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悠久の宴にようこそ  作者: 夜櫻 雅織
第二章:傀儡国の神 再始動

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第19話 可能性の芽を可能な限り殺さない為に

【前回】神代の魔法を再現し、新たな傀儡として特殊な吸血鬼を手に入れた

第19話 可能性の芽を可能な限り殺さない為に


――少しでも多くの目と感性から。


 ……全く。この光景だけは本当に何度見ても嫌になるな。


 この国を実験場とする為、少しずつではあるが開拓を行う中でどうしても増えてしまう――書類の山。

 今も、ちょっと出掛けて戻ってきただけなのに私の執務室にあるデスクの上にはどっしりと書類が積み上がっており、どうにも苦笑いしてしまう。その苦笑いで察して何処かにこれらが消えてくれればもっと良いのだが、現実はそこまで優しくはない。

 渋々椅子へ腰を下ろし、とりあえずと積み上がった書類の山から1枚を取って目を通すだけでも若干うんざりしてしまう。


 まぁ……これでもほんの一部なんだろうけど。


「主、ご体調でも?」

「いいや、問題ない。」


 私が脈輝種として昇華したのと同様に、ルイス達にも転化を促し、その全員がそれを受け入れた。正直、半分ぐらいは断るんじゃないかと思ったが……そうでもないらしい。

 ルイスに与えた脈輝種の素体は、傲慢の(アレガンス・)戒律者(コマンドメント)と言う物。見た目こそは全く悪魔と変わらない物の、設定として色々ルイス用に盛り込んだこの脈輝種はかなり特殊だ。

 与えたのは新しい姿だけに留まらない。ルイス専用の魔導として神々の(デーモン・)誓約書(コンストラクタ)と呼ばれる固有魔導も用意した。

 これはルイスが常に持ち歩いている黒い手帳に記載された名前の持ち主は、ルイスの完全隷属下となり、その意思とは関係なく体の自由を奪われてただただルイスの奴隷として動く事になる魔導だ。

 名前の下にある記入欄に書いたとおりに命令や症状を引き起こす事も可能で、必然的に消費魔力量もかなりの物ではあるのだが本人はけろっとしている。


 何か特殊な調律でもしたのか……? まぁ、使いこなしてくれる分には困らないんだが。


 その他にも、願望の(デシーラ・)墓場(グラヴェヤード)と呼ばれる固有(プライベート・)空間(セーフ)も用意した。これは実体を持つ部屋ではなく、ルイスのみが自由に開け閉め出来る異次元に存在する――魔法で構成された部屋。

 内装としては書斎のような部屋にしていたが、大層気に入ったらしいルイスがこの中にこれまで自身が殺した存在の欲の象徴がふわふわと浮かぶように調律していた。お陰で本当に地獄のようになっている。


 どいつもこいつも物騒な奴らばっかりだな、この国は。


「主、ご質問が。」

「何だ。」

「この水晶玉は……?」

「これ、かなり高度な魔法が込められているような……。ね、ねぇ、どんな効果?」


 基本的に問いかけには言葉による回答で返すが、今回は少し違う。何となく驚かしたくてこんこんっ、と執務机の端にある水晶玉を突けばその中に帝国の全体像が投影される。

 しかし、こんなただの投影機なんて物はある程度魔法の発達している国であれば珍しくも何ともない。だから、私はこの先を行く。


「そろそろだ。」


 水晶玉の中に映る、帝国を囲う城壁の外側に城1つ分の幅を誇る森が突然生え始める。

 それらは何処までも大きく、長く、太くなり続け。やがては帝国内部の所々にある空き地からも大きく太い大樹が発生し、どんどん大きくなっていき。――ついぞ帝国の空を覆う。


「こ、これは……?」

「あ、ルイスさん! 外!」

「外……? こ、これは……!?」


 アルジュレッドが開け放った窓から見えるは本当に育っていく大樹。無論、これらは今尚水晶玉の中に投影され続けている物と全く同じものだ。


「あ、主。これは……。」

「そのまま見ていろ、もっと面白い事になるぞ。」


 しばらくしてそれらは国の上空全てを覆い尽くし、その代わりに空を覆い尽くした枝から色とりどりのランタンのような植物を生やして光源を確保する。


「……夜空。」

「あぁ。ただの“蓋”は面白くないからな。」

「太陽ほど眩しくないけど……太陽以上に魔力を感じる。」

「一応、あれでちゃんと植物すらも育てられるぞ。」

「流石です、主。」


 少しだけ興が乗り、上空からランタンを長々と垂らして受け取った所で植物からランタンを自発的に分離される。それでもランタンは輝き続けており、それをそのままアルジュレッドへと差し出す。


「え……。」

「ん。」

「よ、宜しいのですか?」

「あぁ。むしろ受け取ってくれ。これを上手く活用する方法を少しでも多く見つけ出してほしいんだ。」

「っ……! はい、ご主人様!」

「ちなみに。その他にもアルジュレッドの方で解析したい物があったら随時言ってほしい。如何せん、どれも必要性があって作り出した物ではあるが……それ以上活用方法を調べる余力と時間がなくてな。そういう事を全面的にアルジュレッドに任せたいんだ。」

「直ぐにリストアップするよ。」

「本当に何でも良いからな。」

「勿論、ご主人様が作った全てを解析して、分解して、沢山活用方法を見出だすよ。」

「……そう。助かる。何せ、私が個人的にやりたい事が多くて“それ以外の用途を考えていない”物が多くてな……。甘えるようではあるが、誰かの意見を聞きつつ。そして何より、自分以外の視点から必要な物や活用方法の立案を可能な限り多く行ってほしいんだ。同時に、それらを研究する上で。そして、ここでのこれからを考える上で何か求める事があるのであれば遠慮なく言ってほしい。……私だけで考えるには脳と手足が足りなくてな。」

「はい、ご主人様! じゃあ……その、早速にはなるんですがおねだりをしても?」

「何だ?」

「ご主人様がこの帝国を作り変えるにあたって用意してくださった研究所に、ご主人様がこの帝国に来る以前も含めてご主人様が作り出した物。そして、ご主人様の草案でも良いから可能な限りの資料が欲しいんだ。」


 え。本当に全部調べる気か……?

――次回「第20話 生き残るのに必死だったから」


ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。

もし作品を気に入っていただけましたら、ブックマークやスタンプで応援いただけると嬉しいです。

感想なども励みになります。


今後とも『悠久の宴にようこそ』をよろしくお願いいたします。


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