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【完結】首狩りと少女  作者: うにどん
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第1話

「これで9人目か・・・・・・」


 俺が所属している騎士団の団長は足下にある首無し死体を見て、そうぼやいた。


 俺の名はヘイゼル。

 魔術師が集う街、マギアに見習いとして配属された騎士だ。

 俺が配属して半年が経った頃、ある事件が起き始めた。

 ある事件――魔術師が相次いで首無し死体で発見される事件。

 被害者達は首を食い千切られた姿で発見され、奇妙な魔方陣の上で息絶えている、そして、被害者達は生前、周囲に。


――凄い魔導書を手に入れたんだ!! これで全ての魔法を使える!!


 そう言い触らしていたという。

 その魔導書を見せてもらった事があるという人物から聞いた話だが、タイトルが書かれていない黒い本で中身までは見せてもらえなかったそうだ。

 だが、亡くなった魔術師の部屋には例の魔導書らしき黒い本はなかった。


「魔導書は何処にいったんでしょうか」

「何者かが盗んだか、実は魔導書自ら消えたか」

「魔導書が自ら? そんな事あるんですか?」

「大昔、魔力を宿した魔導書が意思を持って動いた事があったそうだ。まあ、いわゆる言い伝えみたいなもんだが」


 先輩とそんな事を話しながら、俺は街にある冒険ギルドの通りで聞き込みをしていた。

 マギア内で多くの人、特に外部からの人間が多く居るこの通りで聞き込みをするのは数え切れないほどやってる気がする。

 死体の状況から奇妙な魔方陣で何か呼びだし、その何かに首を食い千切られた可能性が高いことから、恐らく魔導書が重要と判断し、魔導書に関する事を聞き込みしていた。

 と言っても、成果は乏しくないというより全然ない。

 騎士団内から王都の魔法騎士団に援助要請をした方がと話は出てるが団長曰く、既に要請を出しているが亡くなった魔術師達は皆、低級ランクである事から重要ではないと判断され却下されてしまったそうだ。本音は王都から距離があるこの街まで行くのが嫌なんだろうと団長はぼやいていた。

 それに魔導書を手に入れた魔術師達は余り良い話を聞かない者達ばかりで死んだと話すとやっぱりねと返され、死ぬような事をしたんだろうと悲しむ者は居なかった、そのせいか街内ではこの事件は騒がれていない。

 だけど、治安を守る騎士団としては放っておく訳には行かないから、事件が起きれば成果がない聞き込みを行うのだ。

 また変わり映えのない日を過すのだろうと思っていた矢先。


「放して下さい!!」


 甲高い少女の声を聞いた。


「ぶつかったの謝ったじゃないですか!! いい加減に放して下さい!!」

「謝るだけじゃ物足りねえって言ってるのが解らねえのかよ!!」

「解るわけねえわよ!! 金でも取るつもり!?」


 ガラが悪い荒くれ者の冒険者に絡まれながらも可憐な見た目とは裏腹に立ち向かう少女に唖然としたが。


「おい、そこ!! 何をしている!!」


 先輩の声に我に返って2人に近づくと冒険者は少女の手を放してサッサと逃げ、少女はペコリと俺達に頭を下げた。


「助けていただいてありがとうございます」

「当然の事をしたまでだ、怪我はないかい?」

「強く腕を掴まれましたけど痕は付いていないので大丈夫です」


 ニコリと笑う彼女は、最近、この街に来た流れの占い師である事、買い物をしていたらぶつかって謝ったら絡まれた事。


「そう言えば名乗っていませんでしたね、私はサクと言います」


 名はサクという事を話してくれた。

 彼女は名乗るとそれじゃあと去ろうとしたが先輩がまたあの冒険者が絡んでくるかもしれないから送っていけと先輩に言われ、彼女が住んでいる貸部屋まで俺が送ることになった。


「態々すみません」

「い、いえ、これも仕事ですから・・・・・・」


 同年代の女の子と余り話したことがないから凄く照れくさい。

 彼女はそんな事を気にすることなく笑いながら俺に合わせてくれて嬉しかった。


「そういえば、この街に着いたばかりの時に聞いた話なんだけど、魔術師達が首無し死体で発見されてるって本当?」


 人混みが少なくなった辺りで彼女は俺に聞いて来た。

 此処は色んな人間がやって来る通りだ、物好きな人があの事件について話していたのを聞いたのかもしれない。きっと、それを聞いて不安になったのだろう、此処は騎士として安心させないと。


「それは本当です。だけど、騎士である俺達が必ず解決して見せますのでご安心を!!」

「わあ! 頼もしい! ねえ、殺された人達ってどんな人で何処で殺されたの?」


 彼女の目が怪しく光る。

 それを見た俺は頭がクラクラして、気付いたら。


「あれ?」


 騎士団の屯所前に立っていた。

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