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Chapter 015_力場の王 セト②

「ッ、ツィーアン!ツィーウー!!」

『『グクルルゥ!!』』


火山の壁を突破して現れたのは、

ツィーアンとツィーウー!



『『ルッ!!』』


勢いもそのままに



「ん、ぅん!」


星に突っ込み!



「み、」


その2輪の虹に・・・



「水でっぽう!!」

『『グクルルルゥッ!!』』


唱える!!



『パッチィンッ!!』


2輪の前に生みだされた巨大な魔法印から



『ドバッ!』


っと、

極太の水柱が生み出され!

星にガンガン吸い込まれていった!



『『グクルゥ!!』』


そして、

魔法印をそのままに!



『『ダガアァンッ!!』』


っと、

2輪の虹が星に突撃!!


でもっ



「あれっ!?りゅ、龍様は!?」


と、

ナミちゃんが言った次の瞬間には!!



『『グクルルルゥ!!!』』

「えぇっ!?」


2輪は再び!

山肌に開けた穴から星に向かって!!



『『ダガアァンッ!!』』


突進を繰り返した!!



「ど、どぅっ…なって!?」


【水でっぽう】はもともと、

ウォータージェットをモデルに編み出した魔法だ。


だから、フーウェンとフーシェンが行使したような

細い水柱を撃ち出すことを想定している。


でも・・・まだ子供で、体の小さなフーウェンとフーシェンはともかく、

巨大な容積ドラゴン2輪にとっては、少々扱いづらい魔術になっていた。


リブラリアの水龍は、容積勝負の大味攻撃が

得意だからね・・・



『『グクルルルゥ!!!』』


だけど、今回の相手はどうやら

私の意図とは裏腹に、容積が重要!


そこで2輪にお願いして、柱を極太にしてもらい

超低温の特製“過冷却水(0℃以下まで冷却した“液体の”水のことだよ!)”を

ひたすら生み出す“水でっぽう”を顕現してもらった!!


どうしても、魔力消費は増大しちゃったけど・・・

でも、2輪にとっては、こっちの方が扱いやすいらしい。


今回はこのまま、“固定式”水でっぽうを

行使し続けてもらうことにした!!



『『ダガアァンッ!!』』


もちろん【突進】は、そのまま突進!


あえて説明する必要なんて無いかもしれないけど・・・

2輪は突進した後、

山の外で待機しているフーウェンとフーシェンの作った“水面”に

【水しぶき】で転移して、再び突進・・・を、繰り返している!



『『グクルルルゥ!!!』』


下からマグマ、上から過冷却水。



『『ダガアァンッ!!』』


そして、

巨大な水龍による連続突進!!


さて、



『『グクルルルゥ!!!』』


どうなると思う?






『『ダガアァンッ!!』』


ツィーアンとツィーウーが

何度目か分からない突進を繰り返した



『バシィィンッッ!!』


その時!!



「ひ、ヒビがっ!?」


高温のマグマと低温の過冷却水による、

ノンストップ温度差地獄!


そこに、強い衝撃なんて加わったらっ!!



『バガァアァー―ンッッ!!!』


熱衝撃と物理的衝撃のコンボで!!



「真っ二つに!?」


星の真ん中にできたヒビは一瞬で拡がり!

そのまま“球”を“半球”2つに!!



「いいよっ!ツィーアンツィーウー!!」

『『グクルルルゥッ!!!』』

「フーウェン!フーシェンもありがとう!!」

『『フピュルルルゥッ!!』』











「あぁっ!?ま、魔女様っ!?」

「・・・う!?」


けど、



「ふ、再び…」


折角・・・

2輪が割ってくれたというのに・・・



「・・・う・・・」


・・・星は。

ひび割れた隙間にマグマを吸い寄せ。

紅のリングで補修して、変わらず私達を引き寄せた



『『『『『ブッ…シャ…』』』』』』


そして、



「うっ・・・ヒュ、ヒュド・・・ラッ・・・。ががんばぅ・・・」

『『『『『ル、ルゥ…』』』』』


私達を引き寄せる力は、

さらに強く・・・






「・・・」


あの星・・・

マグマを“武器”にしているのかと思っていたけど・・・もしかして


精霊が意識的に行っている・・・“目的”じゃ、

なくて。


精霊が(もたら)した現象の・・・“結果”に、

過ぎない?



ひょっとして。

あの星が扱ってる“力”って・・・



「・・・っ・・・ツィ、ツィーアン!」


・・・だとすれば。



『グルゥ?』

「・・・ほ、星に突進する時。星から受ける力っ・・・み、水を注ぐ度に・・・つ、強くなって・・・る!?」

『…ググ…ゥ?』


わ、わかんないの!?



『ク、クゥ!』


けど、すぐにツィーウーがフォローしてくれた!



『クルゥ!ルルゥ…クルルゥ!!』

「・・・ま、間違いっ・・・ないのね!?」

『ル!』


「そうだと思う!」・・・ね!?

それだけ分かれば!!



「ッ、ツィーアン!ツィーウー!!」

『『グクルルゥ!!』』


こうしちゃいられない!!






「に、【虹越】ぇ!!」

『『グクルルルゥッ!!』』


逃げるよっ!!



