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Chapter 014_力場の王 セト①

林檎です!


ぜ、前回は挿絵もありましたし・・・ほ、本話は長いので!

それで許してください!!


・・・あ。ちなみに

「力場」は「りきば」と、読みます。



・・・よろしくね!

『…』


静かだった・・・




マグマの流れる音も

瓦礫を踏む音も

みんなの息使いすら、聴こえない・・・



『トットットッ・・・』


という

胸の高鳴りだけが響く


紅の闇・・・



『…』


・・・幸い。

あの星は、まだ。

私達に危害を加える気は無いようだ。



「・・・ルクス。」

「…あぁ。」

「・・・フルート。」

「…うん…」

「・・・シュシュ。」

「に、にゃんです…」

「・・・ゲオ様。」

「…ふっ…」



「2人を・・・お願いね」

「「「願われた!!!」」」「お願いされましたです!!」


けれど、

何万回とその戸を開いた門番が


“いつも以上”に重いと言った

【ヌチルデンの門】


300年

マグマとドワーフの物語を吸い上げ肥大化した威容



コチラから攻撃すればどうなるか・・・


それは、理のまま・・・






「ね、ね様…」

「…どうか。ご無事で。」

「・・・もちろん。」


「…さ。テー。」

「う、うん…」

「ローズちゃんも…」

「さ、触らないでエロフ!っ…自分で。出ます…」


「・・・」


門に戻る、その背中を見送った私は・・・



『『『『『『フシュル…』』』』』

「ロード。」

「我等も…」

『フリュリュウ!』『ピリュリュウ!!』


5頭と2柱と2輪

(もう2輪の、ツィーアン・ツィーウーは門を潜れなかったので

外で待機)の声に



「・・・」


心の中で頷きながら



「・・・ナミちゃん。あなたは・・・どうする?」


振り返って尋ねると



「………」


握りしめた沈黙。

そして・・・



「…なんの。意味が…?」


意味。

か・・・



「・・・それを決めるのは・・・あなたよ。」

「っ…」

「・・・」

「わ、私にはっ…」

「・・・じぶんで決めて」


・・・確かに。意味なんてないのかもしれない。



「うっ…」


・・・倒したところで。彼女が得るモノは何一つないだろう。

生き残ったドワーフがいるとも思えない・・・それどころか、

断片の1つさえ、見つからないかもしれない。



「・・・」

「…」


彼女自身。これからどうなるか・・・



「・・・」

「………」


でも、



「・・・きっと・・・」


“彼ら”は



「・・・あなたが・・・彼らの“望み”で創り出されたあなたがシた事も。焔のドワーフのページに綴られるんじゃ、ないかな・・・」

「…」



ソレを望んでいる気がするの・・・




「・・・すー・・・」


瞳に映る星(いま見えている“星”自体は“魔法現象”だと思われる。現在進行形で魔法印が動いているというコトは、意思のあるナニカが魔法を操作しているというコト。おそらく、星の中心に精霊(?)本体がいるのだろう。)は、私達の事なんて気にも留めず

変わらず『コクコク』とマグマを吸い上げていた



「・・・はぁ~・・・」


パッと見は大人しいけど・・・でも、

周囲の遺構を見る限り。

“ただ”マグマを吸うだけの星じゃ無いってコトは

容易に想像がつく。


あの星には街をひとつ壊滅させるだけの力がある・・・

それは、間違いないだろう



「・・・フーウェン、」『フリュウ!』

「フーシェン・・・」『ピリュウ!』



今までいろんな魔物と戦ってきた私だけど・・・さすがに

“球体”を相手にするのは初めてだ。


どんな攻撃をしてくるのか?

何を考えているのか?(ウリエルによると、星には思考らしい思考が無い・・・とのこと。つまり、何も考えていないし、何も感じていない。)


そもそも“精霊”というモノは思考が判然としない場合が多いと言われている。

私の召喚獣が特殊なのだ。


“自然現象”と言っていいハズの精霊だけど、

どういうワケか。標的としてヒトを襲う事もある。

獣人王国で遭遇した龍が、まさにソレ。


一方で、

どんなに攻撃しても全く反応を示さない精霊もいる。

ずいぶん前に紹介した【天峰 ユピテリムルス】がソレ。


そういう反応を示す理由も。ナゼ反応が異なるのかも。そもそも精霊とはナニか?ナゼ在るのか?ドコから現れたのか?


