Chapter 023_堕天使
林檎です。
本話。いつもより短めです。その分“濃い”ので・・・ご了承ください。
「・・・見つからない?」
「そうなのよ…エルネスト殿も意識があった騎士も。ファリフは倒されたと言っているし…エヴァーナの残兵も、ファリフは西門から逃亡を図ったと証言しているわ。でも…」
「…お前が治癒したけが人も…死体も。水路の中まで隈なく探したが見つからなかった。一方で、用停泊していた船が1隻行方不明となっている。」
「も、もしかして…」
「エヴァーナ兵は、ファリフが攻撃され水路に落ちたところで戦闘が終了し…その直後、万象の君が現れたと言っているわ。おそらく…」
「・・・わ、私の・・・魔法・・・で・・・」
「その可能性が…高いわね。」
「…やってくれたな。このバカ娘がっ!!」
「っ・・・」
「…お、お嬢様はエルネスト様を!!」
「侍女が口を挟むなっ!!」
「っ…も、申し訳…」
「ま、まぁまぁ!ベルトラン殿も落ち着いて…」
「しかし陛下…」
「西門が大変な事になっているのに気付かず、救援…確認すら…しなかった私も。“最善”では、なかったわ…」
「…」
「…メイドちゃんが言っている通り、万象の君のお陰で優秀なエルネスト殿を失わずに済んだ…それは綴られるほどの快挙よ!それが為せただけでも。よしとしましょう。」
「申し訳ございません。陛下…」
「だーかーらー!いいって言ってるでしょ!!奴を逃してしまったのは確かに痛いけど…でも、こうして。エヴァーナ奪還は為せたわけだし!アイツ以外の実行犯は全員捕まえたし!左大臣殿の家族も救えたし!!じゅーぶんじゅーぶんっ!」
「…」
「…だからそんな顔しないで。…ね?万象の君?」
「・・・」
「…あなたは間違いなく英雄よ。今回の内戦をこんなにもスムーズに終わらせられたのはあなたのおかげ!西門の件は…気にしなくて良いわ!あなたのやったことは何一つ間違っていない。それに…ほら!ラトラの優秀な斥候が調査に行ったって言うし!きっとすぐに見つかるから!…ね!」
「・・・」
「……はぁ~。…みんな。もう下がりなさい。…やることがあるでしょ?」
「「「「「はっ…」」」」」
「ベルトラン殿。くれぐれも…」
「はっ…」
「ちっ…」
「・・・っ。」
「お、お嬢様…。お宿に行きましょう…ね?」
「・・・」
・・・
・・
・
「あっ…て、天使様っ!」
「・・・?」
「ち、ちょっと!止めて下さいっ!お嬢様は今…」
「ね、ねぇ天使様っ!私の…私の息子をどうして助けてくれなかったの!?」
「えっ…」
「と、隣の家の子は帰って来たのに…ど、どうしてっ!?どうしてあの子だけ!?まだ子供だったのに…っ…た、ただ騎士に憧れて付いていっただけだったのに…どうしてっ!?どうしてよぉ!!?」
「・・・っ」
「ちょっ!?や、止めて下さいっ」
「返してっ!?返してよぉ!!あなた天使なんでしょ!?私の子を救ってくれたって…返してくれたっていいでしょぉ!!!」
「っ…い、いい加減に…いい加減にしてっ!!」
「きゃぁっ!?」
「はぁ、はぁ~…」
「な、なにを…」
「それ以上近づいたら斬る!私のお嬢様に近づくなっ!!」
「っ…」
「だ、大丈夫でs…」
「あ…あなたっ!ノワイエの騎士の癖に、今頃…な、何やってたのよっ!!」
「す、すみま…」
「この子が誰だか知っているでしょっ!!ふざけるなっ!!!仕事しろっ!!」
「…」
「っ…っっ…くっ……うぅ~…。ふっ、ふざけるな…ふざけるなっ…よぉ…」