「・・・ナ、ナミっ・・・ちゃん!!」

「は、…は、はいっ!?」


召喚獣のヒュドラは、いいとして



「こ、これっ・・・からっ!に、2輪の魔術・・・で!と。飛ぶっ・・・からっ!!」

「魔術で…と、飛ぶ!?」


ナミちゃんには説明が必要だ!!


ゴーレムのナミちゃんは・・・当然だけど、

“生き物”じゃ無い!


だから、“私以外は運べない”という

【虹越】の、発現条件に反しないのだ!



「そ、そんな魔術聞いたこと…あ!風魔法ですか!?」

「とにかく!!・・・つ、捕まっ・・・て!」


そうこう言っている間にも



『『グッ…クルゥ…ッ…』』


魔術を発現させた状態のまま、

待機してくれている2輪はとても辛そう・・・



「いっ・・・い、行くよ!!」


これ以上は耐えられない!



『パッ…チィンッ…』



・・・

・・





















……

………



「みゃっ!?ご主人様っ!!」


シュシュちゃんが叫んだのは、



「お嬢様!?」

「「フォニア!!」」


私達が火山の外に出てから、

十数分経った後の事だった………



「はぁ、はぁ・・・は、はぁ〜・・・だ、大丈夫?ナミちゃん!?」

「は…は?は、ははい!お陰様で。関節が3つ外れただけで…」

「・・・み、見せて。治してあげるから。」

「い、いえ!これくらい何とも…」

「・・・いいから。そのままじゃ戦えない・・・ね?」

「は、はぁ…で、では…」


虹のボールから出てきたお嬢様は私達の声に応えるより先に、

一緒に残ったゴーレム…ナミさん…を気遣い、



「・・・む。重いなぁ・・・」

「す、すみません…」


息を荒げ、玉のような汗もそのままに、

彼女の体をカチャカチャいじり始めた…



「お嬢様。お水を…」

「ご、ご主人様。お汗をお拭きしますです!!」

「ねさ…じゃ、無くて!お姉様っ!…お、お菓子食べる!?」


お嬢様のお世話を始めた私達に対し…



「まだ…だね?」

「…あぁ。」

「…油断するなよ。」


男性陣は臨戦態勢で、

お嬢様が飛び出してきた山を睨んでいた。


そして…



『グルッ…ルッ…』『クルルゥ〜』

『フリュ〜…』『ピニュ〜…』


お嬢様の召喚獣たちは

力なく…



『『『『『るる…る〜…』』』』』


…地面に横たわり

息を荒らげていた………



「んっく、んっく・・・」

「…お嬢様…どうぞ、心ゆくまで…」


今しがた私が生み出した水を

夢中で飲んだお嬢様は・・・



「・・・もぎゅもぎゅもぎゅ・・・」

「お姉様ぁ…も、もっとあるよ!いっぱい食べて!!」

「んぐんぐぅ・・・」


・・・ご令妹様から受け取ったナッツを

次々と口へ放り込み・・・



「・・・んく、んく・・・ふぅ・・・」


と、

息を突いてから・・・



「・・・ローズさん。私が戦い始めてから・・・どれくらい時間が経った?」


…と?



「時間…ですか?」


でも…



「・・・ん!」


…どうしたんだろう?


これまで戦いの最中

時間を気にされたコト、なかったのに…



「・・・時計を見せて。」


私はお嬢様から時計を預かっているけれど…

それとは別に。


お嬢様は、ご自身の時計をお持ちだ。


なのに。

わざわざ、私のを…?



「もちろんでございます…」


疑問に思いながらも…言われた通り



「・・・ん!ありがと。」

「いえ…。“お預かり”しているだけですので…」


時計をお返しすると…



「・・・んしょ・・・」


お嬢様は(おもむ)ろに

ご自身の時計を取り出して



「・・・・・そ、そっ・・・か・・・」

「…?」



…見比べている?



「…どうかなさいました?」


尋ねた私に



「・・・みて。」


お嬢様は2つの時計を並べて…



「・・・ズレてる。」

「っ!?」


えぇっ!?



「・・・私の時計の方が1秒遅れ・・・」

「も、申し訳ございません!!」


私は大慌てでお嬢様に頭を下げた…



「・・・う?」

「ま、魔力充填をな…な、怠けたつもりなど。無かったのですが…」

「・・・あ。ち、ちが・・・」

「…お嬢様の財産を預かっておきながらの失態!!本当に…」


…私を。



「違うってばぁ!!」


…お嬢様は、

私の手首を押さえて止めて



「・・・も、もぉ・・・。そもそも、私とローズさんの時計は抱卵機能付きの卵入りなんだから。魔力充填を忘れるわけないでしょ?」

「そ、それじゃ!壊して…」

「・・・ちがう。」

「でも…」


背伸びしながら私の頭を撫で…


「・・・たとえ壊しちゃったとしても。怒ったりしないよ・・・」


そう言ったお嬢様は…



「・・・ローズさんの時計も、私の時計も。魔力切れでズレた訳でも、壊れた訳でもないの。」

「じゃ、じゃあ…」

「・・・これは・・・あの精霊の、魔術のせい。」

「魔術!?」

「・・・ん。あの精霊が現している魔術の正体。

それは・・・



・・・

・・



・・・重力。」

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