旅の思い出
ある大学の宿泊イベントがあった。
僕はK空港から飛行機に乗って行った。S空港に着くとその大学の旗を掲げている人の周辺に他校の生徒が男女あわせて20人ほどいた。
S空港からバスに乗るために移動している時、F県から来た体格が横に大きいK氏(ラガーマンと呼ぶことにする)が話しかけてきた。どうやら僕がラグビーのカバンを持っていたことから僕をラグビー部の人だと思ったようだ。僕は中学の時にラグビーはやっていたが高校に入ってからは水泳をしていた。だが、ラグビーのことに関して(ポジションやメンバーの話など)話していたので、このイベントで最初に話が合う人と話した。
このイベントではM港から船に乗ってホエールウォッチングをすることになっていた。船が沖に出るとカマイルカがたくさんいた。大学の人曰くイルカがたくさん見れるのは滅多にないと言っていた。というよりもイルカがたくさん見れたことで、最後のほうには見飽きて寝ている人もいた。
船を降りて宿に移動す
ると、その宿は廃校を大学が買い取って宿泊施設にしているものだった。その宿での晩飯はカレーだった。ジャガイモがゴロゴロ入り、ニンジンが細かく切ってあって、小さいホタテが入っているカレーだった。僕の隣で食べていたのはラガーマンで皿いっぱいにご飯を盛りカレーをかけて食べていた。彼曰く合宿で食べる量よりも少ないとのこと。もう大食いでも出たらどうだろうかと思った。カレーを食べ終わったころラガーマンは朝ごはんがお腹に残っていてあんまり食べれなかったなどと言った。彼の朝ごはんはホタテ丼だったそうだ。
晩飯を食べてから風呂(宿から10分くらいの場所にある)に入った後、僕はすぐ寝ていたが、先輩曰くあんな環境でよく寝れるなと言われた。虫がいたのか、何かを話していたのかは僕は分からない。
二日目、朝ごはんは昨日のカレーの残りで作ったカレーうどんとおにぎりだった。僕は朝はあまり食べないので少なめにしていたが、ラガーマンは朝からうどん大盛りとおにぎりを2個食べていた。今日は釣りをして海で泳ぐのによく食べるな、と思った。
飯の後、釣りに行ったがほとんどみんなボウズだった。同じ学校のO氏はヒトデと魚一匹釣っていた。対して僕はというと、最後の最後で食いついたが餌だけ器用に取られてボウズだった。
昼飯を食べた後、磯に行って生物採集をしていたが、ラガーマンはウニだらけの海で一人潜り続け、アメフラシやトコブシ、ナマコなどを大量に採りまくっていた。聞いた話だと、彼は地元のF県で素潜り漁を手伝っていたという。他のみんなは浅いところで採集していたが、彼一人だけは深いところに潜り続け、最終的には大学の先生から水温、塩分濃度などの調査を手伝っていた。僕は一回潜ったがウニだらけで足が底に着けずすぐに上がり陸の近くでフナムシを観察し、O氏は潜ったときにウニのトゲが膝に刺さり診療所に行っていた。
海から上がり、着替えているときに事件は起きた。みんなは小屋で着替えていたが、僕とO氏、ラガーマンとN氏(スタッフと呼ぶことにする(理由は後述))とE氏がバスの真横、物置きになっている場所で着替えていると、スタッフがちょうど水着を脱いだ時に小屋の方から大学からイベントの運営で来ている女子大学生が歩いてきた。ちょうど脱いだタイミングと来たタイミングが被ったためO氏がスタッフと女子大学生の間に立った。スタッフを隠すためだ。スタッフはその時気づいていなかった。しかし、空気が冷たくなり後ろを見ると女子大学生が来ているのが見えたらしく焦っていたようだ。しかし何を考えたのかすぐにパンツなりズボンなり履けばいいものをスタッフは硬直したのだ。そのため、ラガーマンやE氏から「スタッフのスタッフがスタッフにスタッフされた」などといい、E氏が女子大学生に見たかどうか聞くと、見ていないと答えたらしい。しかし、ラガーマンとE氏曰く本当に見えていなかったのならば「何が?」とそもそもナニかすら分かっていないということらしく、女子大学生の返答は「見えていない」この事からラガーマンとE氏はスタッフのスタッフが見えてしまったと断言。スタッフはその後その女子大学生と喋るとき気まずくなったらしい。この事件は『スタッフ事件』と名付けられ、このイベントに来ていた色々な学校の生徒から広まり、その学校で話されるだろう。