「す、すみま…せん。でし…た………」
「…」
「…」
「………あ、あと…しまつ…しといて、よ…ね…」
「っ…い、イエッサー…」
「はぁぁぁ~…。…行きましょ、おじょうさま………」
「・・・」
・・・
・・
・
「シュゼット姉さん…。…な、なにしに…何しに来たのよ…」
「何しにって…し、心配で…」
「心配…シンパイですって!?…ダメに決まってるじゃない!!こ、この顔見て…よくそんなこと言えるわね!?…なに?笑いに来たの!?子持ちで未亡人になった妹が可笑しい!?」
「そんなわけ無いでしょ!!あ、貴女だって聞いているでしょ!?わ、私だって…」
「はぁ?あ…あなたの…あなたのエロワさんのせいでしょ!全部アイツのせいじゃない!!なによっ!!被害者ヅラしないでよっ!」
「ど、どうして彼のせいになるのよ!?」
「知ってるわよ!!アイツが…き、騎士団長さんと懇意だったって…へ、へんな命令も沢山受けていたって…知っているんだから!!」
「それは…」
「国王派の騎士団から連絡来たでしょ!!彼は戦死なのに…アイツは獄死でしょ!?一緒に出撃したはずなのに…ひ、一人だけ尋問受けたなんてオカシイじゃない!!やっぱり…やっぱりそういう事だったんじゃない!!」
「っ!!…わ、私だってしら…」
「聞きたくない…聞きたくないっ!聞きたくないっ!!言い訳なんて聞きたくないっっ!!全部…全部アイツが悪いんだっ!!全部…姉さんのせいだ!!!」
「そ、そんなっ!サ、サラっ!?」
「もう嫌っ!!帰って!!姉さんの顔なんて見たくないっ!!帰って!!二度と顔見せないでよっ!!」
『バタンッ!!』
「…っ………っっっ…あっ、ぐっ…な、なによぉ!なによなによぉ!!わ、私だって…知らなかったのよぉぉぉ!!そんなの…し、信じられるわけ…無いでしょぉっ!!…ッバカァァァァァ――――――!!!!」
「・・・」
「お嬢様…いきましょ…」
・・・
・・
・
「フォ、フォニアちゃん!?…ど、どうした…の?」
「・・・」
「コレット様…そ、その。実は…」
「えっ!?そ、そんな…そんなのおかしいよ!!だってフォニアちゃんはっ!!」
「そ、その…」
「…っ!私、ベルトラン様に抗議してくる!!」
「えっ!?」
「た、たとえフォニアちゃんの身内でも…許さないんだから!!私のお友達を…だ、大親友を…お父様の命の恩人を傷つけるなんて許さないんだからっ!!そ、それにあれは、私の…い、行ってくる…ねっ!!」
「あっ!?コレット…さ…ま………」
「・・・」
「…」
「…いいお友達を持ちましたね。お嬢様…」
「・・・・・・・・・んぅ。」
・・・
・・
・
「・・・ちゅー」
「え、えっと…」
「・・・あらし」
「あ…えぇと……その…」
「・・・ちゅー」
「は、はい!…んぅ」
「ちゅー・・・」
「はふぅ…はぁ、はぁ…」
「・・・足りない。」
「は、はい…魔女様…んっ…」
「・・・んんっ」
「はぁ、はぁ…」
「・・・足りない。」
「えぇっ…えっと…」
「・・・ちゅー」
「んんぅっ…あぅ…んっ…」
「・・・足りない」
「あふっ…あんっ…」
「・・・足りない。」
「…っ」
「・・・足りない。」
「だ、だめっ!」
「・・・足りない。」
「あんっ///…も、もうっ…おゆるしっ…をっ…」
「・・・足りない。」
林檎です。
昨夜になりますが、活動報告上げました!
本当にぜんぜん。大したことは書いてませんので…もし、お暇なら。
・・・よろしくね。




