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Chapter 024_終戦記念日

「やったねフォニアちゃ…ん!!」

「お嬢様なら当然ですっ!!」

「さっすがおじょう―様!!」

「・・・う・・・」



金海の月35日。天気は晴れ。

エヴァーナ蜂起(ほうき)の完全な鎮圧・・・終戦・・・の宣言があった同日。

私は叙爵(じょしゃく)された・・・



「ごめんねぇ!本当ならもっと上の位をあげたかったんだけど…歳がどうとか、前例がどうとか…大臣殿がうるさくってね。私の一存では、それが限界なの。許して!」

「・・・いえ・・・私なんかには勿体ないです・・・」


位は騎士位・・・シェバリエだ。

もともとヴィルス帝国で持っていたルィツァリと同じ位だから

立場上はたいして変わらないけど・・・


・・・ま。エディアラ王国では多少、

動きやすくなった・・・って所かな。



「騎士位なら…私と一緒ね!これからもよろしくね。お嬢さ…うぅん。フォニア卿っ!ふふふっ…」

「いやいや…おめでとうフォニア卿!!これからもどうかよろしくね!!」

「やったな妹君!君はピアニシモ家の誇りだよ!!」

「・・・ありがとうございます。ロクサーヌさん。エルネスト様。ジャン伯父様。」


ロイヤル・・・つまり、国王陛下直々に叙爵された・・・騎士になったのだから、

学園の推薦人に適当な人物は、きっと陛下だ。


でも、学園の理事長でもある(実権はあくまでも学園長にあるけど、

国営の学園なので理事長は国王陛下)陛下に推薦状もらうのもなんか

変な気がするし・・・もう、そんな物無くてもいいんじゃないかな?


だから、もう・・・負い目とか立場とか気にせず・・・



「…なんだ小娘。」


ちゃんと()()を付けたい。

あの日はかなり・・・かーなーりっ!頭に来たけど・・・でも

私の失敗だっていうのは・・・その通りだと思う。


禍根(かこん)を残してしまったのは大きな痛手だ。

この国にとっても・・・ピアニシモ家にとっても・・・


・・・もちろん。

私個人にとっても・・・



「・・・ごめんなさいでした。お祖父様。」

「…」


だから謝る。


そして・・・



「・・・沈黙したという事は、許して下さる(リブラリアでは、【謝罪】のあと【沈黙】すると、【相手の罪を許す】という意味になる)のですね?」

「…」

「・・・ありがとうございます。では・・・ん。」


「…何のつもりだ?」

「・・・だっこです。」


「…ふざけるな」

「・・・真面目です。娘がロイヤルに叙爵されたのです。褒めて然るべきでは?」


「…調子に乗るな。」

「べ、ベルトラン様…フォニア卿は…それはもう!頑張ってくれたんだ。声くらいかけてやるべきでは?」

「そうですよ父様!妹君は…そうは言っても、まだ進学前なのですから…」

「じ〜…ぃ〜…」

「ジー…」

「じー・・・」

「じぃ~…」

「ひ、姫様はおやめくださいっ!?」

「ちぇ~っ…」


「…」

「・・・」


みんなにジト目で見られたお祖父様は、ながーい沈黙の後・・・



「…はぁっ。」


ため息1つ。そして・・・



「・・・ふに」


膝立ちになって・・・ハグっ!



「…もういいだろ。」


僅か1.4秒の出来事だったけどっ



「「「「「ブラボォォォ―――――!!!」」」」」

「「「「「わぁぁぁぁーーーーーーー!!!!」」」」」」


割れんばかりの拍手と・・・歓声!!!



「・・・んふふふっ!!みんな、ありがと!!」

「おじょぉぉさまぁぁ!!」

「フォニアお嬢様ぁぁぁぁ!!!」

「す、すげぇ!!あの団長に…ハグさせたっ!!」

「さすが魔女!!」

「マジ天使!!」


「くっ…」

「み、みろっ!団長が…団長がテレてるぞっ!!」

「か、可愛いっ!!あの、泣く子も黙るベルトラン団長が…孫娘をハグしていい子いい子!?」

「キュンがぁぁぁ!!キュンが零れ落ちるゥゥゥ!!!」


「きーさーまーらーぁぁぁーーー!!!」


何を隠そう、ここは領都エヴァーナ中央広場に設けられた特設ステージ。

舞台の上には陛下を始め近衛兵のお偉いさんに各騎士団長。

そして叙勲や叙爵をうける人たち!


舞台の前には他の騎士団員の皆様と、そんな私たちを

冷ややかな視線で流し目に見るエヴァーナ市民の皆様!!



「・・・わー!」


お父様!お母様!!そして聴衆の皆様!!


