表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悠久の宴にようこそ  作者: 夜櫻 雅織
第二章:傀儡国の神 再始動

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/67

第10話 帝国らしさを少しでも出す為に

「では会議を始める。ルイス、議題を。」

「はい。兼ねてより城下を歩き回ってはおりましたが……どうにも元が人間の国だというのもあり、文明レベルがかなり遅れているように思えます。」

「それは当然よ、ルイス。所詮は人間なんだから、私達非人間の成長速度と比べてしまったらあまりにも可哀想よ。」

「私が言っているのはそれを加味しても遅いという事だよ、シルア。それに伴い、主。幾つか新しい施設や既存の物を再構築する必要があるかと。」


 確かに、人間という種族の成長速度は我々非人間族から見ればかなり遅い。しかし、逆を言えばそうやって舐められているからこそある時突然、弱いからと放置してきた結果に喉元に噛み付かれ、そのまま殺されてしまう事もあるにはある。その為の準備時間を我々の慢心によって与えているような物なのだから。

 それに伴い、徹底して管理しなければならず。同時に、ここは人間の国から脈煌種というこの世に初めて発生した生物学を遥かに超越した生命体の国になった。その威厳を示す為にも、これまで通りという訳にはいかない。


「それで、ルイス。幾つか考えはあるんだろ、聞かせてくれ。」

「はい、主。まず学校は必要だと思います。適正な授業、適正な課題を与える事でより子供達は伸びるでしょうし、優秀な個体は当たり前のように増えます。現状、主の動きを見る限りでは直ぐに手に入る利益よりも将来の事や地盤を固める事に重きを置いているように見えましたので、そういう意味でも学校及び学園の設立は少しでも急いだ方が後に生まれるメリットもより増えるかと愚考致します。」

「……そうだな。ただ、ルイス。すまないが他にも幾つか案があるんだろう?なら、まずはお前の提案を全て聞いてから優先順位を決めさせてくれ。」

「畏まりました、主。では、優先順位は全てお話した後、この場に居る全員の協議の上で決定する方針を取らせていただきます。」

「あぁ、そうしてくれ。それと、シルア。お前も何かあれば遠慮なく言うように。」

「はい、お嬢様。ただ、私もまずはルイスの提案を全て聞いてからにしようかと。」

「そうか、その辺りは任せる。」

「次に、迎賓館のような物もご用意された方が宜しいかと。」

「迎賓館?」

「はい。それこそ、他国からの来賓が実はまだこの国に到着しておらず、道中で魔物に殺されたとでも言って優秀な者を引き抜く事ぐらいは可能かと。それこそ、それらしい森も転々と作ってはそこを事故現場に仕立て上げる事も。主さえお許しいただけるのであれば、街道以外の全ての場所にそういった物を作り、来訪される皆様には“決して街道を外れぬように”と言っておけば良いのです。そもそもの話、あちこちに魔物が何処からともなく蔓延っているのも事実。それで納得しない国は喚かせておけば宜しいでしょうし、同時にしばらく軍備を初めとしたあらゆる物が完全に整備されるまでは鎖国すれば宜しいのです。」


 魔物というのはルイスの言った通り、本当に何処からともなく現れては本能のままに暴れ倒す獣のような存在で、一応幾つか種類が存在する。ただ、そのどれもに共通するのが言語を有さず、意思疎通を取れず、そして何より獣並みの知能しか有していない事。

 その種類は大きく死屍鬼グールタイプ、幽鬼ファントムタイプ、魔獣ビーストタイプがある。勿論、これに該当しない未知の魔物も多く居る。

 まず、死屍鬼グールタイプはこの中で最も恐ろしくも悍ましいと呼ばれる分類で、元は生きていた生物に何かしらが寄生。又は憑依した結果、乗っ取られた結果に発生すると言われているものでまぁ、簡単に言えば元々は普通の知的生命体だったという分類になる。

 2つ目、幽鬼ファントムタイプは簡単に言えばゴーストの類。突然現れては突然消え、大抵こいつらが人間を始めとする知的生命体に取り憑いて死屍鬼グールタイプを作り、また新しい獲物を探して彷徨い続ける。

 そして3つ目、魔獣ビーストタイプ。これがかなり特殊な分類で正直な話をすれば死屍鬼グールタイプと幽鬼ファントムタイプに該当しない全ての魔物とされており、これに関しては危険度がそれぞれ分けられている。

 危険度の判定基準は増殖速度、殺傷能力、残虐性、知性、精神干渉、移動速度、そして最後に純粋な強さで推し量られて第十等級から第一等級まであり、第一等級の魔獣ビーストタイプにまで来ると国家が1時間を待たず滅ぶレベルだ。



 それが、この国の近くにはうようよ居る。



 とはいえ、それらは各自自分達の縄張りから出てくる事はあまりない。それ故、ルイスの言う通りわざわざ国の周りに森を作るまでもなく全滅する事は差程珍しくない。

 しかし、その場合折角の素晴らしいかもしれない素体を幽鬼ファントムタイプに明け渡し、碌にスペックを活かしきれていない死屍鬼グールタイプを量産するだけなので損の方が多くなる。


 ……まだ人間だったこの国は一体どうやって奴らを凌いでいたんだ?


