第1話 傍には私のお気に入り達を
【前回】誰にも届かないアード・ルーゼ=フェルアの独白
第1話 傍には私のお気に入り達を
――新章突入。
「只今戻りました、主。」
「ルイスか。……それで、どうだった。」
「主の思惑通り、無事洗脳が完了しておりました事を確認して参りました。」
「そうか。」
「……ふふ。それにしても主、非常に丁度良い傀儡奴隷を手に入れたようですね。」
「あぁ、可愛いだろう?」
「えぇ、大変羨ましゅうございます。」
元は人間の国だったここがルードゥゲイル帝国となって数時間。本来であれば数年を要すであろう変化はたったの数時間で巻き起こり、この国は劇的に変わった。
アードという王子を帝王にさせ、クリスタルを介してこの国の国籍を持つ者達はかなりの国民団結度を見せ。そして何より、元々あった宗教は私とフリューデを祀るような物になった。
これで、この国は我々の物。
念の為、ルイスに街を見てくるように言ってきたが聞く所問題はないらしい。それなら今後の計画も進めて良いだろう。
ちらり、と私の肘置きになっている男へと目を落とす。
“元”魔導士ギルドマスターのアルジュレッド・ゲイラ。こいつは元々嫉妬深く、寂しがり屋だったらしい。更に言えば、元から私に対して何らかの憧れもあったらしい。
その影響から殆ど依存レベルで私に懐いているこいつは殆ど人間サイズの猫科動物と呼んでも過言ではない。今だってソファに腰を下ろす私の足に顔を寄せ、私の肘置きになりながらもグルグルと竜人特有の喉の鳴る音が響いている。
これ幸いと魔導士ギルドを辞めさせ、今は私の護衛兼この城の裏手に新たに作った研究施設の1つで色々とやってもらう予定になっている。……ただ、それ以外はこうして猫になっているつもりらしいが。
ルードゥゲイル帝国建国と同時に役職が変わったのはこいつだけではない。
商人ギルドマスターだった九尾のアルフ・カーシェ。あいつは予定通り、貿易官とした。
それと同時に外交も任せ、今は応接間でお客様とお話し中。帝国になってからまだ間もないというのに色んな話が舞い込んできて大変だろうに元より腕が良く、臨機応変でかつこれまで培ってきた観察眼で上手くこなしてくれている。
その旅に何かを差し出してくるのは困るが。
次に、この国1番の大型病院の院長だったゴースドディールのギルディール・ベクジューカ。あれは宮廷医師とした。
あのまま民営の医師や軍属にしてしまった場合には国家から離れてしまう可能性。更には他の国に奪われてしまう可能性、旅路で死んでしまう可能性がある。有能だからと傍に置いたのに、それでは困る。
今は薬品に関する研究を片っ端らから行ってもらっている。
報告書の提出の際には必ず頭を撫でるように要求してきたり、それに嫉妬した竜猫と喧嘩されるのは困るが。
一番厄介だと思われた元騎士団団長、鬼のアルグトール・フェフューカ。これは帝国軍の元帥とした。
時折街に出てはその明るく元気で豪快な正確な国民達にも好かれ、その兄貴肌でアルグトールだけはアルジュレッドを上手く手懐けている。それ故、ここだけが唯一喧嘩をしない。
楽で何よりだ。
――次回「第2話 心臓は荊に護られて」
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