フォニアは・・・フォニアはやったよ!!

ついにアノお祖父様から、大衆の前でのハグを勝ち取ったよ!!



「調子に乗るな小娘っ!!」

「「「「「フォニアちゃぁぁぁーーーんっっ!!」」」」」

「・・・わー!!」

「くっ…」


んふふふっ!

おじーさまっ!今回も私の・・・フォニアの勝ちねっ!!



「うふふっ。万象の君…みんなに愛されてるわね!良きかな良きかなぁ~!!」

「さすが万象様です!!」

「今回の内戦で一気に名前が売れましたからね…」


「あぁ…可愛い///…私の騎士様…魔女さまぁ…天使しゃまぁ…//////」

「ろ、ローズさ…ん!?ぶ、物理的に溶けてるけど…だ、大丈…夫?」


「はぁ~…」

「…どした?ジャメル?」

「やっぱり…というか。当然ですが…お嬢様に先を越されてしまいました…」

「…当然。むしろ、ほぼ出番がなかったあなたが、なんで星(勲章の事)を貰っているのか…疑問で仕方ない。」

「ちゃんとインクの隅で唱えていたんですよっ!!」

「そ。」

「はぁ~…でもなぁ…2等勲章じゃなぁ…」

「もらえるだけ有難いと思いなさい。」

「そーですけどぉ…でも、ほら!まえ、先輩に言ったじゃないですかー!銀勲(位を叙爵された時に貰う特別な勲章の事)貰ったらプロポーズしますって!!」

「…忘れた。」

「このペースじゃ銀勲まで、もう…10年くらいかかっちゃう!?せ、先輩?それまで待っていて…く、くれますよ…ね…?」

「…10年も待つハズない。」

「えぇっ!?じゃ、じゃぁ…g、に、2年で!2年で頑張りますから!!」

「………勝手にシロ…」






「みんなぁ!!ノォッってるかぁ~い!!!」

「「「「「いぇぇぇえーーーい!!!」」」」」


暫くすると、スタンディングオベーション(もともと椅子なんて無い)の観客の前に躍り出た陛下が自身の発動子をマイクに見立てて演説を始めた。


この女王ノリノリである。


って。リブラリアにマイクなんてあったっけ・・・?



「そぉこのエヴァーナ市ぃ民んんん!盛り上がりが足りないぞぉ!!…乗り遅れるなっ!このビッグウェーブにぃ~~~!!」

「「「「「い、いぇーい………」」」」」


もう、ツッコミどころ多すぎて追いつかない・・・



「今回の戦いで分かったと思うけどっ!我らエディアラ王国に敵なぁしっ!!ガンガン攻めるぞぉ~!!」

「「「「「おぉぉぉーーーーー!!!」」」」」


さらっと侵略宣言してるし!?

エヴァーナの皆さんのテンションはダダ下がりだよ・・・



「いぃかぁ!!聞いているだろう紫の国のドラ息子どもぉっ!!私達にケンカ売ろうなんて2,000年早いのよっ!!出直してこいっ!!それでもやるっていうなら…いつでも迎え撃ってあげるわよぉぉ!!!」

「「「「「うぉぉぉぉぉーーーーーーーっっっっっっ!!!!」」」」」


紫の国・・・というのはエディアラ王国積年の宿敵であるラヴェンナ王国の事。息子ども・・・というのは、師父教の信者全体を指す言葉だ。

あぁぁ・・・陛下。喧嘩っ早いなぁ・・・

神話にあるヒナ様そのものだ。だから人気なんだろうけど・・・



「こちとら豊穣の大地と…」


そう言った陛下は私に・・・にじり寄り!?



「わ!?」

「黒の魔女様が相手になってやるぅ!!!」


私をぐーっと。ステージ中央に引っ張った!

わわっ!この人魔纏術で強化してるよ!!普通に抗えない!!



「「「「「ウオオオォォォーーーーーーーッッッ!!!!」」」」」


私が引きずられて前に出ると、会場のボルテージは最高潮に



「イエェェェェーーーーーイ!!!」

「ディアナへーかー!!」

「陛下ぁぁあ~~~!!」

「ヒナ様ぁぁぁぁ!!!」

「恵土さまぁぁっぁぁぁ!!!」



「・・・」

「魔女ちゃぁぁあ――ン!!」

「万象様あぁぁぁぁ!!」

「フォニアおじょーさまぁぁぁーーーー!!」

「天使様ぁぁぁぁ!!!」



真夏のお祭り女神さまオン☆ステージはその後、

陛下が王都への凱旋を始めるまで続いたのだった・・・

林檎です!


改訂しましたっ

・・・よろしくね!


(23/10/14 1:35)もう、寝まーすっ!!


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