「森は作ろう。仮に魔物共が蹂躙したとしてもその死体は此方の方が有効活用出来るだろうし、相手が相当不快な国であればさっさと呑み込んで煽りに煽ってやれば良い。“時間も守れん愚か者め”、とかな。」

「ありがとうございます、主。その他にも警察、図書館、病院、大商会、遊園地、冒険者ギルドも再建築及び組織体制の再確認が必要かと。」

「大商会?」

「はい。今のこの国ではそれぞれの店舗が幾ら収益を上げても税は求められませんが、国民個人に対する課税量はかなりの物です。その為、大商会を作り出して全ての商店は収益の5%を大商会へ定期的に納税しなければならず、その代わりに国民全体の課税を減らせば帝国の財政もかなり安定致します。それと同時に、ないとは思いますが脱税を防ぐ為にも。……我々帝国の技術力や情報が少しでも流出する事を防ぐ為、帝国内の店舗同士で取引する事は許しても、他国と店舗間の商売は全面禁止。その場合、必ず大商会を間に仲介させなければならないといったシステムを構築する事で手数料を取り、より収益を安定させられるかと。」

「……成程。」

「私も良い案だと思います、お嬢様。何より帝国の情報流出は少しでも避けるべきです。なるべく優秀な人材を帝国から出さない事で他の二次被害以上の問題も簡単に防げるかと思いますので。」

「……分かった。ルイス、先程優先順位の話が出たが……迎賓館を除いて全てルイスの判断で優先順位を定めた上、建物の位置もその内装も全てお前の判断に任せる。ただ、迎賓館については少し私に考えがある。ある程度事を進めたらまた私の所へ来るように。」

「畏まりました、主。」

「ではシルア、次にお前の話をしてくれ。」

「はい、お嬢様。私からは森壁、カジノ、教会、墓地、孤児院、巨大廃墟などを提案致します。」

「ほぼ全て詳しい話が聞きたい。」

「はい、お嬢様。まず、森壁の事ですが……今現在、お嬢様は国境沿いに見渡す死線サルヴェージ・デッドラインを置いておりますが、その周り。若しくは少し間を空けてその外周をほぼ全て森で埋めてしまうのです。……当然、誰かしらを引き摺る為の物として。それこそ、ここを以前の私達の住処であった森の中にある帝国といった環境を作り出す事を提案致します。」

「つまり、それで敵の視野を妨害すると同時に誘拐可能ポイントを少しでも増やすと?」

「えぇ、ルイス。そういう事。その方が、お嬢様もお気持ち的に安心されるのではと思いまして……。」


 確かに、言われてみればその方が楽ではある。それこそ王城と同じか、それ以上の高さにまで成長する特殊な樹々で構成された森で全体を覆ったり。それこそ、この国その物を全て森の中に閉じ込めてしまうのもありだと言える。

 それで多少は農業などに影響があるかもしれないが、それこそ私が魔法で土壌すらも上手く組み替えれば良いし。必要とあらば、また無限に湧き出す龍脈の力を利用して何かを作り出せば良い。



 もう、この国は全て私の実験場なのだから。



「……そうだな。森は早急に作ろう。外の森と、内側の森。その両方を作ると同時に、何方も全く別の方式にしてしまえばそれこそ防衛力も上げられそうだ。」

「それに伴い、お嬢様に多少負担をお掛けしてしまうかと思いますが……。」

「その程度なら構わんさ。では続きを。」

「はい、お嬢様。カジノは殆ど他国からのお客様用の物です。帝国民はやらないでしょうし、仮に利用したとしてもちゃんと節度のある利用の仕方をするでしょうから、それこそ……。大金を消費させて我が国の財源とするのも、それこそ素質及び利用価値ありと。このまま帰らせてはいけないと感じる程の価値を感じられた際には専属の男女に相手又は世話でもさせながら酒でも飲ませて潰してしまえば宜しいかと。」

「洗脳系に特化した脈輝種を、ということか。」

「はい、お嬢様。」

「……まぁ、そうだな。確かに良さそうだ。それで教会というのは?」

「ルイスの提案した大商会ではありませんが、大神殿と称して教会の元締めのような物を作り出しては如何かと。少なくとも冒険者の中に信仰系のメンバーなどが居れば必ずそちらに来るでしょうし、それこそ洗脳して上書きしてしまえば宜しいのです。あわよくば、パーティメンバー全員がこの国に留まるように洗脳が伝染するようにする事も可能になりますし、その裏手か周りにも孤児院を作ってそちらの方面の教育も同時にしてしまうのも一興かと。」

「……ふむ、一理ある。ならお前の提案した孤児院も同じ物か。」

「はい、その通りです。」

「では幾つか飛ばそう、巨大廃墟というのは?」

「地上地下共に巨大な廃墟を帝都の端にでも作り出し、常に暗闇の場所にして誘拐を捗らせてしまえば宜しいかと。それこそ……この先、ルイスが提案していた通り国外に設置する予定の森の中にでも作ってしまえば、それこそ面白い事になるかと。」

「宜しい、シルアも全て採用とし、準備を進めろ。ただ森と巨大廃墟については此方で受け持つ。森に関しては……なるべく、元々我々が住んでいた森に近い環境でな。……両者共に、未来の為動き出すように。」

「畏まりました、主。」「承りました、お嬢様。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