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Chapter 000_入学試験

林檎です!


お待たせしましたっ!


本話から【3rd Theory 学園編】突入です!

どんどんパフパフー!!



初回の今回はイントロダクションとして入学試験当日のお話。

どうぞお楽しみ下さい!!


(変換ミスを発見したので、投稿早々ではありますが改訂しました!

ごめんなさい X( 

(21/11/27/16:15)

「…ふ、ふーっ。…や、やっと着いた…よ…」


それは寒くて静かな雪の日だった…

王国の南端にある故郷ラエンには滅多に雪が降らないし、

降っても地面が白くなるだけで…積もることなんてない。


だからエディステラに着いた私が最初に驚いたのは、真っ白に染まった

街並みと、雪に覆われた石畳の歩き辛さにだっ…た。


入学試験を受ける為に王都まで一緒に来てくれたお父様とお母様はきっと、

馬車から試験会場までの僅かな道程で、2回も転んでしまった私を

不安に思った事だろう…


ゴメンなさいお父様…お母様…。コレットはいっぱいいっぱいで。

振り返る余裕も無かったの…



「…おはよ。」

「あ…お、おはようございます。は、初めまし…て…」

「…うん。…初めまして」

「…」

「…」


席に付くと隣の席の男の子が話しかけてきてくれたけど…

わ、私も彼も緊張してて。


それ以上会話が続く事も無かった。

会場の中にはチラホラ話をしている人もいるけど、私達みたいに

静かにしている人がほとんどだ。


これからクラスメイトになるかもしれない…そう分かっていても、

いきなり友達になのは難しい…よ。


ましてこれから。

人生を左右するテストが待っているのだから…



「よいしょ…と…」


と、とりあえず試験の準備を始めなきゃ…

カバンを下ろして席に付き、筆記用具の準備を始めた。



「…ペンよー…し。インク…よー…し。」


入学試験は2回あって…1回目の今日は座学。2回目は数日後に実技がある。


座学の問題は多岐にわたり…

読み書き計算は勿論、歴史や文化芸術、礼儀作法。魔導に兵法。

過去には、麦の育て方やお酒の名産地の問題まで出されたというから

気が抜けない。


4年生からは専門科目に分かれるものの、それまでの3年間は広く深く、

何処に出してもおかしくない人を育てる…という学園の方針に因るものだ。

朝9時からお昼を挟んで夕方まで、今日は“みっちり”テスト…



2回目の実技は毎年内容が変わるらしいけど…魔法や武術を用いて

課題をクリアする…という物。


去年は宝探し(制限時間内に、校舎の一画に隠された(モノ)

見つけ出す…)で。一昨年は的当てだったらしい。


噂では、今年の課題は模擬戦らしいけど…い、今は座学の試験に集中しなきゃね!


もっとも、仮に試験結果が(かんば)しくないから不合格…とは

ならないのが、この入学試験だ。


試験結果は入学時に所属する(クラス)を決めるためのもので、

名前以外無記載でも合格は出来るらしい。


それに、成績順に1組、2組…と続くクラスも学期の度に更新されるから

頑張って勉強すれば在学中に上のクラスに移ることも可能。


けど…

やっぱり、最初からフォニアちゃんと…



「ね、あなた!?」


後ろから声がかけられたのは、ちょうどそんな事を考えている時だった



「…へっ!?わ、わた…し!?」

「そーよっ!」


慌てて振り返えると…



「はぁ~い!初めまして!ナターリア・アブリコーヴァって言うの。ご機嫌麗しゅうございますか?」


赤い瞳に赤い髪の…八重歯がお茶目な快活そうな女の子が

手を伸ばしてそう言った。



「…コ、コレット・ミシュレです…は、初めまして。げ、元気…です…」


身体ごと彼女に向けた私は、差し出されたその手を握り挨拶を返した。

しゃ、社交的な子だなぁ…



「やーねー!同級生なんだから、そんな改まんないで良いのに…あたしの事はナターシャって呼んで!あなたの事もコレットって呼んでいいかしら?」

「う、うん!構わない…よ!」

「よろしくね、コレット!」

「よ、よろしく…ね。ナターシャちゃ…ん…」


自己紹介が済むと、彼女は静かな会場の雰囲気を気にも留めず、明るくよく透る声で言葉を続けた



「ねー、コレット!あなた…この国の人よね?どこどこ?どこ出身!?エディステラ!?」

「えっと…エディステラじゃない…よ。もっと田舎…の…」

「そっかー違ったかぁ…あ、気を悪くしたらごめんね。ほら…名前で分かると思うけど、あたしヴィルス出身で進学の為に来たから、お洒落なお店とか知ってたら教えてもらおうかなー…って思って!」