何ひとつ、判明していない。


あれほど素直に言うことを聞いてくれる私の子たちも、この質問への答えは・・・


『分からない』か『…』


だから、結局。答を得るには



「・・・【水でっぽう】!!」


やってみるしか、ない!






『パッチィンッ!!』


【水でっぽう】は水龍4輪みんなが

単独で行使できる固有魔術だ



『フリュウリュ!!』『ピリュウウゥ…』


鳴き声と共に

2輪の口の前に真青(まっさお)な魔法印が現れ



『『…ッ』』


その中央から



『『ブシュゥッッッッッ……!!!』』


アイスピックよりも鋭い、

直径1mm極細水柱が走った!!



『『リュリュリュリュリュー!!』』


フーウェンとフーシェンが放った【水でっぽう】は

直径1mmに500MPa(メガパスカル)もの超高圧力がかけられた

【ウォータージェット】


速度はマッハ3。



『『パシュウンッ!』』・・・と。

一瞬で星に届いた水柱!

鉄板だって切断できる強力な魔術だけど、

今回はマグマに向けて放っているせいで、



「あぁっ!?龍様の水柱が…」


『ジュゥー…』と音を立てて、白い湯気をあげ、

蒸発してしまう・・・



「・・・フーウェン。フーシェン!」


でもっ!



「スポット径(水柱の太さの事だよ!)大きくして水量増やして!物量戦よ!」


『『フピリュリュウッ!!』』


・・・要は、量の問題だ!!

巨大なマグマの塊・・・と、言っても。


体積がある・・・ということは

限界がある!!


水を浴びせ続ければ、いつかは絶対っ

冷えて固まる!!


容積こそパワーである!!



『『フピリュリュウッ!!』』

「・・・がんば!・・・がんばっ!!」


因みに、

フーウェンとフーシェンは生まれた瞬間から飛び回り、

次の日には龍語(?)と人間語(私と会話するために召喚獣達は人間語を

宿している。声帯の構造上、喋ることはできないけどね・・・)を宿し。

更に次の日には親と同じ魔術をすべて宿したハイスペック子龍である。


・・・親との違いと言えば、

精神的には幼い(当然である)ことと、身体が小さい(太さは、私の腕くらい)こと。かな・・・



『『フピリュリュリュウッ!!』』

「・・・がーんばっ!がーんばっ!!」


0歳の子龍に自身の容積の何万倍もの水を出させるなんて、

動物愛護団体に知られたら訴えられてしまうかもしれないけど・・・



『『リュリュリュゥ…!!!』』


い、嫌がってないし!?

それ以前に2輪は“動物”じゃ無いし!


だから大丈夫・・・た、たぶん!



「おぉぉ!?み、見て下さい!!」

「・・・う?」


2輪を応援していると、

隣のナミちゃんが声を上げた



「星が…岩漿(がんしょう)が!黒くなってきました!!」


・・・見れば。

水を当てたマグマが冷え、

黒っぽい岩に凝固しはじめた!!


そして同時に・・・




「ですが…りゅ、龍様の水が…」


水でっぽうが蒸発している間は

気付かなかったけど・・・



「じ、地面に落ちることなく。星に…」

「・・・」


黒くなった星の、その表面に打ち付けられた水は・・・本来なら

飛沫(しぶき)となって地面に落ちるハズなのに、膜となって拡がり。


まだ紅いマグマの面に流れ、白い湯気となって

舞いはじめた・・・



「そ、そう言えば…し、白い湯気も。星の周囲に漂い拡がりませんね…」


ナミちゃんの言葉に続けて



「ロード。あの水の流れ…どうにも、不自然ですね。」

「恐らく、あの精霊の能力です。どうか、油断なさらずに…」

『『『『『ブシュルルルゥ…』』』』』


サリエルとウリエル。そしてヒュドラが警戒を強めた・・・



『…』


次の瞬間!?



