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Chapter 002_白熱!?席替えバトル

「…全員集まったわね?それでは第1回目のホームルームを始めます。」


1年1組の教室へとやって来た私達。



「先ずは…自己紹介から始めましょう。私はこのクラスのホームルームを担当(いわゆる担任の先生)するソフィ・バロン・ティエリーよ。担当学科は騎士科だから、そっちでも会うかもしれないわね。」


学園は異世界島国の中学校や高校みたいな教育システムで担任の先生が

ホームルームを担当してくれるけど、講義(授業のこと)はそれぞれ

専門の先生が担当する。


4年生になっても・・・選んだ学科ごとに講義が分かれるけど、

ホームルームは変わらないらしい。


つまり・・・このソフィ先生が、私達1組40人を

5年間面倒見てくれるという事。


薄い茶髪をショートにしているソフィ先生は、オレンジがかった

琥珀の瞳をした綺麗な女性。


優しい人だといいなぁ・・・



「私の紹介はこれくらいにして…プリモから順に、前に来て自己紹介なさい。」

「・・・はい。」


そんなわけで、椅子から立ち上がり先生が開けてくれた教壇に立つ・・・と、

物理的な遮蔽(しゃへい)効果で見えなくなるので。


その隣に立った。



「「「「「…」」」」」


・・・さて。ガン見してくるクラスメイト達に何を言おうか・・・



「・・・こんにちは。初めまして。フォニア・シェバリエ・ピアニシモと申します。王国南部の田舎出身なので都会の生活になれていません。いろいろ教えてくれると嬉しいです。」


そう言うと、すかさず・・・



「得意な魔法は?」


ソフィ先生から追加注文



「・・・点火魔法。」

「「「「「おぉっ!」」」」」


何故か歓声を上げるクラスメイト達。

いやいや。点火魔法って第1階位の、殆ど誰でも行使できる

生活魔法なんだけど・・・



「うふふっ。流石は煉獄の魔女様の弟子ね。…2次試験でセドリック先生を負かしたのは見事だったわ!」

「・・・ありがとうございます。」


実技試験である2次試験のお題は、情報屋さんの言った通り模擬試合だった。

私の相手になってくれたのは魔法科のチョイ悪オヤジ然としたセドリック先生。

「魔女相手なら遠慮はいらね~な!」・・・なんて言いながら木魔法をバンバン

行使してきたから。


とりあえず全部燃やした。



「みんな分かってると思うけど…フォニアは魔法のエキスパートよ。こと魔法に関してなら私よりも詳しいだろうから、いっぱい聞いちゃいなさい!」


ソフィ先生がそんな事を言った途端・・・



「ふ、フォニアちゃん!失伝魔法見せて!!」

「龍!龍がいい!!…出でよっ!!ドーラゴーンッ!!」

「フォニアちゃん!お友達になって!!」

「ボクの天使になって!!」

「フォニアちゃん!す、好きな…た、タイプは!?」


クラスメイトの皆が一斉に声を上げ始めた。

わわわ・・・



「こーらっ!」


けれど、すぐにソフィ先生が救いの手を差し伸べてくれた。


「ほらっ!静かになさい!!確かに質問しろとは言ったけど…休み時間になさい!」

「「「「「はーい…」」」」」


みんな、素直ないい子だなぁ・・・



「はぁ…。…フォニア。他に何か言う事は?」


皆が口を閉ざしたのを見てから、ソフィ先生は再度私に振り返った。

他に何か・・・



「・・・よろしく。」


「うん。…もう戻っていいわよ。」

「・・・ん。」


ソフィ先生に促された私は自分の席に向かい・・・



「それじゃあ次!…来なさいセコンド!」

「はいっ。…皆さんこんにちは初めまして。ルクス・ポンセと申します。ご機嫌ようございますか?…出身はエディステラ。父は商人です。得意な魔法は…」


その後も自己紹介はつつがなく進んだ・・・


・・・

・・






「…うん。もう、もどっでいいわよジゼル。」

「はーい。」


ジゼルちゃんの挨拶をもって、クラスメイト全員の自己紹介もおしまい。

入学式の今日は講義も無いし・・・後は講義やカリキュラムの説明を聞いて

初日の学校はお終いかなぁ・・・



「先生っ!」


・・・なんて思っていたら

2つ後ろの席に座るナターシャちゃんが手を挙げた。



「…席替えしたいです!!」


彼女のその言葉を皮切りに



「わ、わたし…も!!」

「ボクもっ!!」

「せーきがえっ!せーきがえっ!!」

「そうだ席替えだ!!」

「チャンスだ!!これは…大事な大事な、アタックチャァーンス!!」

「彼女の隣は私のものよ!!」

「なっ!?お、オレだって…!!」


一瞬で賑やかになる教室。


講義の時は別の講義室に移動になるし、食事は併設されたリストランテか

カフェで摂るのが殆どから。クラスルームにいる時間なんて長くないのに・・・


みんな。席替え好きだね・・・



「あー…分かった!分かったわ!!席替えしてあげるから静かになさい!!」

「「「「「いえーい!!」」」」」

「やったぁ!!」

「せーきがえっ!せーきがえっ!!」

「ソフィ先生大好きー!!」


あ。席替えいいんだ・・・

あっさりOKしたソフィ先生にちょっと驚く私。



「…もうっ。…ふふふっ。調子いいんだからっ!」


そう言いながら微笑むソフィ先生。

子供、好きなんだろうなぁ・・・



「はいはい、静かにっ!…それじゃあ席替えをするわよ。やり方は…そうね。時間もないから単純にくじ引きにしましょう。」

「「「「「はーい!」」」」」


生徒からの同意を得たソフィ先生は黒板に四角い絵を描きながら話を続けた



製紙魔法(ヴァージンリーフ)で…これくらいの紙を作って自分の階位を書くの。出来たら折り畳んで…この箱に入れてちょうだい。全員が入れ終わったらかき混ぜて、順に引く。書かれた番号の席につく…で、どうかしら?」

