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悠久の宴にようこそ  作者: 夜櫻 雅織
第二章:傀儡国の神 再始動

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第8話 来る者拒まず、去る者許さず

【前回】人造人間の器を発明した

第8話 来る者拒まず、去る者許さず


――壁であり、檻として。


「これで最後……だ、な。」

「す、凄い量だったね。」

「ま、まぁ何より現状私が知る限り全ての種族の男女の素体を作った訳だからな、……そりゃあ大変に決まってる。」


 とはいえ、これが終われば後は簡単な作業ではある。後は魔力循環クリスタルに全てを覚えさせ、もし仮に私の知らない種族。魔力循環クリスタルに覚えさせていない種族が現れた際には住民届だけを提出させ、その後は王城に向かわせて昏睡やら何やらをしてから色々とデータを得れば良い。

 少なくとも帝国民は皆、私に逆らう事のない配下達ばかりだ。何かあれば彼らで対処するに違いない。


「でも、いきなり姿が変わったら流石に混乱するんじゃない? その……。旅人とかの国民じゃない人達が。」

「その点は安心しろ。ルイスが記憶が混濁する魔法を展開してくれているのもあるが、既に対象が眠ったタイミングで体が作り変えられるように設定してある。その点は問題ない。」

「流石主! それで……これでまず1つ目の実験終了?」

「あぁ。次は、もっと大規模的な実験をする為の準備を行う。」

「大規模的な実験をする為の準備……?」

「あぁ。アルジュレッド、お前はアメーバという物を知っているか?」

「うん。あの関節すら持たない原生生物だよね。」

「そうだ、あれを利用する。」


 二度目の実験にしてはあまりにも龍脈水の消費の激しい、この実験。アメーバという生物は元より激しい分裂を繰り返して巨大な生物になりえることがある。その性能を、今利用する。

 改めて龍脈水の噴水に手をやり、目的の物を強くイメージしながら形を生成していれば最初と同じように必要であろう量の龍脈水の水泡が浮かび上がり。それが掌サイズのアメーバへと生まれ変わる。


「……その軟体生物をどうするの?」

「こうする。」


 するり、と掌から滑り落とせば地面へと落ち、“そのまま地面の中へと入り込んでいく”。

 アメーバの姿は直ぐに見えなくなったが、あれが仕事をしているのは確かなようで。目の前にある龍脈水の噴水が、一気に水嵩が減った後にまた満たされて溢れ返りそうな勢いなので実に優秀だ。


「な、何……?」

「外に出てみようか。……恐らく成功しているはずだからな。」


 アルジュレッドを連れ、足早に階段を駆け上がり。本棚で隠された何の変哲もない談話室を超えてダイヤモンドを交えさせた鋼鉄で作られた重くも分厚い扉を開いて廊下へ出た後、数階階段を上がってベランダに出ればその結果は直ぐに分かる。

 この国の国境を沿うようにして突如現れた、巨大な黒い壁。よくよく見ればそれは脈動しており、しばらく眺めていればそれは脈動ではなく何度も細胞分裂を繰り返した結果に質量と硬度、高度、非透明度を上げているのだと察する事が出来る。


 問題なさそうだな。


「あ、あれは……!?」

見渡す死線サルヴェージ・デッドライン。地上、地下、水中に至るまで空を除く国境をなぞるようにして展開している恐らくこれから先も、最も巨大な脈輝種だ。……まぁ、スライム的な壁だとでも思ってくれれば良い。全ての攻撃を際限なく呑み込むと同時に、それを全反射する事も。それを養分として更に成長する事も可能だ。あれから5㎞程の範囲では認識齟齬が起こるようにしている。」

「認識齟齬……?」

「“あの壁はただの幻影魔法の類であり、それ以上もそれ以下の意味も能力も持ち得ていない”。」

「それは……とんでもない事を考えるね? でも、主の事だからそんな事は断じてないんでしょ?」

「あぁ、勿論。あれはあの壁に触れた物を中に呑み込む性質があってな、その体内に吞み込んだ物の意識を奪ってから予めルイスが用意してくれていた、ここの地下施設に幽閉・転送する。それを我々が回収し、実験体として扱ったり。ペットとして洗脳したり。隷属して従順な下僕にする事も可能だ。」


 これで興味でも何でも良いが、あの壁に触れた者は全てあの中に呑み込まれ。完全に身動きを封じられた後に呼吸も許されず、あの体内全域に分泌されているかなり強力な睡眠薬の影響で、二重の意味で深く意識を落とす事になる。


 目覚めた時にどうなっているのか……。非常に楽しみな所だな。

――次回「第9話 途絶える事なき傀儡の量産に向けて」


ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。

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今後とも『悠久の宴にようこそ』をよろしくお願いいたします。


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