「あ、あはは…。わ、私も進学でこの街に来たから…お店とかは知らないか…な。」

「そっかー…じゃあじゃあ!入学してから一緒に開拓しましょうよ!」

「う、う…ん!」


ナターシャちゃんの明るい声で緊張の糸も緩み、自然と笑顔になれた私。

そんな私にナターシャちゃんはさらに言葉を続けた…



「それで…結局コレットはどこ出身なの?試験の為に勉強してきたから、聞けばわかると思うけど…あ!嫌なら言わなくてもいいわよ!」

「い、嫌じゃない…よ!ラエンって言うんだけど…」

「ラエン…って!?この間、内戦あった辺りじゃなかったっけ!?」


フォニアちゃんと出逢ったエヴァーナ蜂起は戦後処理も含めて完全に鎮圧され、

既にリブラリアに綴られている。

吟遊詩人がある事ない事歌って広めるから、あっという間に拡がってしまうのだ。

もっとも、この会場にいる人たちは勉強してきているから…だろうけど。



「う、うん…わ、私も戦闘に参加した…し…」

「えぇぇっ!?…コ、コレットが!?ホント!?」


ナターシャちゃんの声に周囲の人達も驚いてこちらを見つめた



「う、うん…。わ、私のお父様、ラエンの騎士団長なの。だか…ら…」

「つ、着いて行ったって訳!?」

「そ、そうだ…よ。」

「戦った…の…?」

「い、いちお…う…」


4年生になったら【騎士科】に進むつもりだし…別にこれは、

隠すような事じゃない…



「君っ!凄いねっ!!」

「へ?」

「ちょっ!?あたしのセリフっ!」


そう声を上げたのは通路を挟んで反対側に座っていた男の子だった。



「あ!急に話しかけてごめんね。ボクはアラン!…アラン・ルノーって言うんだ!」


アラン君と名乗った彼は、明るい黄土色の瞳をしたブロンド髪の…

カ、カッコいい…男の子だった…



「あんたの名前なんて聞いてないわよっ!あと、あたしのセリフ盗らないでよね!!」

「や。それはごめんね…。お隣さんだから挨拶しようと思っただけなんだけど…」

「おとなり…ル、ルノーって!ひょっとし…て!?」

「うん。ボク…これでも一応、エンスの領主の息子なんだよ…」

「えぇっ!?」

「エンスぅ!?…って、何処だっけ!?」


エンス・オー・プリヴェンス…

通称エンスは、エディアラ王国63領の中でも最大の面積と人口。そして小麦の生産量を誇るルノー公爵家が治める肥沃の大地だ。エディステラからは南にあたり、ラエンそしてノワイエは北で領境を接している。エディアラ王国に属しているけれど【エンス派】という…【国王派】とは一線を画す派閥の筆頭でもある。因みに特産物は林檎で、林檎酒…シードル…や林檎を使った蒸留酒も有名…


…という説明をすると、ナターシャちゃんは…



「へ、へぇ~…さ、さすが詳しいわねコレット!」

「て、テストに出るかもしれない…よ!」

「そ、そうね!聞いておいて良かったわ!…グッジョブ!アラン!」

「ど、どうも…」


さらに…



「…魔女様には会った?」

「え?」


隣の席…最初に挨拶してくれた男の子が話に加わった



「あっ…あ、あたしが聞こうと思っていた事をっ」

「君は…」

「…チコ・デ・ペドロ。よろしく…」


隣の席の男の子…チコ君…は緑と赤が混在する不思議な瞳の…こ、こんなコト

男の子に言ったら失礼かもしれないけど…か、可愛らしい…

明るい緑の髪を結わいた…男の子だった。


それはそうと!名前からして…



「えっと…エパーニャの人か…な?」


エパーニャ・リアナ王国はアドゥステトニア大陸南西部にある、

海とワインと芸術の国。

国土はエディアラ王国の1/5にも満たないけど、人々は愉快で明るく、

食べ物は豊富で美味しくて、一年中暖かい…


エキゾチックな国だとか



「…そう。…それより、さっきの質問…」


さっきの話というと…



「コレット!あたしも知りたいわ…」

「エヴァーナ蜂起と言えば、万象の魔女様だもんね!」


エヴァーナの事件が一般に広く知られている…という事は、当然。


フォニアちゃんの事も広く知られている。


彼女の容姿はもちろん…唱えた失伝魔法、倒した敵の数

ロイヤルの騎士位を叙爵された事。


そして…



「・・・コレットちゃん!」

「フォニアちゃん…す、凄いタイミングで来た…ね…」


彼女が学園に入学するという事も…



「・・・う?」

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