「「「「「「はーい!!」」」」」


くじ引き・・・か。しかも、製紙魔法を使うのなら・・・

んふふふっ・・・



「それじゃあ早速クジを作りなさい!…宿していないなら、周りの人にお願いなさい。」

「「「「「はーい!!」」」」」


先生の言葉を合図に一斉に製紙魔法を唱えるクラスメイトたち・・・



「ふぅ〜…『理の願い』ヴァージンリーフっ!…よしっと!」

「・・・」


・・・ふむふむ。

ジゼルちゃんの魔力はあんな感じか・・・



「フォ〜ニアっ!」「フォニアちゃん…」

「・・・・・・う?」


窓際席に私が注目していると、ふと、

後ろの席から声がかけられた。



「…ちょっとルクス。あんたフォニアに何の用よ!?またナンパ!?」

「何の用って…多分、ナターシャちゃんと同じじゃないかな?」

「愛称で呼ぶなコノヤロー!ナターリア様とお呼びっ!!」

「えっ…でもさっき、自己紹介の時に呼んでって…」

「ナンパヤロウは例外よ!!」

「なに?・・・2人とも?」


言い争う2人の会話に割って入ると、2人ともこっちを見て・・・



「製紙ちょうだい!」「製紙貰えないかな?」

「・・・」


「真似すんな!女たらし!!」「…」


「・・・・・・はぁ。・・・『理の願い』ヴァージンリーフ。・・・あげるから。喧嘩しないで。」

「メルシ〜!」「ありがとう!」

「「…」」


「…ふんっ!!」「…はぁ」



2人とも気が合いそうだね・・・


・・・

・・






「・・・40番。」

「「「「「な、なんだってぇ!?!?」」」」」


そんなわけで、クジを引く番になった。


私の席は計画どu・・・不運にも。

窓際1番後ろのボッチ席。



「・・・ジゼルちゃん。失礼するね。」

「う、うぅん!!ど、どうぞ座って下さい魔女様…」

「・・・私の事はフォニアでいいよ。クラスメイトなんだし・・・お友達になろう?」

「へっ!?あ…う、うん!よろしくねフォニアちゃん!!」

「・・・ん!」

「そ、そうだっ!今度、上町にあるオシャレなカフェを紹介してあげる!マカロンがとっても美味しいのよ!!」

「・・・ほんと!?一緒に行こうよ!」

「うんっ!えへへっ…」


早速、荷物だけもってジゼルちゃんと座席トレード。

新学期の席替えは荷物が無くて楽ちんだね。



「フォニア!アンタなんで、よりにもよってそんな端っこ行くのよ!?」

「・・・不運だったの。」

「そ、その場所だと前の席か隣の席。あと、斜めの席…3つしか隣が無いよ!!」

「・・・寂しい。」


ナターシャちゃんもコレットちゃんも私の隣に来ようとしてくれていたらしい。


でもゴメンね。

フォニアは前世からこの席が大好きなの・・・内職するのにちょうどいいから



「…あ。ボク39番。フォニアちゃんの前だね。」

「・・・・・・」


なん・・・だと・・・!?



「…よろしくねフォニアちゃん!」

「・・・・・・・・・よろしく。」


さ、さては39番エリーヌちゃんの魔法の特徴を覚えて、

製紙を決め打ちで選んだな!


なんて卑怯なの!?

公正で公平なくじ引きはどこへ!?



「くぅっ!おのれルクス~!!あ、あたしは!…さ、31番!?って…」

「ナ、ナターシャちゃん。わ、私の席だ…よ…」

「た、対角線!?と、遠っ…せ、先生!やり直しを!!」

「却下。」

「そんなぁ…」



「よ、よし!オレは…さ、3番!?1個前行くだけじゃん!?」

「やっと来たか!!オレが映えあるフォニアちゃんの隣を…………ご、5番…自分の席…」

「次は私ね!!…ち、ちょっとフェルマン君!そこ退いて!私くじ引けない!…フォニアちゃんの隣は…私の物よっ!!」



「…ははは。大人気だね、フォニアちゃん。」

「・・・」


席替えは白熱し、最終的に・・・



「…よろしく。」

「・・・ん!よろしくね。チコ君。」


私の隣はチコ君。



「やったぁ!!フォニアちゃんに近い!!」

「・・・ん!」

「…ふふふっ。ボクともよろしくね。コレットちゃん。」

「よ、よろしく…ルクス君…」


斜め前・・・ルクス君の隣がコレットちゃん。



「フォニアちゃん!ちょっと遠いけど…よろしくね!」

「・・・ん!よろしくね。アラン君!」


コレットちゃんの隣がアラン君。

そして・・・



「フォーニア~!コレットォ~!カムバァ~ック!!」

「あ、あはは…ナターシャちゃんだけ離れちゃった…ね…」

「・・・残念。」

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