「っ!!?」


突然!『パアァンッ!』と、

星を取り巻いていた魔法印が空洞いっぱいに拡がり!!



『ゴゴゴッ…!』


と大きな音を立てて、

マグマが、そして遺された瓦礫が星へ・・・



「うぅ!?」


吸い寄せられた!?



『『フピリュウ!?』』


水でっぽうを撃っていた2輪も、



『『リャァ~ッ!?!?』』


星に向かって・・・



「フーウェン!?フーシェン!!」


ひ、引っ張られはじめた!?



「っ、わきゃあっ!!?」


って!?私もっ!?



「「ロードッ!!」」


けど!

体が浮かび上がった瞬間、

サリエルとウリエルの2柱に抱き抱えられ



『『『『『ブシュルルァ!!』』』』』


大きな瓦礫に

尻尾を絡ませたヒュドラと



「魔女様ぁ!!」


ナミちゃんに!

ギュッと引き戻され



「うぎゃう・・・」


みんなに抱き抱えられ・・・



「ぐぅっ!?ほ、星に」

「引き寄せられています!!」


2柱はヒュドラに掴まり、

やっとの思いで留まっている。


けどっ、



『『リュリュウ~!!?』』


フーウェンとフーシェンは為す術もなく・・・



『『リュ〜…ッ!!?』』

「フーウェン!フーシェン!?」


星へ叩きつけられる!?



「水しぶき!!」

『パチィンッ!!』


直前!



『『ュウ!………』』


か、間一髪・・・



「ふ、ふぅ〜・・・」


な、なんとか間に合い。

2輪を外で待つ親の元に帰す事に成功!


けど、



「ロー…ドッ…」

「わ、私達は…も、もおっ!」

「サリエル!ウリエル!?」


ヒュドラにしがみついていた2柱だけど・・・



「・・・サリエル!ウリエル!!あなた達は還りなさい!」


さすがに限界っ!!



「うぅぅ…」

「め、めんぼく…」

「いいから!!」


2柱を還らせ



『『『『『ルリュウッ…ッ…』』』』


苦しげに耐えるヒュドラの声



「ヒュ・・・ドラッ!・・・が、がんばっ!」


次の瞬間!?



『『『『『ブシャアッ!?』』』』』

「うわぁっ!?う、浮いたっ!!」

「!?!?」


ヒュドラとナミちゃんが捕まっていた柱のような瓦礫が、根本から『ボキンッ』と折れて


私もろとも星へ吸い寄せ・・・



「ヒュドラ!!地面に杭を打って!!」


・・・られないように!!



『『『ブシャアァァー!!』』』


ヒュドラの3つの頭が地面に突き刺さり、

星に引き寄せられるのを防いだ!!



「・・・いい子ねヒュドラ!」

『『ルルゥ!』』

「・・・そのまま地面深くまで・・・き、木の根のように枝分かれして拡がって!」

『『『るるぅ〜!』』』


ヒュドラを地面に

しっかりと固定させると



「・・・うっ・・・くぅっ!」


ヒュドラが杭打ってくれたお陰で

それ以上、星に引き寄せられることはなかったけど、


私自身の体も、包むヒュドラに

ものすごい力で押し付けられて・・・



「うっ・・・ぐっ・・・」


い、痛い・・・よっ・・・



「っ・・・」


でも、イチバン辛いのは・・・



『『『リュ…リッ…』』』


自分自身に加え、私。そして、ナミちゃんを支えているヒュドラは

とても辛そうに耐えている



「・・・ヒ、ヒュドっ・・・ラッ!が、がんばっ・・・ってぇ!!」

『『『『『ブ、ブシュルルゥ…ウッ…』』』』』』


こ、このままじゃ、いつかは星に呑み込まれちゃう!

何とかしないと・・・







『『ドゴオォォーーーンンンッッ!!』』


その時だった!!

水龍と天使が同時に登場し、[単位]がややこしかったので

 水龍=[輪」

 天使=[柱]

と、書き分けました。今後も同じようにします。

・・・よろしくね!

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