろそろ友達の家に…確かこの近所なので」

 食事の後、一とユカリが夜道を歩く。

「そこまで送ってくよ」

「ううん、一人で大丈夫」

 ふと、ユカリは立ち止まり、一に尋ねる。

「あの、ところで…」

「なんだい、ユカリちゃん?」

「あの鳥谷美紗さんって、いつからここに住んでいるんですか?」

「彼女…以前モデルやってたんだよな。でも彼女の事務所の先輩モデルと親父さんが不倫しちゃってさ。以来、夫婦仲が悪くなって、怒った彼女はモデル事務所辞めて、ギャラ全部引き出してから数ヶ月前、ここに引っ越してきたって訳さ」

「でも、どうしてここにしたのかしら?」

「家が近いからだろ。彼女の家は隣町さ。でも、どうして?」

「え、ええちょっと…気になって」

「あの娘も前はあんなんじゃなかったな」

「え?」

「あの娘、俺のいた高校の後輩なんだ。今度二年生だけどね。俺が美術部にいた頃は、よく絵のモデルとかしてくれたっけ」

「ふうん…」

「それと昼間のヤンキー共も同じ高校。ついでに言うと落第生だ。あいつらしつこいから、気をつけた方がいいよ」

「うん、ありがとう。じゃあ、またね」

 手を振って明るくはしゃいで去ってゆくユカリを見送りながら、一は呟く。

「彼女…可愛いな。宮乃の言うように二度春が来たかな?」

 月夜の道をウキウキ歩いているユカリは、すぐに角を曲がった。そして一が家に戻ったのを見計らったその時、また『さくら荘』へと向かう。

「へっへー、あいつ驚くだろ-なー」


 ドンドン!

月夜の晩、ここ『さくら荘』の二階にある鳥谷美紗の部屋にノックの音がする。

「ハ~イ、どなた?」

 美沙がドアを開けると、そこにはショートヘアの少女・ユカリが立っている。

「美沙おっひさー!元気してた?」

「…え?」

 美沙はユカリが誰なのか気付かない。

「私、麻里よ、浦木麻里よ!」

「浦木麻里て…今、姫乃友梨香という名でアイドルしてる、あの姫乃友梨香?」

「そうよ!デビュー前よく一緒にモデルのお仕事してたでしょ?」

 しばらくして美紗は、ようやく目の前の少女が誰だか分かってきた。

「マリーッ!」

 突然、美沙は彼女に抱きついた。

「会いたかったーっほんとう、元気だったー?」

「う、うん。まあ…」

 再会を喜び合う二人の目には、濡れて光るものがある。

「でも、驚いた。トップアイドルになったあんたが、まさか私を訪ねてきてくれるなんて…髪切ってたから最初、麻里だなんて分かんなかったよ」

「美紗こそ、まさかアパートで一人暮らしだなんて、思い切ったことやるじゃん」

「へへっ麻里ほどでもないよ。それよりどうしたんだよ?今一番忙しい時期なのに。いきなり髪まで切っちゃって、何かあったの?」

「うん、実は…」

 ユカリもとい浦木麻里は、寂しそうな目をして語り始めた。

「私は自分の夢をステージいっぱい描きたくて、周囲の反対を押し切って上京した」

「ああ、モデル時代も歌手デビューできるのが楽しみで、そんな話してたよね」

「でも、いざデビューしてみれば、ああしなさい、こうしなさいと事務所の方から言われたことしかできなかった。髪の長さ、普段の服装、箸の上げ下ろしまで会議で決められ、その通りにしかできなかった。私が描きたいものとは、まるで違っていたのよ」

「なんてこったい、これじゃまるで着せ替え人形みたいな扱いじゃないかよ!」

「そして休日の過ごし方も、事務所の筋書き通りにしか動けないのよ。それで一度。自由に…姫乃友梨香になってから自由に飛び回ってみたかったのよ」

「そうか…そういや、あんたのモデル時代も一切触れられてないね。これも事務所の方針でかい?」

「そう、何もかも事務所の思い通りで…もういやんなっちゃう!」

「分かるよ…私だってモデル業界が嫌になって、事務所と家を飛び出したんだからね」

 今度は美紗が語り始める。

「私も中学からモデルやってたんだけど、親父の奴が先輩モデルと浮気してたんだよ。お袋もお袋で、毎日ヤケ酒で私に『何でモデルになったのよ!』って八つ当たり。何もかも嫌になって、このアパートに引っ越してきたって訳さ」