海の帰りに温泉に行った。昨日は入らなかったサウナに入ろうかと思ったが、いきなりサウナはキツいと思いスチームサウナに入った。温泉を出たあとスタッフは相変わらずスタッフをしていた。事件のことはすっかり頭から叩き出したようだ。
晩飯は体育館でのBBQで、僕の班はスタッフと先輩のS氏、それにE氏を加えた四人だった。他の班は肉から焼いていたが、僕たちが最初に焼いたのはホッケだった。弱火でじっくり焼いていたため、焼き上がるまで10分以上かかったように感じる。その間は雑談、というよりも愚痴の言い合いになっていた。僕とE氏、スタッフは兄弟に姉がいるのでその話題となった。彼らの姉達は自分通りにならないのを気に入らないとのことだった。スタッフはその怒りがあったのか飛んでいたハエに対していつものスタッフのような丁寧な口調ではなく、荒々しい暴言となっていた。スタッフ曰く姉とハエは同列らしい。いくらなんでもそれはどうなんだと思ったが黙っていた。そしてやっぱり話はスタッフ事件のことになる。隣の机にはラガーマンも居たので話は少し誇張されて話されていた。
そして僕たちはホッケの後ホタテを焼いていると火が消えた。他の班は火をマックスで使っているのに対して僕たちは弱火でじっくりとしていたのにだ。そんなこともあり、片付けの時間になる頃には、肉1パックにナス丸々一袋、玉ねぎも残っていた。
部屋に帰った後、音楽を聞いているといつの間にか寝落ちしていた。
最終日、朝は部屋の片付けをし、朝ごはんはバスの中でおにぎりを食べた。この日は大学のキャンパスに行くのだが、宿のあるS町から大学のあるS市までは1時間ぐらいかかったので、途中で道の駅に寄った。そこでは、ツーリング集団と思われる40以上の集団がいた。バスから降りるとガソリンの臭いが充満し、すごく五月蝿かった。あれなら学校の先生が乗っている大型の方がカッコいいと思える。
道の駅からでて、キャンパスに着き、海洋生物の研究室やプランクトンを電子顕微鏡で見たり、サークルで育てられている水性の生き物を見た。予定よりも2時間も早く終わったのはS市をじっくり観光してほしいとの大学の先生の好意だった。正直ありがたかった。予定通りの時間だと土産を買う時間も少なく、直ぐに出発だったので、ゆっくり買い物ができた。
M氏と空港で土産を買っていたがK高校の先生がソフトクリームを奢ってくれた。その先生が出発する時僕はチェックインをしていたので挨拶出来なかったが、M氏曰く、先生は「これも繋がり」と言い、M氏は先生が見えなくなるまで頭を下げていたという。あの先生のような人間が、他の人から敬意を受けるに値する人間だと僕は思った。
飛行機が着陸体制に入った。気圧の変化によってすごく耳が痛い。帰ってきたのだ。窓の外にはK空港が見える。
これであのメンバーで集まることはおそらくないが、メンバーの住んでいる地域に行ったときには連絡してみるとしよう。
主要登場人物
ラガーマン(K氏) F県出身のラグビー部
O氏 同じ学校の同級生 始めて会った
スタッフ(N氏) K県から来た スタッフよりスタッフしてる。
スタッフと呼ばれた理由 施設の中で誰よりも働いていてみんなが先生と勘違いしたから。
E氏 S市に住んでる 下ネタばかり言う まとも