第37話 お前も大概の癖に
【前回】新たな傀儡、シルケルア・カーラを手に入れた
第37話 お前も大概の癖に
――今まで知れなかった物も、少しずつ。
「まさか貴方と街を歩く日が来るなんてね。」
「……何だ、嫌みか?」
「いいえ? 私は嬉しいのよ、こうして堂々と貴方と共に居られる日々が。服装だって別に変な物じゃないでしょ?」
少しばかりフリューデの力が必要となり、本人が人間の形に。と言っても私と同じ九尾に化けられるとの事で頼んだがその容姿は色々と目を引き過ぎる。
元々の毛並みも影響して白銀の長髪に澄んだ蒼い瞳。その腰の辺りからは9つの綺麗な毛並みの尾が揺れ、頭にはぴょこぴょこと動いて周りの音を拾う可愛らしい耳が見える。
そんなフリューデは神様故に多少補正でもかかっているのか、高い身長に比例して随分と整った容姿をしている。それも相まって、あまり宜しくない好奇の目を特に異性達から向けられているのが現状だ。
何なら極東の服装、和服とやらを着ているのも相まって余計に目立っており、少しばかり居心地が悪い。
「……見た目か服装、どっちかどうにかしろ。」
「えぇ~!? でもでも、これだったら愛し子の為にいろ~んな種族を円滑に狩ってこれるわよ?」
「雄よりも雌の方が有用性があるんだが。」
「愛し子ってたまにえげつない事を当たり前のように言うわね。そういえば……愛し子って恋愛に」
「興味ない。」
「何、その食い気味は。恋愛って良い物よ?」
「何であんな獣の交配を楽しまなければならないんだ……。しかも最近はそれを良い事にそういう商売をする者も現れて一応は生命の神秘と呼ばれている物が娯楽となる始末。ふしだらで不潔で不愉快で冒涜的な獣以下だろ。直ちに生きている事を恥じれば良い。」
「貴方がそういう風な目でしか見られない経験をして生きてきたって事はよく分かったわ。まぁでも知的生命体にそういう所があるのも、もしかしたらまだ少しばかり獣としての繁殖本能が残ってるのかもしれないわね。」
「フリューデの神パワーか何かでその価値観ごと世界から撤廃させてくれ。それか獣に戻してしまえ、そんな奴ら。知的生命体を名乗るのが恥ずかしい。」
「私の担当分野じゃないから出来ないかな~。」
……そういえば。
「そういうお前は、どうなんだ?」
「そっちの意味では食べないけど、食糧という意味ではその血を啜って肉を食べるわよ。」
「やっぱりお前も生命体を喰うのか。」
「シルアちゃんと殆ど変わらないわね。まぁ、本来の姿に戻れば竜も眠らせてがっつり食べてたわよ。それに私のは魔法じゃなくて体質だからね、魔法耐性なんてただの紙装甲よ。」
「過去に散々魔法耐性で苦労していた相手に素晴らしい挨拶をどうもありがとう。」
――次回「第38話 駒という名の贄生成場を」
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