「美紗…」

 静まりかえってから、ふと美紗が何かを思いついて言う。

「そうだ、今夜は二人の再会を祝してパーティーしない?」

「そうね、そうしましょう!」

 美紗は飲み物やつまみを持ち出し、祝杯の準備をする。


「かんぱーい!」

 今夜は友梨香の持ち歌で盛り上がる二人だけのパーティー。

「ねえ美紗…」

「なんだい麻里?」

「一君て、かっこいいね」

「ああ大家さんの息子ね」

「そう、それに美紗の高校の先輩でしょ?」

「ああ、そうだけど」

「誠実で、優しくて、今日は不良から私を助けてくれたの」

「ふーん…あの大張先輩がねえ」

「美紗もそう思わない?」

「あ、私は、べ、別に…」

「あー赤くなった!もしかして美紗が家出するのに、このアパートにしたのは一君が目当てなわけ?」

「こらーっこのー!かわいくねーの!」

「キャハハハハハ」

 親友と安らぎの一時を楽しむアイドル・姫乃友梨香は、身も心も浦木麻里の姿に戻っていた。こうして二人の美少女による宴の夜も更ける。


 明くる日、ユカリこと友梨香は昼になっても『さくら荘』の美紗の部屋で寝ていた。美紗は今、学校にいる。苦労続きのアイドル・友梨香にとって、よっぽど疲れていたのか、美紗が学校から帰ってくるまで眠りこんでいた。

「だだ今ー、ん?何だまだ寝てたの」

 美紗は友梨香を起こそうとする。

「ほら麻里、もう昼過ぎだよ。早く起きな!」

「あ…うう…んっ…」

 眠れる森の少女が、お目覚めのになったようだ。

「麻里…あ、今はユカリだね。ねえ、今から一緒にショッピングしに行かない?」

「うん、いくいく」

 ユカリは服を着替えた後、美紗のバイクの後ろにまたがり、池袋辺りまで突っ走っていった。

「じゃあ先ずなんか食べるか」

「うん、そうね」

 池袋の街に着いたユカリと美紗は、ファミリー・レストランに立ち寄った。すると…

「ん?」

「あ…てめい!」

 三人組のヤンキーにばったり出くわした。その三人は、昨日ユカリに絡んできた連中だ。

「鳥谷!てめえ、この前はよくも俺のバイクをポンコツにしてくれたな!」

 どうやらこの三人は美紗とも何かしら因縁があるようだ。

「何言ってんだい、そっちが勝手に転んだんじゃないか。へっぽこな腕してよく言うよ!」

「なにーっ!」

 ヤンキーが美紗につかみかかってきた。

「えいっ!」

 後ろからユカリが、ハンドバックでヤンキーの頭を叩く。

「あ痛っ、このヤロー!待ちやがれい!」

 ヤンキー三人が追いかける。バイクに乗る間もなく、駆け出すユカリと美紗。

「待てーっ!」

「きゃーっ!」

 しつこく追いかけるヤンキー共。そのしつこさはまるで蛇のよう。その時だった!

「ん…何だありゃ?」

 通りかかったのは『さくら荘』の息子・大張一と、その妹・宮乃だ。

「兄貴、ありゃ昨日うちに来た女の子と…」

「鳥谷…美紗?」

 思わぬところで二人に出くわした兄妹は、早速助け出そうとする。

「おい待て!お前ら、しつこいぞ!」

「何だと?あ、こいつ昨日の…」

「また邪魔する気か?」

「やっちまえー!」

 二人の少女を巡る戦いが始まった。先陣は宮乃が切った。宮乃は得意の空手で立ち向かう。

「ヤー!」

 宮乃の空手がヤンキーの腕を止め、その隙に腹部へ蹴りが入った。

「うがっ!」

 一人が蹴られた勢いで後ろの仲間二人にぶつかり、そのまま将棋倒しとなった。

「伊達に通信教育で、護身空手やってないよ!」

「てめー!」

 歯向かってくるヤンキーの一人の両手を一が掴んだ。

「このっどうだ!」

「うっあいてててててて!」

 一の握力は意外にも強かった。この四月に美大生の一は小さい頃から絵画教室に通っており、高校まで美術部で油絵を描いていた。油絵を描く者は筆を握って描く時、かなりの握力を使う。一の油絵は常に力強く描いており、画力と共に握力も鍛えていたのだ。

