第22話 自然と育っていくように
【前回】 今は亡き師匠の事を思い出した
第22話 自然と育っていくように
――半永続的に改良と成長を重ねていく為に。
「これは……学校に関する書類か。」
「はい。主から戴いた提案を元に、我々の方で多少なりとも変更を重ねた物とはなります。また、過去に主のご指示の通り、例の脈輝種を既に配置しております。」
これで少しは良くなれば良いんだが。
元々この国では貧富の差がかなり激しい。スラムなどは過去にこの国の愚王が収めていた際に一斉清掃したのが要因で存在しない物の、だからこそ教会や裏通りなどに少し足を踏み出せばとんでもなく治安が悪くなる。
何処でもスリは起きるし、何処でも文字の読み書きなどで問題が発生する。私がこの国を制圧してからは仕事をしていない者など誰も居ない訳だが、それでもまだ識字率の問題は多くある。
それに、何処の種族。何処の国でも学習機関や研究機関が複数あったり、優秀である事はその国が豊かであり、そして知性に溢れている事の証明となる。故に、少しでも早く学習機関とそれを安心して行える為の環境づくりは急がなければならない。
流石の私でも元の知性を弄る事や知識を魔法で与える事は出来ない。こればっかりは個々で努力してもらわなければ。
「主。」
「何だ。」
「未熟な私に知識を戴きたく。この度、主は既にこの国にある学習機関の改善ではなく新設を命じられ、既存の物は廃止を命じられました。それは……何故、なのでしょうか。」
「改善よりも一度真っ新にして作り直した方が楽だからだ。実際、既存の学習機関はどうにも敷居が高い上に敷地も狭い。まるで貧困に苦しむ者達には学習の権利すらもないと言わんばかりに貴族や王族ばかりが入学権利を有し、学園側としては彼らから金を貰う事で学校を発展させていたのかもしれないが、それでは学徒達の心も人を見下すと言う感覚を覚えてしまう。それでは学習機関として失格だ。」
「だから巨大な学習機関とされたんですね。」
「あぁ。」
確かに学習機関を利用する側としてはそれだけ入学基準が高い方が「自分達の子供はこれだけ優秀なんだ」と自慢する要素にはなるだろう。しかし、その反面でそれがプレッシャーとなり、それを求めるあまりに家庭内暴力などが勃発して育てるはずの命が死を選んでしまう事も珍しくはない。
生まれ変わったこの国ではかなり難しい話かもしれないが、元々家庭内暴力と言うのは何処の種族、何処の国でも気付かれにくい。故に、それならば以前のように複数個の学園を設けるよりは、1つの大きな学園を設けてしまった方が早い。
何より、今回手に入れたこの国は複数の大都市を設ける程に広大な国土を有している訳でもない。いづれは他種族の国家を制圧して同じようにしていくのも良いだろうし、今は忙しいだろうがそれこそ愚弟の国が次の実験場となる。
事実、私も過去は自由に勉強が出来なかった。王族なのに王族の恥晒しだからと学園に通う事すらも許されなかったぐらいだからな。
だが今はそうじゃない。私のやりたいように国造りも、環境作りでも出来る。確かに私はこの国を制圧し、諸々を洗脳し、手中には収めたがだからと言って彼らを苦しめたい訳ではない。ただ、反対意見がうざったいから黙らせただけだ。
何より、私が開発した脈輝種であれば知識を、技術を、能力を与えた上でマザーが自身の子にそれを引き継がせた上で人員を補充する事も出来る。これならば授業に差が出る事はない。
「それに、学徒目線から見てもいちいち進路に悩んでどの学校に通うかを悩むぐらいであれば、こういう大きな学園に入学させ、受講する授業ごとに専門的な学び舎や区画へ移動する方がより成長も見込めるだろう。」
「ですが、主。それだと教師の問題が発生するのでは?」
「そこで脈輝種だ。専門科目ごとにそれぞれ教師にも1つだけ専門科目だけを専攻させれば幾らスペックの高い脈輝種でもリソースの問題は発生するからな、特定の科目だけに絞ればそれこそ他種族が生涯でその身に得る知識よりも遥かに多くの知識を貯め込む事が出来る。何なら教授とし、各自が自らの専攻する分野を暇な時に調べるよう義務付けていれば勝手に成長もする。必要とあらばその中で最も賢い脈輝種をマザーに転身させ、また量産を重ねていけば人員不足なんて物は起きはしない。」
それこそ、後は相互の協力成長を成長を望む為に委員会でも設けて定期的に情報共有をさせれば良い。それが出来れば後はあまり心配するような事もないだろうからな。
――次回「 」
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