第36話 知識に囚われた下僕
【前回】新たな傀儡、ギルドマスター、アルジュレッド・ゲイラを手に入れた
第36話 知識に囚われた下僕
――使える全てを餌にして。
「と、まぁこんな感じだな。」
「す、素晴らしい……! どうして、いや、どうやってこの量の知識を!?」
「私はこれでも森の覇者と言われていたカルストゥーラ・ルエンティク。幾ら長命のエルフと言えどもせいぜい500年が限界だろう。それに対して私は今現在1079歳。まだまだ我々の中では子供と呼ばれる年齢だ。少なくとも倍は生きているお前よりは知識があって当然だろう。」
「ルエンティクって、あのギルジェディーラ国の!?」
「あぁ、私はギルジェディーラ国の第1王女でもまぁある。カルゼグルージは私の実弟だ。……しかし、私の両親は竜だったが祖母は蛇九尾。私は何方の血も受け継いでいるが蛇九尾の血が色濃く出てしまって迫害された過去がある。……あまり、祖国には居辛くてな。」
「な、なんて事を! 違うからこそ敬意を払わなければならないと言うのに!」
「同意する。だがまぁしかし、弟であるカルゼグルージは異常な程に懐いてくれている。祖国におらずともまぁまぁ快適な暮らしをしている。良い仲間にも恵まれ、今現在ももっと快適な暮らしが出来るように努力を続けている所だ。」
「……ルエンティク様。」
「ふふ、学者ギルドのギルドマスターともあろう者が私に様付けなど、聞く者が聞けば目をひん剥いてしまうのではないか?」
「構いませんとも。見る目のない愚か者は全て死に絶えてしまえば宜しいのですから。不肖 シルケルア・カーラ。是非ともルエンティク様のお傍に置いて頂けませんか?」
「私の傍?」
「ええ! 従順な下僕として、従者として是非ともお傍にお願いします!」
不気味と言えば不気味なのだが、次なる標的だった学者ギルド。そこへ入り込むや否や、何故か私が来る事を知っていた。
私とルイスが学者ギルドへ入ればいきなり受付の者に呼び出され、これも一興かとギルドマスターの部屋へ連れてこられた所、目の前で興奮した様子のシルケルア・カーラより突然の忠誠を宣言された。
しかし、そんな口約束を私が信じられる訳もない。
一応何故我々が来るのが分かったのかを尋ねた所、実は一度竜人国ギルジェディーラに来た事があったらしい。
その際にカルゼグルージと意気投合したらしく、よく私の事を聞いていたと。そして、今回も多少入れ知恵の類をされていたらしい。
全く、あいつは何処まで尽くす気だ。
度胸試しも兼ね、ことん、とシルアから貰った新しい魔法に因り生まれた血状の蛇、〈独蛇の傲慢〉が1つ入った小瓶を机に置けばこいつも宿主候補を視認した事でテンションが上がったのか、シューシューと興奮したように舌を鳴らしている。
「そ、それは……?」
「私の忠臣が新たに作った魔法から生まれた物だ。直接飲む勇気がなければ珈琲にでも解かして飲むと良い。これを飲む事が出来たなら従者として認めてやるとしよう。」
「貴方様が下さる物です、誰が恐れましょうか。」
見上げた覚悟だ。まぁ、これを飲んだ瞬間からお前は我々から逃げられなくなるんだがな。
――次回「第37話 お前も大概の癖に」
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