「どおだ!だてに十年、絵を描いていた訳じゃないぞ!」

「私に教わった護身術が役に立ったな、兄貴!」

 実は一の技は宮乃に習った術であった。

「いたたたー骨が折れるーっ」

「へへっ軟弱な奴め!」

 宮乃も空手で残る二人のヤンキーに応戦してる。

「ヤーッ、トー!」

「あ痛ててっ!このチビめ~」

 ヤンキーの繰り出すパンチは、どれも空振り。隙だらけのヤンキーの体制に、宮乃の拳と蹴りが飛ぶ。

「どうした、もう降参か?」

「てめーっなめやがってー!」

 ヤンキーの一人がそう叫んだとき…

「こらーっ!やめんかー!」

 警官の怒鳴り声がした。

「やっべー、おまわりだぜ!」

ヤンキー共はさっさと逃げ去り、ようやく騒ぎは治まった。

「君たち大丈夫か?何かあったのかい?」

「いえいえ、おまわりさん。もう済んだことですから。さあ、行こっか!」

 一はそう言って、ユカリ達を連れてこの場を去った。


「ふぅ~助かった…ありがとう一君」

 最寄りの公園に入って、ユカリは一にお礼を言う。

「なあに、いいって。あ、君は昨日の…」

 はっと思いついたように言う一。

「そうか、ユカリちゃんの言ってた友達って、彼女のことか」

 一と宮乃は、美紗の方に目を向けた。

「そうなんです、改めて紹介します。彼女、私の親友で鳥谷美紗っていいます」

「ひえ~世間は狭いな、兄貴」

「まったくだ」

 驚いた様子の大張兄妹。

「あ…どうも。俺、鳥谷の先輩で大張一っていいます。鳥谷にはよく、美術部でモデルをやってもらってました」

 照れながら改めて、自己紹介する一。

「なーにいってんだよ、兄貴は…あ、どうも妹の宮乃です。改めまして、これからもよろしく」

 兄に続いて自己紹介する宮乃。

「どうも、私の方こそこれからもよろしくね」

 ユカリはにっこりと微笑んであいさつする。


 騒ぎも収まり、ユカリ達はファミレスに向かう。

「ところで鳥谷、まだあいつらと関わってるのか?」

「関わってると言っても、あいつらしつこいんだよ。先週、無理やりチキンレースに付き合わされて、私が勝ったのはいいんだよ。でもあいつら、自分らのバイクがぶっ壊れたのを私のせいにしてんだぜ」

「へーっ、バイクのレースってあぶなっかしーねー」

 宮乃がそう呟く。

「普通の自動車とはテクニックが違うんだよ、だから宮乃ちゃんは乗らない方が良いよ」

「はーい、はい」

 美紗の注意を受けて応える宮乃。てなこと話してる内に、ファミレスに到着した四人。そこで一はユカリと美紗に話しかける。

「ユカリちゃん、鳥谷。今日はもう帰った方が良いよ。まだあいつらがうろついているかもしれないからな」

「う…うん、そうするわ一君」

 ユカリが可愛く微笑む。

「よし、じゃあここで食事してから帰ろうや、ユカリ」

「うん、そうしよう美紗。私もうすっかりお腹すいちゃったし」

「そうそう、兄貴のおごりで」

「何言ってんだ宮乃、ささっ入ろう」

 四人はファミレスに入り、食事しながら楽しい夕暮れの一時を過ごした。


「じゃーねー、一君に宮乃ちゃん」

「バイバーイ!」

 ヤンキーに追っかけられるというアクシデントもあったが、ユカリもとい友梨香にとっては楽しい一日であった。

「今日は楽しかったね、美紗」

「ホント、あんたテレビやグラビアで見るよりも、とっても生き生きしてたよ」

「へ~そっかな~?」

 おどける友梨香。

「まるで恋する乙女みたいに…」

「え?美紗、何か言った?」

「う、うん。いや、別に…」

 何かよそよそしい態度の美紗。

「そーいや美紗と一君、今日は何やら楽しそ~に話してたよね。仲良いんだ」

「い、いやそんなことないよ。先輩ならあんたの方が…お似合いだよ」

「えっ…?」

 美紗の言葉に驚く友梨香。

「まあ、そんなことより早く帰ろう。私の後ろに乗りなよ」

「では遠慮無く」

 美紗が駆るバイクの後ろに友梨香がまたがり、颯爽と走り出す。

 ブロロロローン!

 美紗のバイクは意気揚々とした走りを魅せる。

「う~ん。何だがオードリー・ヘプバーンになった気分」

「すると私がグレゴリー・ペックかい?変なキャスティング。それにあの映画は、二人が乗ったのはバイクじゃなくてスクーターだろ?」

「でも今はバイクの方がかっこいい」

「それもそうだな。ハハハハハ」

 二人は映画『ローマの休日』のシーンを思い浮かべながら、そのまま家まで走り続けていった。


つづく

脱走したアイドル・友梨香は親友・美沙と再会し、新たな出会いにも遭遇する。安らかな日常の中で、友梨香に恋の予感が…

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