Chapter 011.5_タコのアヒージョ<閑話>
林檎です!!
本話は・・・ま。
「お年玉」的な?
閑話となりまーす!!
「…あ。あひ〜…じょ?」
・・・なんでも。
カルマート様の趣味は【お料理】だそうだ。
「・・・はい。タコに限らず、ニンニクを利かせたオイル煮込み料理のコトを【アヒージョ】と言います。」
ヴェルム・ウェルム大陸全土から集められる本には
レシピ本も混ざっているので。
ソレを参考に、様々な料理に挑戦してきたそうだ。
「ほくほくニンニクが、あつあつウマウマなのですよ!」
「ニンニクを使いますが…香草も沢山入れるので。意外と匂いも気になりません。」
「貝や、エビちゃんで作るアヒージョも美味しいよ!」
そして、その趣味を叶えるために
釣り場や畑、水田まで作り出した。
本人は「ヒミツ」と言っているけれど・・・
おそらく、
図書館内に“好きな効果”を持った部屋を生み出し、自由に行き来できる
というヤバい効果を持った【大図書館の魔法】を利用して
・新鮮な海の幸を求めた【釣り部屋】
・獲れたて野菜を栽培するための【畑部屋】と【水田部屋】
・お味噌と醤油を作るための【蔵部屋】
など、(たぶん、魔法では生み出せない)食材を
採集するための“施設”を生み出したのだろう。
「…この間の。タコのペペロンチーノも美味しかった。楽しみ…///」
カルマート様の趣味は
留まるところを知らない。
初めは聞かされていなかったけれど・・・
先に綴った以外にも。大図書館には様々な食材部屋があることが
明らかになった。
・蛸壺が並んだタコ釣り専用の【タコ部屋】
・陰キャの聖地【キノコ部屋】
・陰キャの殿堂【もやし部屋】
・ワサビはじめ、山菜栽培のための【里山部屋】
・未知の味を求めて化学反応が進む【ヤミ壺部屋】
ここまでくると・・・さすがに。
“趣味のお料理”の域を越えていると思う。
マッド・アグロノミスト・・・“狂”農学者というヤツである。
有り余る知識と時間を使って。
“究極”と“至高”の。さらにその先を求めた結果がコレである。
ココが、忘れ去られた海の底の“沈没図書館”であるってコト。
忘れちゃいそうだよ・・・
「…期待しててくださいね!」
「…うん…///」
カルマート様曰く、
この大図書館は、ヴェルム・ウェルム大陸で獲れる。ほぼ全ての食材が
入手可能だという。
けれど、残念ながら
私達の故郷アドゥステトニア大陸原産の食材は入手不可。
そして、パド大陸原産の食材もあまり無いらしい。
・・・なんで?
と聞いてみたところ。
「…種。持ってないし…」
・・・という答えが返ってきた。
たぶん・・・【大図書館の魔法】で生み出せるのは
“(什器を含めた?)施設”だけで。
種や苗を魔法で生み出すことはできないのだろう。
食を極めたマエストラ・カルマートは
まだ見ぬ別大陸の料理や食材に憧れを抱いていたらしい。
・・・だから。
たまたま持っていた
・アドゥステトニアの“小麦の粒”
・パドでの、ご飯の残りのバナナ
・農園で記念にもらったカカオの実
・そこら辺で拾ったココナッツ
を渡したところ、物凄く喜び。
即刻、専用部屋を作って栽培を始めたのだった。
・・・ココナッツに関しては、
数日前に近所で採ったモノだったんだけど・・・ま。
たまたま、種をもっていなかったのだろう。
そして同じように。
アドゥステトニア大陸の料理を紹介すると
とても喜んでくれた。
特に、彼女の大好物である“タコ”を使った料理は
喜びも“ひとしお”・・・
「…タコも。食ってみれば以外と美味いな。」
「そ、そう…だね…。み、見た目はアレだけどね…」
「…ボクは今でも苦手だ…」
・・・けど、実は。
アドゥステトニア大陸は
“タコ”をあまり食さない文化圏だった。
リブラリアの海での漁は危険だし、
見た目もグロテスクなタコは魔物かナニカと思われており、
捕れても棄てられていたのが現実だ。
だから、カルマート様が
オ・モ・テ・ナ・シとして出してくれた【生ダコ】のお刺し身も、
私以外は誰も手を出さなかった。
カルマート様に悲しい思いをさせた過去がある。
「…アヒージョにタコか。…エールが合いそうだな。」
「エール…って、たしか。小麦のお酒だよね…?」
「…おっさんもサスガに。エールは持ってないか…」
タコの・・・しかも、いきなりの“お刺し身”だ。
アドゥステトニア大陸の文化を考えれば、
みんな手を出せなかったのは仕方ない。
(因みに、お刺し身はあとで魔女が美味しく頂きました。)
でも、生食はともかく・・・せめて、カルマート様のオキニである
“タコ”くらいは食べてあげたい!
美味しいタコ料理をみんなとシェアしたい!!
そう思った私は、みんなも食べ慣れた故郷の料理に
食材としてのタコを用いたメニュー・・・
カルパッチョやペペロンチーノ。
そして、アヒージョを提案したのだ。
「…もらった小麦の栽培には。時間がかかる…」
「ま、まぁ…当然だよね…って!?さ、催促してるワケじゃ有りませんからね!?お、お気になさらず…」
「…お米のお酒でいいなら。あるけど。飲む…?」
「「「!?」」」
広大な田畑を有し。お酒作りまでする。
麦わら帽子がよく似合う褐色肌の銀髪エルフ・・・
「大人はいいなぁ…。テーはまだ。お酒飲めないの…」
「…梨があるから。絞ってジュースにしてあげる…」
「…無し?」
「・・・梨。林檎に似た・・・“ペア―”の仲間。」
「…ペア―!?」
「…似た植物があったのね。たぶん…それでいい。甘酸っぱくて。優しい味…。…美味しいよ…」
「ほんと!?わーい!!」
・・・どうやら。
【果樹園】まであったようだ。
受粉とか、どうしているんだろう?
“虫”はいないだろうから・・・手作業?
「…アヒージョ。って…お米に合う…?」
「ど、どうでしょう…」
「・・・さすがに、パンの方が合うと思う。・・・いつもお世話になっていますし。今日は私達に出させてください。」
「…わかった。ありがと…。…ところで。“パン”ってどうやって作るの?小麦から作るんだよね…?」
「…あ、はい!えぇと…小麦を挽いて。粉にして…」
「…挽く必要が。あるの…?…専用の。【小麦挽き部屋】が必要かな…?…あと、焼く必要もあるんだよね…?…なら、専用の【パン焼き部屋】も必要ね…?…後で。焼き方まで詳しく教えて…」
「は、はぁ…。も、もちろんです…」
「・・・」
思ってた図書館と
だいぶ違う・・・
もちろん!
本編も、もう1話ちゃんと投稿させて頂きますっ!
「次へ>>」を
お願いいたします!!




